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東京都ではちみつの摂取が原因と推定される乳児ボツリヌス症による死亡事例がありました。
乳児ボツリヌス症は1歳未満の乳児に特有の疾病で、経口的に摂取されたボツリヌス菌の芽胞が腸管内で発芽・増殖し、その際に産生される毒素により発症します。
乳児ボツリヌス症の予防のため、1歳未満の乳児に、はちみつを与えないよう広く注意喚起します。
<東京都の調査内容>
【探知】
2 月22 日(水)午後3 時頃、都内の医療機関から最寄りの保健所に、「5 か月の男児が入院しており、神経症状が出ている。離乳食としてはちみつを与えられているとのことである。」旨、連絡があった。
【調査結果】
・ 患者は足立区在住の5 か月の男児で、2 月16 日(木)から、せき、鼻水等の症状を呈していた。
・ 同月20 日(月)、けいれん、呼吸不全等の症状を呈し、医療機関に救急搬送され、翌21 日(火)に別の医療機関へ転院した。
・ 患者は、発症の約1 か月前から離乳食として、市販のジュースにはちみつを混ぜたものを飲んでいた。
・ 検査の結果、患者ふん便及び自宅に保管していたはちみつ(開封品)から、ボツリヌス菌を検出した。
・ 3 月15 日(水)、足立区足立保健所は、「離乳食として与えられたはちみつ(推定)」を原因とする食中毒と断定した。
・ 3 月30 日(木)午前5 時34 分に当該患者が死亡、当該保健所は、発症から死亡に至る経過等を精査した上で、本日、死亡原因はボツリヌス菌によるものと断定した。
※ボツリヌス症とは
ボツリヌス症は、食品中でボツリヌス菌が増えたときに産生されたボツリヌス毒素を食品とともに摂取したことにより発生するボツリヌス食中毒と、乳児に発生する乳児ボツリヌス症等に分類されます。
ボツリヌス食中毒では、ボツリヌス毒素が産生された食品を摂取後、8時間~36時間で、吐き気、おう吐や視力障害、言語障害、えん下困難 (物を飲み込みづらくなる。)などの神経症状が現れるのが特徴で、重症例では呼吸麻痺により死亡します。
乳児ボツリヌス症は、1歳未満の乳児にみられるボツリヌス症です。乳児では、ボツリヌス菌の芽胞を摂取すると腸管内で菌が増殖し、産生された毒素が吸収されてボツリヌス菌による症状を起こすことがあります。症状は、便秘状態が数日間続き、全身の筋力が低下する脱力状態になり、 哺乳力の低下、泣き声が小さくなる等、筋肉が弛緩することによる麻痺症状が特徴です。
※今回の食中毒事例についての詳細は下記をご確認ください。