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今般、国立感染症研究所による平成3年から平成29年11月末までに国内で確認された本感染症25例の調査研究により、本感染症は犬猫等の動物から人への感染が強く疑われること、平成28年5月、野外で猫3頭に餌やりをしていた60代女性が呼吸困難等で死亡し、血液等からコリネバクテリウム・ウルセランス(ウルセランス菌)が分離された事例があったことが確認されました。
本感染症の概要、症状及び予防等は、以下のとおりです。
コリネバクテリウム・ウルセランス(ウルセランス菌)という細菌によって引き起こされ、ジフテリアによく似た症状を示す動物由来感染症です。
海外においては、乳房炎や関節炎に罹患した牛の生乳からの感染が主に確認されていました。最近では、ウルセランス菌に感染した犬や猫からの感染が国内外で広く確認されるようになっています。
なお、人から人への感染事例は、国内では現在まで報告がなく、国外においても、非常にまれです。
呼吸器感染の場合には、初期に風邪に似た症状を示し、その後、咽頭痛、咳などとともに、扁桃や咽頭などに偽膜形成や白苔を認めることがあります。重篤な症状の場合には呼吸困難等を示し、死に至ることもあります。
また、呼吸器以外(頸部リンパ節腫脹や皮膚病変)の感染例も報告されています。
人での国内感染事例の多くは犬や猫からの感染であることが確認されており、ウルセランス菌に感染した動物と接する場合には注意が必要です。
感染予防のためには、過度に神経質になることよりも、一般的な衛生管理として動物と触れあった後は手洗いを確実に行うことなどにより、感染のリスクを低減することが重要です。
国内では、人に対する定期の予防接種の対象である3種混合(最近では4種混合)ワクチンにジフテリアトキソイド(ワクチン)が含まれており、この感染症に対しても有効であると考えられています。
飼育している犬や猫が咳やクシャミ、鼻水などの風邪様症状、皮膚炎、皮膚や粘膜潰瘍などを示しているときは、早めに獣医師の診察を受けるようにしてください。
また、こうした犬や猫に触る場合は、過度な接触を避け、手袋やマスクをし、触った後は手洗いなどを励行してください。
※厚生労働省 コリネバクテリウム・ウルセランスに関するQ&Aから抜粋