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epi.68 働く女性応援企業 株式会社リーエンデを取材しました!

印刷ページの表示 ページ番号:0002055475 更新日:2024年2月13日更新

介護を通じて世の中を明るく

 

2021年9月、「株式会社リーエンデ」を設立。翌年1月「ヘルパーステーションAriの実」を立ち上げ、介護保険サービスや障害福祉サービス、子育て支援事業、ヤングケアラー支援事業などの訪問介護事業を中心に、利用者様が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためのサービスを提供しています。現在は、女性が活躍できる環境作りや、女性の力を生かす企業になるための取り組みにも力を入れています。

娘のために介護福祉の道へ

岩尾さん画像「株式会社リーエンデ」代表取締役岩尾百恵さんが障がい者支援事業を目指したのは8年前、生まれながら重度の脳障害を持った娘さんが18歳を迎えた時でした。娘さんの体調が悪化し、呼吸機能低下のため常時在宅酸素療法、呼吸器装着が必要になったことが原因で、小学1年生から通っていた障がい福祉施設での受け入れが難しくなると告げられました。「小さな頃から通っていた施設で、娘の体調が徐々に悪化していることも把握してもらっていたので、ずっと受け入れてもらえると思い込んでいました」と、その時の衝撃を語ります。その事が「娘の人生を考え直す必要がある。私も支援者の立場になって考えよう」という思いに繋がり、介護福祉士を目指すきっかけになりました。

それから介護福祉士国家試験の受験資格である、実務経験3年以上+実務者研修を満たすべく、研修を受けながら障がい者支援事業所へ就職。4年間の実務経験を経て、ヘルパーステーションへ再就職し、試験にも合格して介護福祉士の資格を取得しました。「就職当初は経営者になりたいという気持ちはなく、現場の管理者になりたいと思っていました。ただサービス提供責任者となって初めて、自分の描いていたことを叶えることができないと気が付きました」。一職員の立場では想いをカタチにすることや、利用者の立場になった支援の難しさを痛感したことが、岩尾さんを独立開業へと後押ししました。

ポジティブに生きる決意

岩尾さん画像

いつも明るくポジティブで、抜群の行動力を持つことから、同じ障がいを持つ子どもを育てる母親たちから相談されることが多い岩尾さんですが、以前はそのような性格ではなかったそうです。「生後間もなくの娘が重度の脳障害を持つと診断されたことで、周りからの心無い言葉を受け、精神を病んでしまいました」。

当時福岡県に住んでいた岩尾さんの状況を見かねた両親が大分の実家に親子を引き取り、娘さんと一緒に実家での生活が始まりました。「精神安定剤を飲んでいたので車の運転さえできない状態。福岡県の療育施設への週2回の通所も、父親に連れて行ってもらっていました」と、当時の状況を語ります。そんな苦難の日々の中、娘さんが2歳半の時に転院した大分医大で、人生の転機を迎えます。「私と同じ境遇の母親たちが、誰一人落ち込むことなく、自身の子どものために勉強を重ねていたんです」。医師の指示のままではなく、きちんと意見が言え、処方された薬も、効果や副反応をしっかりと勉強して、症状に適しているかを観察しながら付き添っている。何よりも保護者同士が、我が子の幸せのために情報共有をしている姿に感銘を受けたそうです。それからは自身も精神薬に頼ることを止め、病状が再発しないよう、人との付き合い方を考えるなどしながら回復に努めました。現在では、過去の自分と同様の精神疾患の人の支援を行うサポート側に回っています。

開業とそこで得た気づき

介護職場画像 「リーエンデ」とは、福祉大国であるスウェーデン語で「笑顔」という意味。「Ariの実」は、梨を意味する大和言葉「有りの実」で、「梨」が「無し」と同じ発音であることから「ありのみ」と表現するような、マイナスをプラスに置き換える考え方への共感と、梨という漢字が娘さんの名前に含まれていたことから命名しました。

起業したものの、最初はうまくいかなかったそうです。「重度脳障害の子どもを抱える母親には介護福祉士の資格保持者が多く、その母親たちとお互いの子どもの面倒を見合うことで、仕事が発生し、社会貢献できるだろうと簡単に考えていました」。しかし友達感覚と仕事が混在してしまい、企業としての組織の構築、理念の浸透ができず、仕事としての考え方の相違があり、自分の考えの甘さが露骨に出てしまいました。「社会環境と自分との歩み寄りが大事」ということを念頭に、この時の経験を現在の経営理念に大きく生かしています。

女性は社会とどのように向き合うべきか

岩尾さん画像

「男性は仕事、女性は家事という考え方が改まるだけで、女性は社会で躍進できる」と岩尾さんは考えています。ただ、法律や制度とは違い、意識改革は一朝一夕では進みません。また子どもの幼少期など、母親の存在が必要な時期に仕事をセーブする必要性や、持病や介護など避けられない事情もあるのも現実です。そこで「Ariの実」では、育児・介護休業などの法定休暇はもちろん、女性の体調変化を考慮し生理休暇も導入。休みの希望は100%受け入れられる態勢を取っています。基本労働時間も、保育園の送り迎えなどを考慮し9時~17時の週35時間に設定。子育て支援事業や保険外自費サービスは常勤換算に含まれていないので、任意で残業をすることで収入を増やすこともできます。逆に35時間の就業時間を満たせない人は、パートタイムや登録型のヘルパーとして働くことも可能で、長く働けるようになれば正社員への復帰もできるそうです。

一方で社員には「適切な環境は整える代わりに、個人としての成長を怠らないで欲しい」と伝えています。訪問介護は限られた時間での仕事。どこまで利用者の支援できるかはヘルパー次第です。サービス計画で支援内容が決められている中で、利用者が何を求めているかを考えることがヘルパーの資質になると考えています。

昨年11月には、大分県が主催する「おしごとフェスタ」に出展するなど、積極的に採用を進めている岩尾さん。「私のひとり親の子育てと仕事を両立したという経歴を知り、同じ境遇だから受け入れてくれるだろうと考え、弊社に応募いただく女性が多いです。もちろんこれまでの経験を活かし、働きやすい環境作りには全力で取り組んでいます。でも、せっかく働くのならお金のためだけではなく、将来のビジョンを持って、自分の人生にとってプラスになる選択をしてもらいたい」と、働きたい女性へエールを送ってくれました。

会社概要

企業名株式会社 リーエンデ
事業内容ヘルパーステーションAriの実(介護保険サービス・障害福祉サービス・子育て支援事業など訪問介護事業)
設 立2021年
所在地〒870-1152
大分市大字上宗方567-87 日生第5マンション607号
TEL097-589-8402

※ 2024年2月現在