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今、県内では少子化の要因の一つである晩婚化や非婚化が進んでいます。価値観の多様化や雇用情勢の不安定化など、その背景はさまざまです。「職業を・結婚を・出産をどうするか」は、最終的には自分自身の生き方の問題です。しかし、将来に対する漠然とした不安を感じて生き方を選べない若者もいます。そこで県は、そんな若者を後押しするため、今年度から新たな取り組みを始めました。今回の特集では、今から考える“豊かな人生”のためのヒントをお届けします。
←大分大学高等教育開発センター 准教授 岡田 正彦先生
県は、少子化対策の一環として、若い世代に「将来家庭を築き、親になる」選択肢を含めた将来設計を考える機会を創出するため、県内の大学と連携し、ライフデザイン講座の実施などを始めました。5月に講座を行った大分大学を訪ね、高等教育開発センターの准教授岡田 正彦先生にお話を伺いました。
-ライフデザインとは?
「分かりやすく言うと『仕事や家庭、地域生活をどう生きていくのかを長期的視野に立って描くこと』です」。
-大学生のうちにライフデザインを考えるメリットは?
「社会に出ると、仕事などの日常に追われ、立ち止まって考えるゆとりが少なくなります。そうすると時間があっという間に経ち、振り返れば『若い頃にもっと○○しておけばよかった』という後悔をしてしまうかもしれません。そうならないために、今からライフデザインを考えておくことが大切です。実際に紙に書くことで、将来設計と現状とのギャップを埋めるためにどう動けばよいか気づくきっかけになります」。
-考える上で、大事なことは?
「仕事と結婚・子育てを両立している人やキャリア形成・地域貢献に打ち込んでいる人など、人生の先輩の経験談を聞くことです。さまざまな人生観を知り、リアルな日常に触れることで、自分なりの将来像が見えてくると思います」。
-若者へメッセージをお願いします
「就職活動をする時に職業体験をするように、ライフデザインを考える時には地域活動に参加するなど、さまざまな世代の人との交流を深めると良いでしょう。また、本気で打ち込めることを見つけ、刺激しあえる仲間をつくることも一生の財産になります。自分で考えて積極的に行動し、試行錯誤を重ねながら納得して進める道を探してほしいですね」。
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講座で聞いた体験談は、結婚・子育ての楽しさや充実した子育て支援、ワークライフバランスなど惹きつけられる内容が多く、自分のこととして考えることができました。受講後は、以前から興味のあったボランティア活動に参加するようになり、いい刺激を受けました。これからも高校教師になるという目標に向かって経験を積み、仕事もプライベートも充実した人生が送れるよう頑張ります。 |
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何歳までに結婚したいかなどは人それぞれ違い、踏み込んだ内容を講座で話し合えて良かったです。妹のオムツ替えをした経験があるので、結婚して子供を授かれば、育児に積極的に参加したいです。私は小学校の先生を目指していますが、水泳のコーチというバイトを通じて、諸先輩や子どもたちと触れ合うことで日々多くのことを学んでいます。今後は幅広い世代の人のライフデザインを聞いて、参考にしたいです。 |
←(右)センター長 楢原 久司先生 相談員 中島 洋子さん(左)
ライフデザインを考える上で、ぜひ知っておいてほしいことがあります。それ「妊娠すること」は必ずしも自由に選べないということです。妊娠に適した年齢は、個人差はあるものの、20代から30代半ばと言われています。人生の選択肢として妊娠・出産を希望するのであれば、その時期がとても貴重であることを忘れないでください。
卵子は重ねた年齢と同じだけ老化していき、特に37歳から42歳にかけて卵子の数が約1/10に減少します。卵子が老化すると、不妊症や流産、染色体異常などが起きる可能性が高くなります。また、不妊の原因は男女半々の割合ですが、治療をする場合でも、早くから始める方が望ましいです。もちろん、妊娠は一人ではできませんから、男性も大事なパートナーの体のことを知り、将来どうしたいのかを話し合っておきましょう。お互いに思い合って、何でも話し合える関係を築くことが大切です。
将来の妊娠や出産、体のことについて気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
相談電話 097-586-6368
相談メール hopeful@oita-u.ac.jp
相談対応時間 火曜日から土曜日/午前10時~午後4時
県は、妊娠についてのパンフレットを作成しました。県庁ホームページでご覧になるか、健康対策課(T E L097-506-2663)で配布していますので、お問い合わせください。