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土砂災害とは、主に大雨や地震が引き金となって発生する、土石流・がけ崩れ・地すべりなどの自然災害です。
近年、降雨の長期化やゲリラ豪雨の発生などにより、土砂災害が頻発しています。土砂災害は、家屋倒壊や人命に関わる恐ろしい災害です。
大分県は、温暖な気候や山・海など自然豊かな環境に恵まれています。私たちは、それらの自然からたくさんの「恵み」を受け毎日を過ごしていますが、自然は時として大きな「災害」をもたらすことを忘れてはいけません。
自然災害から生命を守るためにはどうしたら良いのでしょうか。今回は土砂災害防止について県の取組などを紹介します。
↑平成5年から令和2年までに起こった土砂災害発生箇所
県土の約7割が山地で、複雑な地質構造を持つ大分県では、毎年のように土砂災害が発生しています。昨年も42件発生しました。
【砂防(さぼう)えん堤(てい)】
大雨が降った時などに、上流から流れてくる土砂を一時的に止めるものです。
大分市
【擁壁工(ようへきこう)】
山が崩れたとき、コンクリートの壁で土砂を止めます。
国東市
【のり枠工(わくこう)】
山が崩れないようにコンクリートの枠で斜面を覆います。
中津市
自分たちが暮らす地域の危険を知ることが大切です。
○「ハザードマップ」を確認しましょう。ハザードマップには、災害が起こりそうな場所や、被害を受けそうな範囲、避難所などが表示されています。ハザードマップは市町村が公開しています。
○お住まいの場所が、「土砂災害警戒区域(イエローゾーン)や土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)(※)」に指定されているか確認しておきましょう。ハザードマップや県ホームページ、県土木事務所で確認できます。
※土砂災害の恐れのある区域を指定したものです。この区域にお住まいの方は特に早めの避難を心がけてください。
土砂災害の前兆現象に注意しましょう。
山鳴りや腐った土のにおい、地面のひび割れや湧き水など、日頃と違う現象には注意が必要です。
○安全・確実に避難しましょう。
・市町村が出す警戒レベルで確実に避難しましょう。警戒レベルは、皆さんがとるべき行動を5段階に分けて発令するものです。
・警戒レベル3や4が発令されていなくても、気象庁などが出す防災気象情報(大雨警報など)を参考に、早めの避難をしましょう。
適切な避難行動のためには、迅速かつ確実な情報収集が必要です。日頃の備えとしてもご活用ください。
おおいた防災アプリ
避難情報や気象情報などのプッシュ通知に加え、避難所検索機能なども備えています。※ダウンロードは無料です。
App Store
GooglePlay
おおいた防災ポータル
県ホームページから閲覧可能です。様々な災害・防災関連情報を見ることができます。
おおいた防災VR
自然災害を仮想現実(VR)の映像で体験できる「おおいた防災VR」をYouTubeで公開しています。疑似体験を通して災害の怖さを知り、日頃の備えや早めの避難の重要性を感じてください。
■問 砂防課 097-506-4634
■問 防災対策企画課 097-506-3155
臼杵市北海添(きたかいぞえ)区 区長
長野孝一(ながのこういち)さん
当地区では昨年度、県や市と一緒に、土砂災害に備えて、ハザードマップの見直しや危険箇所の確認、タイムライン(※)の作成などを行いました。
従来「防災」という観点では、主として「南海トラフ地震」に強い意識が向いていたのですが、今回の取組を通して「土砂崩れは自分たちの身近にある災害なんだ」と目が向くようになりました。これが、大きな成果です。
もう一つの成果として、住民の要望が具体的な形になったということがあげられます。ハザードマップの見直しを行った結果、緊急避難場所を従来の場所からより近くて雨風をしのげる場所へ移したのですが、それは、この取組に参加した住民の方の要望によるものでした。
他にも、タイムラインを作成する際、いわゆる避難弱者と呼ばれる方々をどのように救助していくかも話し合いました。その中で、日頃から地区の方の顔や考えが分かるようにしておくことが減災につながっていくのだという思いを共有することができました。
今後は、今回の取組を一過性のもので終わらせないよう、どのように継続していくか考えながら地区の防災活動に取り組んでいきたいと思います。
ハザードマップ見直しの様子
※タイムラインとは、災害が起こったとき「いつ」「誰が」「何をするか」、防災行動を時系列で整理した防災行動計画のこと。県では、地域はもちろん、自分自身や家族を守るためマイタイムラインの作成を支援しています。