本文
大分県の「地方創生」
大分県知事 広瀬勝貞
国の人口問題研究所の推計では、日本の総人口は減少を続け、このまま何もしなければ、2048年には1億人を切り、今世紀末には5千万人を下回るということです。これに対し、日本はもう十分に豊かな国だし、そうなってもいいじゃないかという考えもありますが、実は、国民一人当たりGDPは世界24位で、それほど豊かとも言えません。福祉をもう少し充実するためにも、人口を維持し、低成長でも経済成長を持続していくことが大事です。それよりも、1000兆円を超える借金を5千万人ではとても背負いきれません。それに5千万人の国では、立命館アジア太平洋大学はじめ県内の大学にこれだけの留学生がやって来ることもなくなります。
国もやはり、これではいけない、人口減少に何とか歯止めをかけようと「地方創生長期ビジョン」を定めて、合計特殊出生率を現在の1.43から先ずは1.8くらいまでに上げ、さらに人口維持に必要とされる2.07にまで上げて、2060年に1億人を確保しようという目標を掲げました。そして、経済成長率の方も1.5~2%程度を維持しようとしています。併せて、東京一極集中を是正しながら、地方にひとを呼び、しごとを創ろうという総合戦略も策定しました。
大分県でも、早速、市町村長とともに「まち・ひと・しごと創生本部」を立ち上げ、よく連携しながら地方創生を推進していくこととしています。
まずは、これからの大分県の人口をどう見るかです。出生・死亡差の自然増の決め手となる合計特殊出生率は、大分県は今のところ1.56、全国13位ですが、幸せなめぐり会いがあり、経済的にもやっていけるということで、結婚・出産・子育ての希望を実現できれば、当面は2.0、さらには2.3くらいまではいくと期待できます。
問題は、転入・転出差の社会増です。国は毎年10万人ある東京圏への流入超過を解消しようと言っていますから、人口比の1%を大分県に受け入れるとして、1000人の社会増を目標にして取り組みたいと思います。現実はこの5年間で平均年2000人余り減っていますから、これを増加に転ずるのは容易ではありませんが、商工分野だけでなく、農林水産分野なども含めて企業誘致に力を入れ、また大分県暮らしの魅力もPRしてUIJターンの受入れも増やして、今世紀末くらいまでには100万人までに戻したいと思います。
これまで、「安心・活力・発展」の大分県づくりに取り組んできましたが、これからはその成果の上に地方創生の新しい政策をさらに積み上げていかなければなりません。人を大事にし人を育てる、仕事をつくり仕事を呼ぶ、地域を守り地域を活性化する、そんなことを柱にして、骨太の政策を進めていきたいと思います。
県政だより新時代おおいたvol.99 2015年3月発行