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知事からのメッセージ 風紋 -複雑な県民意識

印刷ページの表示 ページ番号:0001001928 更新日:2014年5月26日更新

複雑な県民意識

大分県知事 広瀬勝貞

  

 菜花に始まり、桜、牡丹と春の一大ページェントに目を奪われながら、鶯に聞きほれ、雲雀にせきたてられるように、毎日を楽しみました。春はまた、海の幸も益々美味しくなるし、山菜など山の幸からも元気をもらいます。

 今回発表された県民アンケート調査結果でも、大分県は暮らしやすい、どちらかと言えば暮らしやすいと答えた人は60.6%で、10年前の調査に比べ上昇していました。そして、その暮らしやすさを考える上で大事な要素として、美しい自然環境と美味しい食べ物を挙げた人が圧倒的でしたが、これには皆さん余り異存がないことと思います。

 ところが、そのアンケート調査では、今後大分県に期待する行政分野となると、年齢により、性別により、いろいろ分かれてきます。集計結果は、行政に求める第一は、高齢者福祉の充実、第二は医療の充実、第三は景気雇用、第四は若者定住対策という具合でしたが、注意しなければいけないのは回答者の半分が60才以上で、どちらかというとシニアの意向が反映されている面が強いと思います。若い世代で集計すると、行政に求める第一は、子育て環境の充実、第二はワーク・ライフ・バランス、第三は公共交通機関の充実、第四は教育環境と、様子は大きく異なります。これからの行政は、老若男女、いろいろの意見をきめ細かく伺いながら、多様なニーズに、片寄ることなく、バランスよく応えていくことが肝要になるかもしれません。

 それにしても、社会が進み、価値観が多様化すると、その「いろいろの意見」もさらに割れてきます。例えば「社会の助け合い」と「個人の自立」を対比させて選んでもらうと、ほぼ同じ比率(49:42)で分かれ、従って福祉の関係でも「高福祉高負担」と「低福祉低負担」を対比した選択でも結構意見が割れています(50:42)。こうなると、「一方に片寄らずバランスよく」の以前に、各コミュニティで意見を集約化し、自助、共助、公助でそれぞれやるべきことを仕分けしていくことが大事になります。

 もっと根本の、個々人の仕事に対する考え方も、「お金を得るために働く」が「生きがいや才能発揮のために働く」を上回っており(48:42)、同様に「余暇の充実」の方が「仕事の充実」より多くなっており(62:30)、正直驚きました。これは、生きがいをもってすることのできる仕事が少なくなったということもあるかもしれませんが、仕事に対する考え方が大きく変わってきているということもあり、これはこれから経営、生産性、雇用の状況なども大きく変わることを示唆しているのかもしれません。

 今年度は、安心・活力・発展プランの仕上げの年にしたいと考えていますが、以上のようにいろいろ考えておかなければならないことも多く、なかなか前途多難です。

 県政だより新時代おおいたvol.94 2014年5月発行