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上海見聞メモ
上海に行ってきました。大分県産品の販売促進で訪れたのですが、人口二千万人の伸び盛りの都市だけあって、呑み込むような旺盛な需要を感じさせます。大分県からも焼酎、醤油や各種ドレッシング等の調味料、それに梨やミカン、カボスのジュース等が既にかなり売れています。焼酎は偽ブランドが生まれる程の人気だということも聞きました。上海の元気いっぱいの取扱業者の皆さんに聞くと、牛乳、酪農品、乾椎茸、水産加工品なども有望ではないかとのことでした。豊後牛のようなおいしい牛肉は中国にはないので、規制緩和になれば随分売れるだろうという話もありました。
それにしてもいつもながら上海の活力には圧倒されます。到着したのが上海万博まであと100日という日でしたが、万博とともに上海の経済も沸き立っている感じでした。庶民の間では、不動産、住宅が値上がりして手が届かなくなった、バブル気味ではないか、という声も聞かれます。上海市政府の高官の語るところでは、実需に基づくものだ、それでも手の届かない庶民のために小さめの安いマンションの供給にも力を入れている、となかなかの強気です。
中国の国内総生産は、今年は世界第2位になるだろうと言われます。日本は経済の規模では中国に一歩譲ることになるわけですが、大事なことはこれから何をもって日本の存在感を示すかということです。量から質へ、従って、高い技術やビジネスにおける信頼性といったことがますます大事になると思います。
さて、上海といえば中国の近代化の精神的指導者ともいうべき魯迅が主として活動したところです。記念館もあり、日本との関係も深いので、見学してきました。立派な記念館でしたが、その上に我々が大分県から来たというので副館長の王錫栄氏が、記念館近くの魯迅の終の住処の寝室に愛用の別府の竹細工があるということを教えてくれました。「ぜひ拝見してみたい」と言うと旧日本租界にある家に案内してくださいました。2階の書斎兼寝室の書棚の上に竹を削って絵付けをした人形がありました。副館長によれば人形の裏には「日本別府温泉場所出 一九三一年魯迅」と書かれているそうです。魯迅が別府竹細工を通じて人口当たり留学生日本一の別府に学ぶ中国人留学生を激励しているようでした。
県政だより新時代おおいたvol.69 2010年3月発行