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大分空港が宇宙港に!
大分県知事 広瀬勝貞
4月末現在、新型コロナウイルス感染症の勢いはなかなか衰えません。
本誌がお手元に届く頃には、もう少し落ち着いているとよいのですが、やはり、しばらくは手洗いを念入りにし、咳エチケットを心がけ、例の3つの「密」、密閉空間、人の密集する場、密接した位置での会話が重なる場所、場合を避けてください。それから、県内での感染経路は、東京都、大阪府等の感染者の多い区域から持って帰ったり、そこからやって来て置いて行ったりというケースがまだまだ無視できません。恐縮ですが、これらの区域との不要不急の往来は引き続き避けてください。
それにしても、ビッグデータだ、AIだと言われる先端技術の時代、今や世界的パンデミックとなって、ウイルスや症状に関する情報には事欠かないはずですから、これをAIで読み解いて予防法や治療法ができないものかと、思いますよね。
その先端技術分野のことですが、大分空港がアジア初の「宇宙港」に選ばれました。空港が空と陸を結ぶ港なら、宇宙港は宇宙と地球を結ぶ港です。人工衛星を積んだロケットを宇宙に向けて垂直に打ち上げる発射基地は既に日本にもいくつかありますが、宇宙港はそれと違って水平型の人工衛星打上げシステムです。人工衛星を積んだロケットをジャンボジェット機の翼の下に着けてはるかな太平洋の空高く飛んで行って、そこでロケットを切り離します。ロケットは初め水平で飛んでいますが、やがて宇宙に向かい、そこで人工衛星を周回軌道に乗せて、そしてジャンボジェット機はそのまま大分空港に戻ってくるわけです。これだとロケット打上げの巨大な発射台を組む必要もないし、地上高くまで飛行機で行くわけですから、ロケットも第一段は不要でその分だけ安くできます。小型のものに限られますが、人工衛星の打上げが簡単かつ低コストでできるわけです。
宇宙には無限の可能性があると言われます。GPSの恩恵は多くの人が感じていると思いますが、これからも宇宙からの情報が生活の様々な分野に活用されます。農業や商工業等産業活動の高度化や効率化にも役割大です。防災・減災等にも有効です。そういう宇宙の様々な可能性を実現するのが人工衛星ですから、これからこの人工衛星の需要は急速に伸びていくと言われています。
この水平打上げの構想を進めているのは、世界的に著名な起業家であるリチャード・ブランソン氏が所有するヴァージン・グループのヴァージン・オービットという会社です。日本ではスペースポート・ジャパンやANAホールディングスが協力関係を結んでいます。
大分県はこういう企業、団体と協力して、これから夢多い宇宙開発の一翼を担っていきます。そんな中で宇宙関連産業がやって来たり、県内企業が自ら宇宙に挑戦して、関連産業が芽生えてくれば何よりです。大分県の観光産業の振興効果も期待されます。
そして、宇宙港のある県、宇宙に一番近い県として、大分県の若い人に宇宙や先端技術に夢を持ってもらえれば、こんな嬉しいことはありません。
~県政だより新時代おおいたvol.130 2020年5月発行~