派遣先にも男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、労働施策総合推進法が適用
派遣先事業主への適用のポイント
派遣先にも、男女雇用機会均等法(以下「均等法」といいます。)、育児・介護休業法(以下「育介法」といいます。)及び労働施策総合推進法(以下「労推法」といいます。)における以下の4点が適用され、自ら雇用する労働者と同様、派遣労働者に対しても事業主としての責任を負うことになっています。
(1) 妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止(均等法第9条第3項)
(2) 育児休業等の申出・取得等を理由とする不利益取扱いの禁止
( 育介法第10条、第16条、第16条の4、第16条の7、第16条の10、第18条の2、第20条の2、第23条の2)
(3) 職場におけるハラスメントを防止するための雇用管理上の措置等
* セクシュアルハラスメント(均等法第11条第1項・第2項、第11条の2第2項・第3項)
* 妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント(均等法第11条の3第1項・第2項、第11条の4第2項・第3項、育介法第25条、第25条の2第2項・第3項)
* パワーハラスメント(労推法第30条の2第1項・第2項、第30条の3第2項・第3項)
(4) 妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置(均等法第12条、13条第1項)
さらに、「労働者派遣法や「派遣先が講ずべき措置に関する指針」(以下「派遣先指針」といいます。)により、派遣先が労働者派遣契約の締結に際し、派遣労働者の性別を特定する行為は禁止されています。もちろん職業安定法や均等法の趣旨からも、派遣労働者に対し性別を理由とする差別的取扱いを行ってはなりません。
1 派遣先に対する男女雇用機会均等法等の適用
◇1 妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止
◇2 育児休業等の申出・取得等を理由とする不利益取扱いの禁止
◇3 職場におけるハラスメントを防止するための雇用管理上の措置等
◇4 妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置
2 派遣労働者の性別を特定する行為の禁止
◇ 1 派遣労働者の性別を特定する行為は禁止
労働者派遣法に基づく「派遣先が講ずべき措置に関する指針」においては、紹介予定派遣の場合を除き、派遣労働者を特定することを目的とする行為は禁止されています(指針第二の三)。
派遣先の事業主が労働者派遣契約の締結に際し、「女性を(又は男性を)派遣すること」などと限定することも、この指針に違反します。
紹介予定派遣の場合は、派遣労働者を特定することを目的とする行為を行うことができますが、派遣労働者の性別を理由とした差別を行うことは、原則として指針に違反します(指針第二の十八(四))。
また、派遣先の事業主は、労働者派遣契約を締結するに当たって派遣労働者の性別を記載してはならないこととされています(指針第二の四)。
◇2 性別を指定して労働者派遣を要請
性別を指定して労働者派遣を要請することは、均等法の趣旨からしても問題です。
均等法第6条第 1項で性別による差別的取扱いが禁止されている「配置」には、労働者派遣も含まれます。
したがって、派遣元の事業主が派遣先からの男女いずれか一方の性別を指定した労働者派遣の要請に応じることは、原則として均等法に違反するものです。
◇3 育児休業等を取得する派遣先の労働者の業務についての労働者派遣
以下の休業を取得する派遣先の労働者の業務についての労働者派遣については、役務の提供を受ける期間の制限(原則1年、あらかじめ期間を定めたときは最大3年)は適用されません(労働者派遣法第40条の2第1項)。
(1)産前産後休業
(2)育児休業・介護休業
(3)産前休業に先行し、又は産後休業・育児休業に後続する休業であって、母性保護又は子の養育をするためのもの
(4)介護休業に後続する休業であって、介護休業の対象家族を介護するためのもの