本文
地域密着型の老舗企業「友岡組」
四代目である友岡誠一社長の曾祖父がスコップ1つで始めた友岡組は、まもなく創業70周年を迎える老舗企業です。豊後大野市を代表する土木・建築会社で、ダムやトンネル、橋、高速道路など、人々の暮らしを支える社会インフラの整備・施工を通じて、地域密着型の堅実経営を続けてきました。
現在、106名いる従業員のうち、女性は15名と2割に満たない人数ですが、その存在感は大きく、無くてはならない存在としてそれぞれ実力を発揮しています。女性にとって友岡組がいかに働きやすい職場か、管理本部で活躍する3人の女性にお話を伺いました。
工事営業課で現場監督の事務サポートと積算業務を担当する長澤真美さんは、7歳、5歳、3歳の男の子3人を育てるママです。テキパキと仕事をする能力の高さから、工事関係の仕事以外に社内共済制度(積み立て等)の管理や、就職説明会の案内など採用業務も手掛けています。専門学校から新卒で入社して9年。同社初の女性技術系社員として確かな足跡を残してきました。
3度の出産で産休制度を利用しました。産休は最長1年間取得できますが、長澤さんはいずれも産前1カ月と産後3カ月の計4ヵ月で復帰。理由は「生活に切り替えが欲しかったし、働くのが好きだから」だとか。ママとしてだけではなく、働く女性としての充実感も、長澤さんを輝かせる要因です。 「待機児童がいない豊後大野は保育園にすぐ入園でき、計画通りに復帰できました。会社にはとても柔軟に対応してもらえたので本当にありがたかったです。復帰後半年間は8:30~16:30の時短勤務、それ以後は8:00~17:00のフルタイムで働いています。毎日計画的に仕事をしているので残業もありません」
多くの女性社員が子育て経験者で、急な発熱など子育てにイレギュラーが発生しても、助け合う風土が根づいています。子育ても少し落ち着いたので長澤さんは今後、さらにしっかりと仕事に向き合えるよう、ギアを切り替えようとしています。 「友岡組は今、広報に力を入れています。私はCMやSNSなどで発信を積極的に行うことで、もっと多くの方に、こんないい会社があると知ってほしいです」と笑顔で語ってくれました。
「友岡組なら安心して働けるぞ」という恩師の言葉を信じ、高卒で入社して31年。竹田玲子さんは今、その言葉に間違いは無かったと心から実感しています。
竹田さんの歩みは、会社の発展期の歴史そのものでもあります。大水害に見舞われた竹田市の復興に必死で取り組んだ後、仕事がどんどん増え続け、会社が大きくなっていったこと。会社の土台が安定して、グループで新事業に挑戦したこと。4人の子育てに必死な竹田さんを「私たちも通って来た道だから」と、女性の先輩が親身になって支えてくれたこと。すべてのシーンを自分の目で確かめ、心で感じてきたという自負があります。
「会社はアットホームで、やさしい雰囲気に包まれています。25歳から61歳まで15名の女性の中心は40~50代。それは、長く安心して働ける会社という何よりの証明です。仕事はもちろん結婚や出産など人生の大切なシーンを、しっかりバックアップしてくれます」と竹田さん。こうした環境は女性の先輩だけでなく、それを見守る男性従業員や経営陣の支えがあったからこそ築けた風土に他なりません。
長年、生コン工場で事務をしていた竹田さんは、4年前に管理本部に異動し、現在は総務課人事担当として全社員の勤怠管理と給与計算、また採用業務を担当しています。システム刷新など常に進化する事務部門だけに、新たな知識への柔軟な対応力が欠かせません。 「いくつになっても新しい知識や技術が学べるのは、大変だけど刺激的です(笑)」と、竹田さんは瞳を輝かせています。
従業員一人ひとりの心に寄り添い、さりげない立ち位置で会社全体を支えているのが、取締役の友岡文(あや)さんです。結婚・子育てがひと段落した35歳の時、夫でもある友岡誠一社長の要請で入社しました。「自分の立ち位置を常に考え、経営陣と従業員の心が自然につながるような働きかけを心がけています」と言います。金融機関との折衝など会計財務を担当する一方で、細やかな「働きやすさ改革」に心を砕いています。
例えば、前述した長澤さんが、無理なく仕事と家庭を両立できるように長澤さんの希望に合わせた専用の時間割を立てました。2年前に新社屋が完成した時には、社長に交渉して給茶機を設置し、「お茶出し」から女性従業員を解放しました。年1回、30年以上続けている女性従業員だけの食事会では、みんなの意見に耳を傾け、より働きやすい職場づくりへの思いを新たにしています。
「大先輩の女性従業員の方々に学ばせてもらい、若い女性が希望をもって働くには何が必要か、試行錯誤を続けてきました。いかつい見た目で誤解されがちな(笑)夫である社長の思いを、皆さんに理解してもらえるよう努め、皆さんの声をちゃんと社長に届けることで、友岡組の理念である「和」を体現したいと思っています」
今後は女性が活躍できる会社の魅力をアピールし、女性従業員の比率を高めたいそうです。「文さんについていきます!」と長澤さんに言わせるほど、頼もしい存在の友岡さん。会社全体の調整役として、今後も出番が続くことは確かなようです。
企業名 | 株式会社 友岡組 |
---|---|
事業内容 | 土木・舗装・建築・管工事等の設計施工、生コンクリート・アスファルト合材・コンクリートブロック・砕石など建設資材の製造・販売、産業廃棄物中間処理業、損害保険代理業、土地建物・駐車場など不動産業 |
設 立 | 1968年(創業1953年) |
所在地 | 〒879-6433 豊後大野市大野町大原1172-2 |
TEL | 0974-34-2323 |
URL | http://tomookagumi.co.jp/ |
※ 2021年12月現在