epi.40 働く女性応援企業　有限会社まるみやを取材しました！

有限会社まるみやは、創業90周年の老舗です。大分県下では何世代にもわたって「まるみやの仕出し弁当」がよく知られています。大分市内のトキハ本店とトキハわさだタウンには直営店もあります。また、大分国際車いすマラソン、別府大分毎日マラソン、2002FIFA日韓ワールドカップ、宇佐神宮遷座祭、全国植樹祭など、大分県下で開催される各種イベントでは大量の弁当搬入を担当しており、確かな信頼を寄せられている企業です。

積極的に大分県産の食材を使用するなど、地元にしっかりと腰を下ろした事業展開で90周年という歴史を積み重ねてきました。2008年10月にはHACCPの認証を取得し、1日に5000個の弁当が製造可能な生産体制を確保。近年は、畑を借りて自社で菜園を運営するなど｢食で地域を元気にするカンパニー｣として、安心・安全な食の提供に取り組んでいます。

今回は、事務担当の立場から製造工場や販売現場をサポートしている、高塚史帆さん、土本なつみさん、原田真由美さんの3人に話を伺いました。

　入社して9年目になる高塚史帆さんは、注文電話の応対や直営店舗からの発注対応といった営業事務を担当しています。高校3年生の時、就職先として先生から「弁当屋さんはどう？」と、まるみやを紹介されました。

「子どもの頃から祖母や母がここの弁当を注文する姿を見ていたので、就職先としても安心できました」と高塚さん。上司や先輩は親切でやさしく、すぐになじめたそうです。勤務時間は8～16時。仕事が早く終わるので、買い物など自分の好きなことに時間を有効に使える点が気に入っていると言います。 また、カタログ類の作成や、ホームページやTwitter・LINEなどのSNSを使ったPRも、高塚さんが担当しています。LINEでモニター募集をするなど、直接お客さまとつながるSNSマーケティングの最前線で活躍しています。

「50代の社長はFacebookも使いこなすなどデジタルに強く、ああしてみよう、こうしてみようとアイデアが豊富です。誰に対しても気さくな方で、社長との距離が近い点は会社の特徴でしょうね」 直接ネットからも注文できるようECサイトの体制を整備したり、ふるさと納税の返礼品として新商品を開発したり、さまざまな挑戦を続ける原田政直社長のサポート業務に、高塚さんは熱心に取り組んでいます。老舗企業の新たな展開に、今では高塚さんの存在が不可欠になっているのは間違いないようです。

　「入社して1年が経ち、仕事にも慣れて楽しく働いています」と笑顔を見せる土本なつみさんは、電話対応や検品、伝票処理など、主に製造関連の事務業務を担当しています。7歳の女の子を頭に、一男二女の子育てに奮闘中のママである土本さんは、9～15時のパート勤務で働いています。

もともと｢食｣への関心が高い土本さんは、地元・大分市の出身。短大で食品学を学び、保育園の給食を作る仕事をしていたそうです。出産・育児を経て、再び食べものに携わる仕事がしたいと考えていた時、学生時代の恩師からまるみやを紹介されたのだとか。 「社名は以前から知っていました。実際に働き始めて、高校時代に部活の試合で出ていたのがここの弁当だった！と気づきました(笑)」。

歴史ある老舗ながら、伝統を守りつつ現代のニーズに合ったメニュー開発に積極的に取り組むなど、柔軟性のある会社と語る土本さん。自分を含め、現場の仲間と一緒に考えようとする原田社長の開発姿勢に、風通しの良い会社という印象を持ったそうです。 「子育て世代にとって、有給休暇が取りやすく、急な用事にも柔軟に対応してもらえる点はありがたいです。今は目の前のことで精一杯ですが、がんばって力をつけ、会社に貢献できる人間になりたいです」と、力強く語ってくれました。

経理や労務管理を担当する原田真由美さんは、入社して25年目です。約50名の従業員全員の給与計算や社会保険の手続き、また会計業務全般を担当しています。長崎県島原半島出身の原田さんは、学生時代を福岡市内で過ごし、縁あって大分市で暮らすようになりました。

製造ラインには多くの人が関わっています。ごはんを炊く人、煮物を作る人、揚げ物を揚げる人、箱や器に盛り込む人、運ぶ人、販売する人……。それぞれの仕事に合わせて出勤時間は異なり、一番早い仕込み担当者の出社は午前3時。一人ひとりの勤怠管理には神経を使います。顔ぶれも、20年、25年と長く勤めている人や、ダブルワークでパート勤務の人、留学生のアルバイト、高齢スタッフなどさまざまです。

「一人ひとりが安心して働けるよう、きちんと労務管理をして、間違いなくお給料を渡すのが私の務めです」と原田さん。創業90年の歴史を次世代へつなぐには、家業から企業への体制整備など多面的な進化が不可欠。その一端を原田さんは担っています。

「学生さんなど20代が一番多く、50代以上が続いて子育て世代の年代が少ないため、まだ産休・育休の利用者はいませんが制度は完備しています。穏やかな雰囲気の職場なので、安心して働けます。食べものを扱う仕事は、神経を使うけれど豊かな仕事です。私たちと一緒にがんばって下さる方との出会いを楽しみにしています」と、やさしい笑顔で原田さんが語るように老舗企業は今、未来創造のために新たな力を求めています。