epi.54 働く女性応援企業　セキュリティサービス株式会社を取材しました！

2013年9月東京オリンピックの開催決定に感化され、設立を決意。自社の隊員（従業員）をオリンピック警備に派遣することを目標に、5名弱の隊員とスタートしました。主に交通誘導警備や雑踏警備など、2号警備業務を中心に活動しています。各種研修を通して身に着けたスムーズな案内誘導と、事故の発生を未然に防ぐ判断力が高く評価され、国体やラグビーワールドカップなどのスポーツイベントでも活躍。現在、隊員数は90名弱まで増え、目標としていた東京オリンピックでも派遣依頼を受けました。

「警備＝警戒して防護する」という言葉の意味から、「警備会社」には腕力が必要な男性の職場というイメージがあります。しかし交通誘導警備や雑踏警備などの2号警備業務は、工事現場やイベント、コンサート会場などで人や車を適切に誘導することがメイン。事故やトラブルが起こるのを未然に防ぐための知識や責任感が必要ですが、体力が求められるわけではないため、女性の警備員も増えつつあるそうです。そこで現在、警備員として働いている女性隊員の宮崎雅栄さん、岸原博美さん、丹羽郷子さん、宮田秀子さんの4名から、警備員の仕事についてお話を聞きしました。

まず警備会社で勤務するメリットとして、全員が口を揃えるのが「高収入」。屋外での仕事が多く、労働場所も現場によっては遠隔地になるといった仕事の特性上、他の職種に比べて時給、日給が高く設定される警備業。特に、「従業員が楽しく居心地が良く、生活レベルの向上を目指す会社でありたい」と経営理念を掲げる「セキュリティサービス株式会社」は、他の警備会社での経験がある宮崎さんから見ても、魅力的な給与設定だそうです。また県内にとどまらず全国各地に派遣されることもあるため、ご当地のおいしいものを食べるのも楽しみの一つだとか。他にも「笑顔で誘導すれば、笑顔やありがとうの言葉が返ってくる（岸原さん）」「国道の補修など、税金が投入された大規模な工事に立ち会うなど、大きな仕事に関わっているという充実感がある（丹羽さん）」「目の前で道路や建物などが組み上がっていく様を見ると、感動を覚える（宮田さん）」などの意見が上がりました。

近年、交通誘導や雑踏警備の現場では、「住民に安心感を与えることができる」「女性の方が声をかけやすい」などの理由から、女性警備員の需要が高まっています。また女性特有の柔らかな口調は、警備員が注意せざるを得ない状況でも、トラブルを避けやすいと重宝されているようです。 それでも依然として男性の多い業界ではありますが、女性が働きやすい職場へと変革を始めていると現場では感じています。「昔の工事現場は男性社会で、女性の指示など聞かないという作業員も多かったのですが、最近はそのような人は減ってきました。現場監督が女性であることもありますし、作業員の中にも女性が増えてきたことも関係していると思います。また以前は悩みの種だったトイレも、最近では男女別のトイレを設置してくれる現場が増えてきて、働きやすくなりました」と宮崎さんは教えてくれました。

「出退勤に時間を取られるため、他の仕事より拘束時間は長いと思う。でも日給月給制なので、働いた分だけ収入に反映されてやりがいがある（岸原さん）」「別の仕事をメインとしてダブルワークをしていますが、少ないシフト希望でも対応してもらえるので助かっている（宮田さん）」「交通誘導2級の資格取得を目指しているが、教材は会社支給、事前講習に出席する日も勤務とみなされるなど、バックアップ体制がしっかりとしている（丹羽さん）」など、本人の希望や目的に合わせて働き方を選べるのが、この会社の選んで良かった点だそうです。まだ、女性が働く上での課題が完全に解決されているとは言い切れませんが、前述した通り、急速に女性のための働き方改革が進んでいる業界でもあります。今後、警備業が女性の就職先の選択肢として、当たり前となる日も近いのではないでしょうか。

「私は、警備業はサービス業だと思っています。もっと女性が活躍する余地があります」と語る、代表取締役の蜷川重忠さん。「会社にとって一番大切なのは人。研修や資格取得の支援などによりサービスの価値を高めた結果、弊社はクライアント企業と、高単価で契約してもらえています。それを給与として隊員に還元しています」と、高い給与設定の理由を教えてくれました。

従来の警備員とは一線を画す、スタイリッシュな制服の採用。時短勤務や半日勤務など、新しい働き方の提案といった女性採用のための取り組みにも積極的です。現在まで利用実績はありませんが、産休育休、子育て支援のための保育園との提携なども準備済み。それぞれの現場に派遣される隊員同士のコミュニケーションにも気を配り、新年会やお花見、ビアガーデンなどの社内イベントも充実しています。仕事の終了報告に来る隊員のための談話スペースや、飲み物、お茶菓子の用意なども好評です。「今後は女性の管理職採用や、遠隔地での業務増加に伴う、営業所の出店を計画しています」と、さらなる飛躍を期待しています。