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醸造技術を循環型社会へと生かす
三和酒類株式会社は、焼酎や日本酒、ワイン、ブランデー、リキュールなど、幅広く製造する総合醸造企業。「下町のナポレオン」として知られる麦焼酎「いいちこ」を中心に、「美味しい焼酎は良い原料から」という考えをもとに、原料や水にこだわり、培ってきた経験と技術を傾けて、理想の味を追求しています。醸造の副産物を利用して、食品素材や飼料・肥料の原料、エネルギーへの活用を研究するなど、循環型社会の構築にも取り組んでいます。
渡辺薫さんはサポート本部総務課に勤務。主に従業員の健康診断および2次健診の受診状況管理、来客対応と会社案内などを担当しています。大学進学のため県外に出ましたが、地元で働きたいと思いUターン。酒類メーカーの仕事に興味があったこともあり、三和酒類株式会社に入社しました。現在の仕事については、「従業員の健康についてサポートできることにやりがいを感じています。また外部からのお客さまに直接、会社の魅力をお伝えする機会が多く充実感があります」と、満足しているようです。
3児の母でもある渡辺さん。現在時短勤務制度を利用中ですが、一人目、二人目の時は育休の取得後、時短勤務の申請をせずに子育てをしたそうです。「一人目で何とかなったので、二人目の時も時短勤務を利用しませんでした。今回三人目で初めて申請しましたが、働くママにとって朝の1時間の余裕がどれだけ貴重であるかを感じています。また以前までの時短勤務は子どもが小学校に上がるまででしたが、現在では小学校3年生を修了するまでに延長となり本当に助かっているママたちもたくさんいると思います」と、時短勤務が仕事のパフォーマンスに大きな影響を与えることを実感しているようです。
今後の目標は、経済産業省の「健康経営優良法人認定」を取得することだとか。「現在でも福利厚生に関しては恵まれた環境だと思いますが、認定基準を満たすように取り組みを進めることで、より働きやすい会社になり、従業員のモチベーション向上にもつながると思います」と、教えてくれました。またコロナの影響も3年目になり、今まで実施してきたコミュニケーション企画が中止になったことで、特にこの3年で入社した従業員にとって、大きな影響を与えていることを危惧。アフターコロナを見据えて、新しい形のコミュニケーション企画を計画しているそうです。
業務改善の提案が積極的にできる制度が整っており、特定の年齢層だけを対象としていたがん検診の助成制度を全従業員がいつでも利用できるよう更新したのは、渡辺さんのアイデアだとか。会社の心と体の健康、魅力アップのために活躍している姿から、仕事と家庭を両立している充実感が伺えます。
「弊社は製造業ということもあり、全社員に占める女性の割合は30%程度。管理職のほとんどは男性です。なので、管理職への昇進の話をいただいた時は、自分に務まるのかという不安もありました。しかし、会社は働き方改革を進め、性別に関係なく活躍できるよう環境整備に力を入れているので、後に続く女性の前例となるべく頑張っている所です」。
サポート本部総務課の課長である高畑真由子さんは、安全健康や社会連携を担当しています。女性が活躍していく上で必要とされるのは、「働きやすい職場づくり」。ダイバーシティの取組で異業種の方々との交流も今後あるので是非いろいろなことを吸収して社内に展開していきたいと語ってくれました。また社内には「さん」付け運動として「下田社長」と役職で呼ぶのではなく、「下田さん」と呼ぶことでコミュニケーションを広げていくという働きやすい職場にも繋がるような運動もあるそうです。
「産休育休など、子育て支援制度は充実している」と胸を張ります。時短勤務制度は、5つの勤務形態が用意されています。ほかにも、10時から15時に設定されたコアタイムの5時間は必ず勤務して、残りの時間はフレキシブルタイムの時間帯から従業員が出退勤を決め自由に働くことができるフレックスタイム制度や、1時間単位で休暇を取れる時間休制度もあり、家庭の事情に合わせて柔軟な働き方を選べるようになっています。そのおかげもあり、出産を経験した女性従業員のほぼ100%が復職しています。また、男性の育休制度もありこれまでに4名が取得をしていますが、今後さらに多くの男性が取得し、女性の育児の負担が少しでも和らぐことを期待すると同時に、これらの制度をもっと多くの従業員に有効活用してもらい充実した働きやすい職場環境に繋げてほしいと話してくれました。
従業員の成長のために学びの機会を与えることにも積極的で、新入社員研修はもちろん、女性リーダー研修、管理職研修など該当者が受ける各種階層別研修を社内で実施するほか、マネジメントスクールや能力開発セミナーなど社外研修へも快く送り出してくれます。「私も『生産性の船』という洋上研修に参加させてもらいました。シンガポールやマレーシアに行かせてもらいましたが、非日常の中で自分を見つめ直す良い経験ができましたし、自身のキャリアアップにも繋りました」と高畑さん。
焼酎が樽の中で熟成を重ねることにより、角が取れ円熟味を増すように、三和酒類株式会社もゆるやかながら着実に柔軟な働き方のできる制度や研修の充実等を推し進めた結果、多様性に富んだ人材が育ってきているようです。
企業名 | 三和酒類株式会社 |
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事業内容 | 酒類総合醸造企業 |
設立 | 1958年 |
所在地 | 〒879-0495 宇佐市山本2231-1 |
TEL | 0978-32-1431 |
URL | https://www.sanwa-shurui.co.jp |
※ 2023年2月末現在