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社会福祉法人みずほ厚生センター
1人1人の尊厳を守り、「共育・共生」の地域づくりに貢献することを法人理念とし、高齢者や障がいを持つ人々の暮らしに寄り添い、生活のサポートを行なっています。障がい者支援事業や高齢者介護事業を主軸とし、さまざまなサービスを提供しています。
以前は妊娠や出産を理由に、辞職希望者が多かったというみずほ厚生センター。今ではなんと産休育休取得者のほとんどが職場復帰を果たし、子育てと仕事を両立させているといいます。その変化の秘訣はなんだったのか。採用担当の高橋さんにお話を聞きました。 「平成20年前後は、おっしゃる通り妊娠を理由に退職される方が多くいました。当センターとしても優秀なスキルを持った人材が去るのは痛手でしたし、なにより帰ってきたいと願う職員のためにもすぐに復帰のための制度を確立させなければと。そこで育休産休制度を充実させ、また平成22年には“短時間正規職員制度”をつくりました。」
「短時間正規職員制度というのは、実働4〜8時間の中で自由に勤務時間を決められる制度です。例えば、保育園や幼稚園の送り迎えが必要な方は、8時30分〜16時30分で勤務時間を定めることができます。非正規になると正規職員よりも給与は下がりますし、社会保険もなくなりますよね。短時間正規職員制度は、社会保険はもちろん賞与など、正規職員と変わらない待遇を受けることが可能です。自身が決めた勤務時間の割合にあわせて金額は変化しますが、これが職員からは大好評。勤務時間は子どもの成長にあわせて変えられるので、無理して働く必要もありません。」 非正規雇用や固定的な時短勤務制度ではなく、その人に合わせて柔軟に勤務時間が変えられる短時間正規職員制度。この制度を導入してからというもの、職員の復帰率は100%になり、そのうちほとんどの方が制度を利用しているのだとか。
「また、1人親世帯が多いので、短時間正規職員制度や日勤ベースの働き方ができるように優先したり、扶養手当に子1人につき3000円を加算するなどサポートを行なっています。些細な支援かもしれませんが、職員全員が働きやすい職場にしたいという思いから、制度を導入しました。」世間一般的な潮流を汲むのではなく、きちんと社内の現状と困っている職員の声を汲み上げて、制度に反映させていく。考案から実行までのスピード感があるのも、職員第一に考えている様子が伝わってきました。
短時間正規職員制度、利用者第一号の伊藤さんにお話を聞きました。産休育休後、計5年間利用し、その間で2度目の産休も取得。働きながら出産、子育てを両立させることができた理由とは何だったのでしょうか? 「産休に入るときも仕事を辞める気は全くなかったですし、できる限り続けたいからと出産直前まで現場に出ていました。育休明けも戻る気満々で(笑)、上司に相談していた時に制度の存在を知り活用させてもらいました。メリットはやっぱり正規職員の時と変わらない待遇で、時短勤務ができること。家のことも無理なくこなせましたね。 また、子の看護休暇があるのも助かりました。有給とは別に小学生未満の子どもがいる人は、1人につき年に5日まで休暇申請ができるんです。平日に予防接種に行ったり、昼から病院に連れて行ったりと大助かり。子がインフルエンザにかかった時は連続休暇を取得する必要がありますし、有給は枯渇しがちだったので導入された時は嬉しかったですね。」 まさに、現場の声を汲み上げた制度改革。そんな制度を活用しながら、子育てと仕事を両立させ、その上キャリアアップを目指して今も勉強中だという伊藤さん。現在はどんな勉強をおこなっているのでしょうか。
「施設長の推薦で3年前、介護技術講師の資格を取得しました。半年間、仕事と研修所を行き来しながら勉強をしていましたね。もちろん、出張扱いなので給与も発生しますし、さまざまな知識も増やせて一石二鳥。キャリアアップといっても、まだまだ現場で働いていたい。資格勉強や経験を積む中で、さらに自分の世界を広げていきたいなと思っています。今はなにより利用者さまとお話するのが一番楽しいんですよね。時々子どもを職場に連れてきているのですが、「お母さん、家よりも職場の方が笑っちょるな。」と言われてしまうくらい(笑)。仕事を辞める必要がなくて、本当によかったなあと感謝しています。」
みずほ厚生センターでは、定期的に資格取得の研修に職員の推薦を行なっているそう。介護技術講師や権利擁護指導者、大分県人権問題講師など、過去にも10名ほどが資格取得をしてきた実績もあります。法人全体のスキル向上はもちろん、利用者にとっての安心材料にもなりますね。結果、大分県全体の福祉技術向上に貢献することにもつながるため、職員のスキルアップへの投資は惜しまないとのこと。
ならではの空気感が心地いい。
妊娠が発覚した時、真っ先に主任へ相談にいったという伊藤さん。迷惑をかけてしまうかも、と不安を抱いていたからこそ、主任の第一声「おめでとう!よかったね。」と言う言葉に救われたといいます。制度を利用する職員がいる反面、現場に残された職員に皺寄せがいくことは避けられない事実。そこをどう改善していくのか、主任の渡邉さんに聞きました。 「私自身、入社時は子どもが小さかったこともあり出勤時間をずらしてもらうなど、現場のスタッフには助けてもらいましたね。本当に寛大な方が多くて、「子どもが体調を崩すのは仕方ないから、早く帰りなさい!」と逆に仕事を優先して怒られている職員もいるほど。自分が主任になってからは、現場でサポートする職員と、時短勤務ではたらく職員の双方のケアを心がけています。
復帰したいと思う職員がほとんどなのは、やっぱりスタッフ同士の風通しの良さが大きいと思います。言いたいことは言うけれど、陰でこそこそ話したりしないし。その分、訴えや要望もちゃんと受け止めて、最初から突っぱねることのないように心がけています。その人の要望を叶えるための方法を探して提案するようにしていますね。例えば、どうしても日勤でしか働けないという相談なら、日勤のみのデイサービスの事業所に移る提案もできます。最初からNOは言いたくないですしね。そんなあたたかさと、さっぱりとした空気感はうちの施設ならでは。やりたいこと、お願いしたいことを発言しやすい空気をこれからもつくっていきたいですね。」
はたらく人に精神的なゆとりがなければ、当然、利用者に思いやりあるサービスの提供はできません。利用する人も、働く人も。関わる人すべてにとってあたたかな会社でありたいという思いが伝わってきます。誰かの働きやすさの裏で、苦労する人がいないように。現場の声を吸い上げて、これからも働き方改革を行なっていくとともに、現場の温度調整を責任持って行うスタッフが育つ、みずほ厚生センターをご紹介しました。
企業名 | 社会福祉法人 みずほ厚生センター |
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事業内容 | 社会福祉サービス |
設 立 | 昭和40年 |
所在地 | 〒875-0023 臼杵市大字江無田1119番地の5 |
TEL | 0972-64-0177 |
URL | http://www.mizuhokousei.com/ |
※ 2021年4月末現在