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人にやさしく、共に成長できる会社
本田技研工業の特例子会社。社会福祉法人太陽の家の創設者である中村裕の考えに共感した本田宗一郎が、「障がいがあるなしに関係なく、ホンダのものづくりを通じて自己実現し、社会に役立てる場所」として41年前に設立しました。二輪車や四輪車、耕運機などパワープロダクツの部品製造と、研究開発や電子化業務、購買代行業務などを行います。現在の従業員数は244名、そのうち147名が障がいを持った人で、その割合は6割以上。社内では障がいのあるなしの区別なく、皆が活躍しています。
「女性も男性も育休を取りやすく、誰かが取得しても周りが協力してカバーできる職場を作れる上司になりたい」と、将来の目標を教えてくれた釜堀愛梨沙さん。現在は事業部で購買業務を担当し、依頼主のオーダーに合わせた資材や部品の代行発注を行なっています。
釜堀さんが2年前に育休を取得した時はなかなか保育園が決まらず、復職までに一年半以上の時間がかかりました。そのため復職予定を何度か延期しましたが、その度に会社の人たちが「気にしなくても大丈夫だよ」と声をかけてくれたのだとか。職場復帰の際は、元の部署、元のポジションを用意して待っていてくれたので、スムーズに仕事復帰することができました。現在も保育園のお迎えの兼ね合いで時短勤務をしていますが、「職場のメンバーには負担をかけますが、理解し、支えてくれるのですごく助かっています」と語ります。会社の福利厚生もさることながら、理解のある上司や仲間、恵まれた職場環境への感謝の気持ちが冒頭の目標につながっています。
育児休職の間は、コロナ禍もあってこれまで通り人と気軽に会えないので、相談をしたり愚痴をこぼしたりすることもままならず、つらい思いをしたそう。「仕事の目的はお金を稼ぐことだけではなく、社会とのつながりを持つということ」を実感したそうです。
事業部でエンジン部品のライン作業の班長をしている長野美穂さんは、生産と要員管理のマネージメントを担当しています。16年前に同業他社から転職してきましたが、「『ホンダ太陽』は従業員同士が協力し合える関係性が構築されており、気持ちよく働けます」と笑顔。長野さんが産休取得時に所属していた生産管理課は非常に忙しい部署だったのですが、同僚が仕事を分担して負担を減らし、重たいものを持たないようにサポートしてくれました。復職後も、子どもの病気などで突発的に休みを取らざるを得ない事情にも理解があり、休むことを重荷に感じないよう配慮してくれたそうです。現在は、男性でも育休を取ることが当たり前になるなど制度が整い、入社当時よりさらに子育てをしながら働きやすい環境になりました。働きやすさの最大の要因が、「助け合いを当たり前とする」会社の風土にあることは間違いありません。
障がいのあるなしに関係なく分け隔てなく働く「ホンダ太陽」。長野さんは16年間のキャリアの中で、障がいのある方に社外でも活躍してもらいたいという思いが芽生えてきました。外に出て視野を広げ、自信をつけてキャリアアップにつなげてもらいたいと考え、出張や業務同行など障がいのある方が社外に出る機会が増えるよう働きかけています。
最後に、事業2課課長の直野敬史さんと総務課係長の後藤哲治さんにお話を伺いました。現在直野さんは部署異動されましたが、お二人は総務課で労務や経理、人事などを担当し、働き方改革に尽力されてきました。 「定められた限度を上回る休暇を与えることはできませんが、定められた権利は、本人が気持ちよく取得できるよう周知しています」と直野さん。有給休暇未消化分が発生しないように本人の代わりに管理したり、出産予定から逆算して、産休育休などの申請書類の提出スケジュールを通知したりするなど、従業員が働きやすくなるよう制度運用を工夫されています。
国から「子育てサポート企業」の認定を受けた時も、基準を満たすために何かを追加、変更する必要はなかったそうです。「当社は本田技研工業株式会社の特例子会社で、障がいを持っている方をメインに採用活動をさせていただいています。日頃から男女、障がいのあるなしに関係なく、みんなが使いやすいユニバーサルデザインの観点でいろいろなものを作っており、福利厚生もその一つです」と後藤さん。施設や制度、企業風土に至るまで、設立時の「ユニバーサルデザイン」の理念が息づいているようです。
企業名 | ホンダ太陽株式会社 |
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事業内容 | 部品製造(二輪車・四輪車・パワープロダクツ)、データ領域業務(スタイリングデータ作成、購買代行業務など) |
設 立 | 1981年 |
所在地 | 〒879-1505 大分県速見郡日出町大字川崎3968 |
TEL | 0977-73-1414 |
URL | https://honda-sun.co.jp/top/ |
※ 2022年11月現在