epi.32 ハーネスタクシー株式会社を取材してきました！

昭和５９年創業のトキハタクシーのグループ会社として、女性が輝ける場所を作りたいという思いから平成31年に設立。「地域のお抱え運転手」として、介助タクシーや児童の送迎タクシーなど地域限定で独自のサービスを提供しています。

「女性が活躍できる職場」を標榜する企業は、この十数年で増えてきていることはみなさんご存知のことでしょう。しかし、実際には女性が就ける職種が限られていたり、職域が限られていたりとまだまだ「男性社会」である職場は少なくありません。一般的にブルー系といわれる、建設・土木・製造・物流などの業界は特にその傾向が強いように思います。今回取材をさせていただいたのは、そんなブルー系の中にあって、業界の風雲児とも目されるハーネスタクシーさん。女性ドライバーならではきめの細かいサービスを展開し、大分市内を中心に着々とファンを増やしているといます。

さっそくお話をうかがったのは、ドライバーの二宮さん。入社１０ヶ月のフレッシュな３０代の女性です。知り合いから紹介を受け説明会に参加したものの、本当に自分に務まるのだろうかと最初は入社を迷われたのだとか。するとお試し乗務をして決めてはどうだと、職場見学の機会をもらえることに。「助手席で先輩とお客様のやり取りを見聞きするうちに、不思議とやる気がメラメラ（笑）わずか10分の時間で、次回もあなたにお願いしたいと言っていただける先輩の姿に憧れて入社を決意しました。」と入社の動機を語ってくれました。

彼女の話によると、入社後は、約1ヶ月をかけて会社補助の下、自動車学校で二種免許の取得と、ランドマークとなる病院や学校、お店など地理の勉強に明け暮れる日々。ときには、先輩が車でエリアをぐるぐると案内してくれたそうです。接客方法や日報の書き方、ナビの設定方法など、実務的な研修を経て、いよいよ路上での同乗練習。先輩から太鼓判を押されたら、短い距離のお客様を担当させてもらえるようになります。当時を振り返ってみると、事務所に戻るたびに先輩たちが「大丈夫？困ったことはない？」気軽に声を書けてくれたのも心強かったんだとか。「乗務中は基本一人なので、仕事終わりの時間が唯一の交流の場です。世間話で盛り上がるものの、変にベタベタしたり、ギスギスすることがなく、節度な距離で接することができるので、いい関係性だと思います。」二宮さんは深くうなずきながら、そう付け加えてくました。

そんな二宮さんの乗務デビューは、耳の不自由なお客様でした。配車センターから連絡を受け、戸惑っていると、先輩が同乗してくれることに。そのお客様は足を怪我されているとのことで、乗り降りの手助けも必要でした。緊張の中、筆談でコミュニケーションを取りながら、なんとか病院までお連れしたときのことです。お客様の口が【あ・り・が・と・う】と大きく動いたといいます。「それでまずは安堵感、そして次にじわじわと喜びがこみ上げてきました。お客様に喜んでいただけるとやっぱり嬉しいですよね。」それが彼女の最も想い出深いエピソードだそうです。

実はハーネスタクシーでは、このような心温まるエピソードであふれています。同社ではドライバーのことをコンシェルジュと呼び、さまざまなアイデアを発揮して、お客様に快適な移動時間を提供しているのです。たとえば、ドアサービスをしたり、アメやマスク、おしぼりなどを準備したり、空気清浄機を搭載したり、車内の装飾にこだわったり、病院やお買い物に付き添ったり、会話を盛り上げたり。こうしたおもてなしの精神は、高く評価されており、覆面調査による大分市のタクシー協会のサービスコンテストにおいて、驚異の７ヶ月連続１００点を達成。リピート率も年々上昇傾向にあり、またそれが社員のモチベーションアップにもつながっています。

最後に二宮さんに、２４時間交代制という働き方について質問をしてみました。二宮さんは、「逆に主婦にとっては意外といいかもしれません！」とケロリ。「家事のために中抜けをしたり、仮眠をしたり、休憩は適宜自分で取れるんです。それに１日出勤したら翌日が休みなので、疲れも解消されます。１日有給をとれば、３連休、２日取れば５連休ですから、休日に家族サービスをしている主婦もたくさんいますよ。」とのこと。

さらに歩合給だけでなく、最低保証給もあるため生活も安定するのだとか。その他、スキルアップを希望すれば、運行管理者の資格や介護職員初任者研修などの資格取得支援もあり、キャリアアップも可能。企業内保育園など女性が長く活躍できる職場環境づくりが行われています。実際に２０代〜５０代まで、さまざまなバックボーンを持った女性が活躍している様子を見ると、なるほど、「女性が活躍できる会社」とはこういうことなのかと、しみじみ感じさせられました。