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電気の困りごとを解決して65周年
1958年の創業以来、電気工事のスペシャリストとして様々なニーズに応え続ける大和電業社。マンション、病院、ショッピングモールなどの電気工事を中心に、半世紀以上活動してきました。近年では高度な設計力と施工技術を駆使し、工場や上下水道処理の制御系エンジニアリング事業を足掛かりにコンビナートの機械制御にも取り組んでいます。2023年にはZEBプランナーとして登録されるなど、積極的に社会的課題にも取り組み、持続可能な未来の実現のために活動中です。
総務経理部主任として経理の仕事をする傍ら、働き方改革やDXの推進、採用、教育など人材開発グループの仕事も兼務する丹羽量子さん。家庭では2児の母として、日々子育てにも奮闘中です。前職では東京の不動産会社に勤務していましたが、第二子出産に合わせて大分県に帰郷。家業である大和電業社に入社しました。
「入社した当時は、女性が活躍できるイメージの湧かない会社でした」と語るように、男性の比率が高く、現場作業中心の業務内容。育児や介護など、家庭と両立させる女性が働きやすい制度が整っておらず、また、働きたいという意思を持つ女性への理解が足りていませんでした。このような環境で、仕事をしながら子育てをすることの難しさを実感した丹羽さんは、自らが改革の中心に立つべきだと使命感を抱いたそうです。そこで女性社員はもちろん、男性社員も子育てに参加しやすい会社への変革を目標に掲げ、時短勤務や30分単位の有給取得制度、育児休暇中5日間の給与支給など、次々と新しい制度を提案しました。
休暇を取得しやすい職場環境や、上司や同僚の協力が得やすい職場づくりも推進するため、自らが仕事と家庭を両立する女性の先駆けとなるように心がけているそうです。「社長が自分の考え方や、従来のやり方を押し付けるのではなく、柔軟に受け入れてくれたこと。何より身近な家族として、子育てを両立する娘を見て大変さを理解してくれていたことに助けられました」と教えてくれたように、改革をするためには経営者がその意義を理解することも重要な要素のようです。
働き方改革を推進していく中で、大きく変化しているのが採用です。育児や介護との両立、残業ができない、短時間勤務、テレワークなど多様な働き方が当たり前の時代において、会社の生産性を上げるには、一人ひとりの「強み」に着目した人材育成が必要になります。「現在大和電業社は、採用枠を文系学生にまで広げています。そこには、やる気さえあれば活躍できる人間に育つという教育体制への自信があるからです」と丹羽さん。社員同士がお互いを支えあう組織づくりや、一人ひとりの個性に向き合い教育する姿勢など、先進的でありながら、家族的な温かさを感じる施策には、子育てを経験している母親の視点が生かされているように感じます。
「会社で女性活躍を妨げる要因は、『経営者のマインド』だと思います」と語るのは、代表取締役社長の大西康生さん。バブル時期や、その後の厳しい経済状況を「仕事優先」で乗り切ってきた反面、家庭を省みることが少なかった自分と、それが当たり前だった社内の意識を変えていこうと思ったきっかけは、子育てと仕事の両方にイキイキと頑張る娘、丹羽さんの姿だったそうです。
従業員の幸福と会社の成長を両立させるため、かつての“納期のためなら徹夜も辞さない”社風から、現在では生産性向上と労働時間削減に注力しています。従業員は、家庭や自身のキャリアアップなど、余裕のある時間を充てることができ、その選択を尊重されています。また生産性向上のために、DX化も積極的に推進しています。現場作業中心の会社ではありますが、計算、集計、連絡、図面制作など会社に持ち帰る仕事も多く、特に見積や原価管理などは、工期が長く、現場ごとに会計を行う事業の特殊性もあり、大幅な省力化につながっているそうです。さらに、DXを成功させるための従業員教育にも力を入れており、OJTに加え県主催の講座などを活用しながら、使い勝手の向上と効率化を追求しています。これにより時短勤務や、30分単位の有給休暇の導入につながり、残業を月平均14時間まで減少し、有給休暇の平均取得率も10日に向上しました。
もう一つの特徴は、採用から教育までのサイクルを重要視していることです。過去には求人活動を外部の大手就職情報会社に委託し、マニュアル通りに進めていましたが、現在では全社を巻き込んで積極的に採用活動に取り組んでいます。会社説明会には社長を含む各部署の担当者が参加し、学生との接点を持つことを大切にしています。説明会や懇親会で会社の全てを見せることで、仕事だけでなく社員の人間性も評価され、就職希望につながっています。教育面では従来の「背中で教える」スタイルを改め、きっちり言語化。3年間の教育カリキュラムの中で、一人前の従業員に育て上げる取り組みを行っています。このような教育を通じて、上司と部下が共に成長する好循環を実現しています。
今は孫にメロメロだという大西社長。孫を持つことで初めて理解した子育ての困難さと、異なる仕事観への再認識を通じて、女性活躍と働き方改革を推進している最中です。その姿は、65周年を迎えてますます成長し続ける大和電業社と重なります。
企業名 | 株式会社大和電業社 |
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事業内容 | 電気設備工事業、製造現場の制御系エンジニアリング事業など |
設 立 | 1958年 |
所在地 | 〒870-0815 大分県大分市南春日町11-5 |
TEL | 097-545-2331 |
URL | http://www.d-yamato.jp/ |
※ 2023年10月現在