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◇土地収用法の事業の認定を受けた収用適格事業について、その起業地内にある特定所有者不明土地を収用等しようとするときは、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(所有者不明土地法)の規定により都道府県知事に対し、特定所有者不明土地の収用等についての裁定を申請することができます。
◇都道府県知事による公告・縦覧の結果、土地所有者等から異議の申出があった場合等には、特例制度による手続は却下されれ、必要に応じ土地収用法に基づく裁決手続を行うことになります。
◇都市計画法の認可等を受けた都市計画事業についても、同様に所有者不明土地法の裁定手続が可能です。
収用委員会による権利取得裁決及び明渡裁決を都道府県知事による裁定に一本化するとともに、審理手続を省略することで、手続に要する時間の短縮が見込まれます。
所有者不明土地法において「所有者不明土地」とは、相当な努力が払われたと認められる方法により探索を行ってもなおその所有者の全部又は一部を確知することができない一筆の土地のことをいいます。
【相当な努力が払われたと認められる方法】
◇土地の所有者と思料される者の氏名又は名称及び住所又は居所その他の土地の所有者を確知するために必要な情報(土地所有者確知必要情報)を取得するために次の(1)~(4)の全ての措置をとる方法
(1)土地の登記事項証明書の交付を請求すること。
(2)当該土地の占有者その他の土地所有者確知必要情報を保有すると思料される者(※)に対し、当該情報の提供を求めること。
※土地の所有権以外の権利者、固定資産課税台帳・地籍調査票等を備えると思料される市町村長等、親族、在外公館の長等
(3)土地の所有者と思料される者が記録されている住民基本台帳その他の書類(戸籍簿、除籍簿、戸籍の附票)を備えていると思料される市町村長又は登記所の登記官に対し、当該情報の提供を求めること。
(4)所有者と思料される者に対し、書面の送付その他の土地の所有者を特定するための措置(書面の送付又は訪問のいずれか)をとること。
(参考)
○土地の所有者の探索について
国及び地方公共団体以外が収用適格事業や地域福利増進事業の実施準備のために住民票の写しや戸籍謄本の交付を請求するためには、事業を実施しようとする区域内の土地の所在地を管轄する市町村の情報提供担当部局から土地所有者等を知る必要性を証する書面の交付を受ける必要があります。
所有者不明土地法において「特定所有者不明土地」とは、所有者不明土地のうち、「現に建築物(簡易な構造の小規模建築物(※1)又は朽廃建築物(※2)を除く。)が存せず、かつ、業務の用その他の特別の用途に供されていない土地」のことです。
特定所有者不明土地は複雑な補償金の算定を要しない土地であり、「土地収用法の特例」と「地域福利増進事業」の対象となります。
※1 物置、作業小屋又はこれらに類するものであって、階数が1(平屋建て)で、床面積が20平方メートル未満の建築物
※2 壁、柱、屋根、建築設備その他の部分の損傷、腐食その他の劣化により、その本来の用途に供することができない状態となったと認められ、国土交通大臣が定める耐用年数(告示指定)を超えている建築物
所有者不明土地法に関する詳細は国土交通省のホームページで御確認ください。
国土交通省HP: http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk2_000099.html#horei