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始めていますか?『プレコンセプションケア』

印刷ページの表示 ページ番号:0002285867 更新日:2025年1月24日更新

”プレコンセプションケア”とは?

プレ(Pre)は「~の前の」
コンセプション(Conception)は「受胎」、つまりおなかの中に新しい命をさずかることをいいます。

 プレコンセプションケア(Preconception care)とは、若い男女が将来の妊娠や出産を意識して、日々の生活や健康に向き合うことです。

 性別を問わず、早い段階から正しい知識を得て健康的な生活を送ることで、将来の健やかな妊娠や出産につながり、未来のこどもの健康の可能性を広げます。

 こどもを持つ選択をするかしないかにかかわらず、プレコンセプションケアに取り組むことはあなた自身の豊かな人生につながります。

​なぜ”プレコンセプションケア”が大切なの?

妊娠・出産には適切な時期があります

 女性は生まれる前から体内に卵子を持っています。卵子の数は、母親のお腹の中にいる胎児の頃が一番多く、約700万個と言われていますが、その後新しい卵子が作られることはなく、年齢を重ねるとともに減少します。
 また、妊娠する力(妊孕力(にんようりょく))は下の図のとおり20代前半が最も高く、その後は徐々に衰えていきます。さらに35歳以上の高齢妊娠・高齢出産では、赤ちゃんの染色体異常の発生率が上昇します。
 高齢妊娠・高齢出産による母体のリスクとして挙げられるのは、妊娠高血圧腎症、妊娠糖尿病といった合併症や、帝王切開分娩になる可能性があることです。
 合併症が原因で早産になることもあります。流産のリスクも高くなります。

 男性は思春期以降、体内で毎日精子がつくられますが、年齢が高くなるにつれて精子の運動率や質が低下し、妊娠しやすさが下がるとともに、赤ちゃんの染色体異常の発生率が上昇します。
 また、喫煙や過度の飲酒、肥満など不適切な生活習慣が精子の能力低下に関与していると考えられています。

女性の年齢の変化による卵子の数の変化

 

卵子の数

(出典)一般社団法人日本生殖医学会|一般のみなさまへ‐生殖医療Q&A

女性の年齢の変化による妊娠する力(妊孕力(にんようりょく))の変化

妊孕率

(出典)一般社団法人日本生殖医学会|一般のみなさまへ‐生殖医療Q&A

不妊の増加

 厚生労働省の調査によると、不妊症検査や不妊治療を経験したカップルは『4.4組に1組』という結果が出ています。
 若い時に「生理不順を放置していた」「生理痛をがまんしていた」などが将来の不妊の原因となることがあります。
 また、不妊症カップルの約半数は男性が原因とも言われています。
 女性だけでなく男性も、妊娠や出産に関する正しい知識を得て行動し、将来の不妊のリスクを減らしましょう。

リスクのある妊娠の増加

 若い女性のやせと肥満の増加、出産年齢の高齢化などから、リスクの高い妊娠が増加しています。
 ​20代女性では、5人に1人がやせ(BMI*18.5未満)と言われていますが、特に、若年女性のやせは骨量減少や、低出生体重児*出産のリスク等との関連があります。
 プレコンセプションケアを実施し、妊娠前にリスクを減らしていくことが、健やかな妊娠・出産や生まれてくる赤ちゃんの健康につながります。

 *BMI…『Body Mass Index』やせや肥満の度合いを示す指数です。
     詳しくは「自分の『適正体重』を知ろう」をご覧ください。

 *低出生体重児…生まれたときの体重が2500g未満の赤ちゃんを指します。
         小さく生まれた赤ちゃんは、母親の子宮の外で生活するには未熟なことが多く、
         特別なケアや治療が必要なことがよくあります。

人生100年時代を生きるために

 こどもを持つ選択をするかしないかにかかわらず、プレコンセプションケアを実施することは、あなた自身の豊かな人生につながります。
 あなたが将来やりたいことを思い切り楽しむためには、健康であることが第一です。

 

始めよう! ”プレコンセプションケア”

 ”プレコンセプションケア” は特別な人だけが取り組むような難しいことではありません。
 以下に、具体的に何をすればよいのかご紹介します。
 まずは始められそうなことから、1つずつ始めてみましょう!

(1)バランスのよい食事をとろう

 1日3食、できるだけバランス良く主食・主菜・副菜をとることで必要な栄養素をとることができます。
 栄養バランスの偏りや、高カロリーな食生活を続けることは、生活習慣病などの病気のリスクを高めます。

 一人暮らしを始めた、忙しくて食事の準備をするのが大変…という方は、ぜひこちらのレシピ集もご覧ください。
   ↓

*大分県食品・生活衛生課作成

(2)自分の『適正体重』を知ろう

適正体重とは、身長に合った体重のことをいい、もっとも病気になりにくい体重のことです。
『身長(m) × 身長(m) ×22*で計算することができます。

*適正体重の中の理想値を算出する場合

【計算してみよう!】日本人の平均身長に対する適正体重は?

20歳の平均身長『男性:170cm』『女性:158cm』*に対する適正体重(理想値)を計算してみましょう。

身長が170cmの人の場合、​
  1.70​(m)×1.70(m)×22 = 63.58 = 約63.6kg

身長が158cmの人の場合、
  1.58(m)×1.58(m)×22 = 54.92 = 約54.9kg

*2019年 国民健康・栄養調査

あなたの適正体重も計算してみてくださいね☆

BMIについて

身長と体重から、やせや肥満の度合いを示す『BMI(Body Mass Index)』という指数があります。
​BMIは『体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)』で計算することができます。

BMIの目安(18歳~49歳)*
やせ 適正体重 肥満
18.5未満 18.5以上25未満 25以上

 栄養不足による若い女性のやせ(BMI18.5未満)は、貧血や将来の骨粗しょう症の原因になります。
 一方、栄養過多や太り過ぎ(BMI25以上)は、将来、糖尿病高血圧などさまざまな病気のリスクを高めます。
 やせも肥満も、不妊や妊娠・出産のリスクを高めます。
 男性の肥満も生活習慣病や不妊のリスクを高める報告があり、注意が必要です。
 BMIを計算して、いまの体重を評価してみましょう。

*日本肥満学会の判定基準を参考に作成

(3)適度な運動をしよう

 適正体重の維持に積極的な運動は欠かせません。血流がよくなり、筋肉量が増えることで代謝も高まります。
 運動は身体の健康だけでなく、こころの状態にも良い影響を与えます。
 プレコンセプションケアでは、1週間に150分程度の運動をめやす*としています。

*WHO(世界保健機関)が推奨する
ガイドライン

めじろん 応援(2)

 

(4)質の良い睡眠をとろう

睡眠不足は、うつ病や生活習慣病の悪化など、心身に不調を及ぼします。
体内時計を整えるために、まずは寝る時間、起きる時間を見直すことなどから始めてみましょう。

睡眠に関する推奨事項*

【成人】

  • 睡眠時間は6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保しましょう!
  • 日常の食生活や運動、寝室の睡眠環境などを見直して、睡眠休養感を高めましょう!
  • 睡眠の不調・睡眠休養感の低下を感じる時は病気が潜んでいることもあるので注意が必要!

【中学・高校生】

  • 睡眠時間は8~10時間を目安として必要な睡眠時間を確保しましょう!
  • 朝は太陽の光を浴びて、朝食をしっかりとり、日中は運動をして、夜更かしはほどほどに!

*(出典)健康づくりのための睡眠ガイドリーフレットから(厚生労働省)

健康づくりのための睡眠ガイドリーフレット(厚生労働省) [PDFファイル/553KB]

健康づくりのための睡眠ガイド2023(厚生労働省) [PDFファイル/6.08MB]

(5)感染症から自分を守る

 感染症の免疫がない女性が妊娠し、妊娠中に感染症にかかると、おなかの中の赤ちゃんに影響を与える可能性があります。
 健康診断を積極的に受けたり、ワクチン接種で予防できる感染症は接種を検討してみましょう。

性感染症について

近年、若い人の間で性感染症が増えています。

 感染しても症状がないことも多く、知らず知らずのうちに感染してしまうことがあります。

梅毒が急増しています!(大分県健康政策・感染症対策課)

ワクチン接種で予防できる感染症の例

子宮頸がん
 子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐHPVワクチンの接種ができます。
 ​ヒトパピローマウイルス(HPV)は、性的接触のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスですが、その中には子宮頸がんをおこしやすい種類のものがあります。
 ワクチン接種の有無にかかわらず、20歳になったら2年に1回、子宮頸がん検診を受けましょう。

子宮頸がん予防(HPV)ワクチンについて​(大分県健康政策・感染症対策課)

風しん
 
妊娠初期の女性が風しんにかかると、赤ちゃんに難聴などの先天性の障害が起こる可能性があります。
 妊娠する前に予防接種を受けておくことが大切です。
 また、妊婦さんへの感染予防のために、周囲の人も予防接種を検討してみましょう。

風しんに気をつけましょう!!(大分県健康政策・感染症対策課)

麻しん(はしか)
 妊娠中に感染すると妊婦さん本人が重症化することがあります。
 感染力が極めて強く、空気感染、飛沫(くしゃみ等のしぶき)感染、接触感染など様々な感染経路によって感染します。
 非常に感染力が強いため、手洗いやマスクのみでは予防できません。
 ワクチン接種により抗体を獲得することが最も有効な予防法です。

麻しん(はしか)に注意しましょう!(大分県健康政策・感染症対策課)

(6)ストレスとうまくつきあおう

 現代社会はストレスが多く、こころの不調を抱えることもあるでしょう。
 まずは自分がストレスを感じていることに気づくことが大切です。
 また普段から自分なりのストレス解消法を見つけておきましょう。体を動かす、腹式呼吸をする、今の気持ちを書き出してみるのもおすすめです。
 困ったときには、専門の窓口に相談しましょう。

ストレスチェック*(出典)国立成育医療研究センター「プレコンノート」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◎ストレスのことや相談窓口情報はこちらから↓

こころもメンテしよう~若者を支えるメンタルヘルスサイト~(厚生労働省ウェブサイト)

(7)基礎体温を測ってみよう

 基礎体温とは、生命を維持するのに必要最小限のエネルギーしか消費していない安静時の体温のことです。
 女性のからだはホルモンの影響で、周期的に基礎体温が変化するため、
 基礎体温を測ることで、次の月経予定日や妊娠しやすい時期など、自分のからだのリズムを知ることができます。

基礎体温の測り方

  • 基礎体温は専用の体温計(「基礎体温計」「婦人体温計」)を使って、舌の裏側の付け根に体温計を当てて測ります。
  • 朝目が覚めたら起き上がらずに測定しましょう。
  • 検温後は体温を記録しましょう(記録がとれるアプリなどもあります)

(8)たばこはやめよう

 たばこはがん・心臓病をはじめたくさんの病気を引き起こします。
 また男女ともに不妊症のリスクが増加し、特に妊娠中の喫煙や受動喫煙は流産、早産、周産期死亡、低体重を引き起こす可能性があります。
 赤ちゃんが生まれた後も乳幼児突然死症候群のリスク因子となるなど、その影響はきわめて広範囲です。
 WHOは妊娠中の電子タバコの使用はリスクがあるとしています。
 自分の意思だけでやめることが難しければ、禁煙外来を活用する方法もあります。

(9)お酒は適量で

 過度な飲酒が続くと、肝障害、膵炎や糖尿病、心疾患、高血圧、胃腸障害、がんなどの病気のリスクを高めるだけでなく、量のコントロールができなくなる状態『アルコール依存症』に陥るおそれもあります。
 お酒を飲むときは『適量』を心がけましょう。
 『適量』とは『1日平均純アルコールで約20g程度』*と言われています。

*厚生労働省 健康日本21「節度ある適度な飲酒」

純アルコール量 約20g 主な酒類の換算の目安
お酒の種類 アルコール度数 純アルコール量
ビール(中瓶1本500ml) 5% 20g
清酒(1合180ml) 15% 22g

ウイスキー・ブランデー(ダブル60ml)

43% 20g
焼酎(35度)(1合180ml) 35% 50g
ワイン(1杯120ml) 12% 12g

 妊娠中にお酒を飲むと、アルコールは胎盤を通って赤ちゃんにも影響し、胎児性アルコール症候群の原因になります。
 「この量なら大丈夫」というものは確立していませんので、妊娠を考えたときからアルコールは控えるようにしましょう。
 妊娠中の飲酒は、流産・死産、赤ちゃんの先天異常・発達障害・器官形成不全につながります。
 ​妊娠中は禁酒が原則です。

​”プレコンセプションケア”チェックシート

 プレコンセプションケアチェックシートを用いることで自分の身体の状態を振り返ることができます。
 これからの自身の健康のためにできることから始めていき、1つずつチェック項目を増やしていきましょう。

”プレコンセプションケア”チェックシート

もっと知りたい!”プレコンセプションケア”

  自分の人生を考えるなかで、今はまだ考えていなくても、妊娠や出産に関する正しい知識を持ち、自身の健康管理や生活習慣を見直すことは将来のライフプランの実現につながっていきます。
  若いみなさんが将来や身体について考えるきっかけになるよう、プレコンセプションケアに関することを掲載したリーフレットを作成しました。
  ぜひご覧ください。

相談窓口

おおいた妊娠ヘルプセンター

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