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糖尿病は、血液中のブドウ糖(糖分)が慢性的に高い状態です。最初は自覚症状がなく進行し、症状が出た段階で受診した時は、重症と診断される場合も少なくありません。
糖尿病をそのまま放置して重症化すると、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症などを引き起こすおそれがあり、最終的には視力の喪失、足の切断や人工透析になる可能性があります。
人工透析が必要になった場合、生涯にわたって週3日、1回当たり4~5時間の透析が必要となり、身体的・精神的な負担によるQOL(生活の質)の低下、さらに年間医療費は約500万円ほどかかるため、経済的な負担が心配されます。
大分県の人口100万人あたり透析患者数は3667.6人と全国5番目の高さで、そのうち約4割が糖尿病に原因する透析です(2022年12月時点)。
そのため、県民の健康保持・増進と経済的負担の軽減につなげるため、糖尿病性腎症の重症化予防に向けた取組を推進する必要があります。
大分県では、平成27年度から大分県医師会や大分県糖尿病対策推進会議と協議を重ね、糖尿病性腎症の重症化による人工透析への移行を防ぐため、平成28年5月17日に「大分県糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を策定しました。
さらに、糖尿病性腎症重症化予防の取組を一層推進するため、令和元年12月25日に、大分県医師会、大分大学、大分県の三者は「大分県糖尿病性腎症及び慢性腎臓病の重症化予防に係る連携協定」を締結。
令和2年度からは、「かかりつけ医と専門医、かかりつけ医と市町村・保険者の連携体制の強化」を図り「重症化予防の更なる取組の推進」につなげるため、令和4年1月に「大分県糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を改訂しました。
市町村では、医療機関への受診勧奨やかかりつけ医と連携した保健指導等を行う対象者の抽出基準を明確にし、糖尿病性腎症重症化予防に取り組んでいます。
具体的には、
○40歳から74歳を対象にした特定健康診査※の結果、糖尿病が強く疑われる方へのかかりつけ医(おおいた糖尿病相談医)等への受診勧奨
○糖尿病が重症化するリスクの高い治療中断者や腎症機能が低下している方に対して、かかりつけ医や専門医療機関と連携した生活習慣改善のサポート など
※特定健康診査とは、
○対象者は、40歳~74歳の保険医療加入者
○内臓脂肪の蓄積に原因した高血圧症、脂質異常症、糖尿病その他の生活習慣病に着目した年1回の健康診査
糖尿病で高血糖の状態が長く持続すると、全身の血管を傷めつけ小さな血管が詰まったり破れたりします。
腎臓の濾過装置である糸球体は細い血管が多いのでこれが起こりやすく、その結果腎機能が低下したものを糖尿病性腎症といいます。