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損失の補償には、権利取得裁決で決められる土地に関する補償と、明渡裁決で決められる明渡しに関する補償の2つがあります。
損失の補償は、原則として各人別に金銭で補償することになっています。
また、補償金額については、収用委員会は当事者(起業者、土地所有者など)が申し立てた範囲内で裁決することになります。 (当事者主義 ⇒次ページ参照(別のタブで開きます。))
なお、補償の基準は、「土地収用法」及び「土地収用法第88条の2の細目等を定める政令」により定められています。
◆土地に関する補償
(a)土地に対する補償
この補償は、土地の対価にあたるものですが、近傍の類似した土地の実際の取引価格などを考慮して決定します。
補償金の額は、原則、下記の基準日における価格に、権利取得裁決までの物価の変動に応じた修正率を乗じて決められます。
土地収用法 | 事業認定の告示日 |
都市計画法 | 都市計画事業の認可の告示日 ただし、告示日から1年を過ぎたときは、その1年後の日。その後は毎年、1年経過後の日となる。 |
(b)借地権や抵当権などの消滅に対する補償
起業者が裁決により土地の所有権を取得するときは、その土地についている借地権や抵当権なども消滅します。
借地権 | 借地権の消滅には、土地所有者と借地権者との持分割合を決定し、土地価格に対するその持分割合により補償額を決定します。 |
抵当権 | 抵当権の消滅の補償は、補償額を個別に見積もることが難しいことが多いことから、通常は、土地に対する補償に含めて決定します。 |
残地補償 | 土地の一部が収用または使用されることにより、不整形な土地が残るときなど残地の価値が減って損失が生じるときは、その損失が補償されます。 |
残地収用の請求 | 土地の一部が収用されることにより、残地を従来利用していた目的に供することが著しく困難となるときは、土地所有者は意見書により残地の収用を請求することができます。 (⇒参考 意見書様式例) |
替地の要求 | 土地所有者及び関係人は、土地に対する補償金(または権利消滅に対する補償金)の全部または一部に代えて替地による補償を意見書により要求することができます。 (⇒参考 意見書様式例) |
※残地収用の請求、替地による補償の要求などがあった場合において、それらが認められるかどうかは、土地収用法に基づいて収用委員会が判断します。 例えば、替地による補償が認められるのは、金銭補償では代替地の取得が困難であり、代替地を取得しなければ従前の生活ができないというような客観的で特別な事情があると収用委員会が判断した場合に限られます。 ※事業認定の告示後において、土地所有者または関係人が、土地の形質を変更したりしたときは、あらかじめ知事の承認を得た場合を除いて、これに関する損失の補償を請求することはできません。 |
物件全部の移転料の請求 | 物件が収用地とそれ以外の土地にまたがっているため、収用地上の部分を移転させると物件が分割されることとなり、従来と同様の利用が著しく困難となるときは、物件所有者は意見書により、その物件の全部の移転料を請求することができます。 (⇒参考 意見書様式例) |
移転困難な場合の収用請求 | 物件を移転することが著しく困難であるときなどは、物件所有者は、意見書により物件の収用を請求することができます。 (⇒参考 意見書様式例) |
移転料多額の場合の収用請求 | 物件の移転料の補償をすべきときであっても、移転料が移転しなければならない物件に相当するものを取得するのに要する価格を超えるときは、起業者は、意見書によりその物件の収用を請求することができます。 |
移転代行の要求 | 物件を移転する必要がある場合において、起業者または物件所有者は、意見書により移転料の補償に代えて、起業者がこの物件を移転することを要求することができます。 (⇒参考 意見書様式例) |
残地に対する工事費の補償 | 土地の収用または使用により、残地に通路、みぞ、かき、さくその他の工作物の新築、改築、増築もしくは修繕または盛土もしくは切土をする必要が生ずるときは、この工事に要する費用が補償されます。(いわゆる「みぞかき補償」) |
工事代行の要求 | 上欄の残地工事費補償の場合において、起業者、土地所有者または関係人は、工事費の補償の全部または一部に代えて、起業者がこの工事を行うことを意見書により要求することができます。 (⇒参考 意見書様式例) |
通常受ける損失の補償 | その他、土地が収用または使用されることによって、土地所有者または関係人の通常受ける損失が補償されます。 具体的には、動産移転料、家賃減収補償、借家人補償、仮住居補償、移転雑費補償、営業補償、漁業補償などがあります。 |
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