誰もが予期しなかった形でコロナ禍に明け暮れた2020ー21年でしたが、世界は徐々にコロナ後の状況に移りつつあります。S D G Sというキーワードはもはや当たり前となり、日本政府も2030年度の温室効果ガス排出量を13年度比で46%削減するという大胆な目標を掲げましたが、それでも欧州などの環境先進国に比すると、大きく見劣りしています。コロナ禍は、遠隔会議などのコミュニケーション環境を一変させたのと同時に、私たちの価値観も大きく変えている気がします。建築関連での二酸化炭素排出量は、全体の約3分の1を占めると言われ、建築に木材を使うことは、その低減に大きく貢献すると考えられています。日本でも新国立競技場に木材が使われたことが話題になりましたが、世界ではさらに大胆かつ急速に建築物の木造・木質化が進められています。
「おおいた木の良さを生かした建築賞2021」の審査は、審査員が新メンバーとなったため、改めてこの賞の主旨を確認することから始まりました。そしてコロナ禍の状況を見ながら、書類審査に加えて可能な範囲での現地審査も行い、動画も用いるなどして審査委員全員で作品の内容を確認し、非常に熱心な議論を経て、受賞作品を決定しました。この中で、最優秀賞1点、特別賞1点、優秀賞4点、入賞4点が決まりましたが、中でも最優秀と特別賞に選ばれた作品については、どちらも甲乙付けがたく、僅差の決定となりました。
木造・木質化建築に対する期待が高まる中で、今後もさらに優れた作品をご応募いただき、大分県が世界に誇れる木造・木質建築の先進地となることを期待しています。
おおいた木の良さを生かした建築賞2021 審査委員長 末廣 香織