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特定非営利活動促進法について

印刷ページの表示 ページ番号:0002012233 更新日:2022年1月27日更新

1 法律の目的等

(1)法律の目的

 特定非営利活動促進法(以下「法」といいます。)は、特定非営利活動(法第2条第1項に規定する特定非営利活動をいいます。以下同じ。)を行う団体に法人格を付与すること並びに運営組織及び事業活動が適正であって公益の増進に資する特定非営利活動法人(以下「NPO法人」といいます。)の認定に係る制度を設けること等により、ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進し、もって公益の増進に寄与することを目的としています。

(2)NPO法人になるための基準

 この法律に基づいて、NPO法人になれる団体は、次のような基準に適合することが必要です。

 ア 特定非営利活動を行うことを主たる目的とすること
 イ 営利を目的としないものであること(利益を社員で分配しないこと)
 ウ 社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと
 エ 役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること
 オ 宗教活動や政治活動を主たる目的とするものでないこと
 カ 特定の公職者(候補者を含む)又は政党を推薦、支持、反対することを目的とするものでないこと
 キ 暴力団でないこと、暴力団又は暴力団の構成員等の統制の下にある団体でないこと
 ク 10人以上の社員を有するものであること

2 NPO法人設立の手続

 NPO法人を設立するためには、法律に定められた書類を添付した申請書を、所轄庁に提出し、設立の認証を受けることが必要です。提出された書類の一部(役員名簿については、役員の住所又は居所に係る記載を除いたもの。以下「特定添付書類」といいます。)を、申請書を受理した日から2週間、公衆の縦覧に供するとともに、遅滞なく、申請があった旨、申請のあった年月日及び特定添付書類に記載された事項を、インターネットの利用(公報への掲載でも可)により公表することとなります
 所轄庁は、縦覧期間を経過した日から2カ月以内(所轄庁の条例で2カ月より短い期間を定めている場合には、その期間)に認証又は不認証の決定を行います。設立の認証後、登記することにより法人として成立することになります。
(注1) 申請書に添付する書類は(1)~(10)となります。なお、(1)、(2)、(7)、(9)及び(10)は、公衆の縦覧に供する書類に該当します。((2)については、役員の住所又は居所に係る記載の部分を除いたもの) 

 (1)定款
 (2)役員名簿(役員の氏名及び住所又は居所並びに各役員についての報酬の有無を記載した名簿)
 (3)役員の就任承諾及び誓約書の謄本
 (4)住所又は居所を証する書面
 (5)社員のうち10人以上の者の名簿
 (6)上記1の⑵のオ・カ・キに該当することを確認したことを示す書面
 (7)設立趣旨書
 (8)設立についての意思の決定を証する議事録の謄本
 (9)設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書
 (10)設立当初の事業年度及び翌事業年度の活動予算書

(注2) NPO法人の所轄庁は、その主たる事務所の所在する都道府県の知事(その事務所が一の指定都市の区域内のみに所在する場合は、当該指定都市の長)となります。

3 NPO法人の管理・運営

 NPO法人は、法の定めにしたがって適切な管理・運営を行わなければなりません。NPO法人の管理・運営を行うにあたっては、特に次の点にはご留意ください。

・役員
 NPO法人には、理事3人以上及び監事1人以上を置かなければなりません。理事は法人を代表(注1)し、その過半数(注2)をもって業務を決定します。役員の変更等があった場合は、所轄庁に届け出ることが必要となります。なお、役員は暴力団の構成員等はなれないなどの欠格事由のほか、親族の数、報酬を受ける者の数等に制限が設けられています。
(注1)定款をもって、その代表権を制限することができます。
(注2)定款において特別の定めを置くことができます。

・総会
 NPO法人は、毎事業年度少なくとも1回、通常総会を開催しなければなりません。

・その他の事業
 NPO法人は、特定非営利活動に係る事業に支障がない限り、特定非営利活動以外の事業(以下「その他の事業」という。)を行うことができます。その他の事業で利益を生じた場合は、その利益を特定非営利活動に係る事業のために使用しなければなりません。また、その他の事業に関する会計を特定非営利活動に係る会計から区分しなければなりません。

・事業報告書等
 毎事業年度初めの3カ月以内に、前事業年度の事業報告書、計算書類(活動計算書、貸借対照表)、財産目録などを作成し、すべての事務所に備え置くとともに、所轄庁に提出することが必要です。法人の会計については、正規の簿記の原則に従って会計簿を記帳するなど、法第27条に定められた原則に従い会計処理を行わなければなりません。

・定款変更
 定款を変更するためには、総会の議決を経た上で、下記(1)~(10)に関する事項について変更を行う場合には、所轄庁の認証が必要です。

 下記(1)~(10)に関する事項以外の定款の変更については、所轄庁の認証は不要です。なお、この場合にも、定款変更後に所轄庁に届け出ることが必要となります。

(注) 定款の変更にあたり所轄庁の認証が必要となるのは、以下の(1)~(10)に関する事項となります。

 (1) 目的
 (2) 名称
 (3) その行う特定非営利活動の種類及び当該特定非営利活動に係る事業の種類
 (4) 主たる事務所及びその他の事務所の所在地(所轄庁の変更を伴うものに限ります。) 
 (5) 社員の資格の得喪に関する事項
 (6) 役員に関する事項(役員の定数に係るものを除きます。)
 (7) 会議に関する事項
 (8) その他の事業を行う場合における、その種類その当該その他の事業に関する事項
 (9) 解散に関する事項(残余財産の帰属すべき者に係るものに限ります。)
 (10) 定款の変更に関する事項

・合併、解散
 NPO法人は、総会での議決・所轄庁の認証等の一定の手続きを経て、別のNPO法人との合併又は解散を行うことができます。NPO法人が解散する場合、残余財産は、定款で定めた者に帰属しますが、その定めがない場合は、国又は地方公共団体に譲渡するか、最終的には、国庫に帰属することとなります。

(注) 定款で定めることができる残余財産の帰属すべき者は、(1)~(6)に掲げる者のうちから選定されなければなりません。

 (1)  他の特定非営利活動法人
 (2)  国又は地方公共団体
 (3)  公益社団法人,公益財団法人
 (4)  学校法人
 (5)  社会福祉法人
 (6)  更生保護法人

・監督等
 所轄庁は、法令違反等一定の場合に、NPO法人に対して、報告を求めたり、検査を実施し、また、場合によっては、改善措置を求めたり、設立認証を取り消すことができます。また、法に違反した場合には、罰則が適用されることがあります。

4 NPO法人格取得後の義務

(1)事業報告書等の情報公開と所轄庁への提出

 法人格取得後は、法及びその他の法令並びに定款の定めにしたがって活動しなければなりません。特に次の点にはご留意ください。

 ・事業報告書等の情報公開と所轄庁への提出
 法人は、毎事業年度初めの3カ月以内に、前事業年度の事業報告書等を作成しなければなりません。また、これらの書類は、役員名簿及び定款等と併せてすべての事務所に備え置き、社員及び利害関係人に閲覧させるとともに、所轄庁に提出し、一般公開されることとなります。

(注) 閲覧される書類は(1)~(9)となります。

 (1)  事業報告書
 (2)  貸借対照表(事務所への備置き及び所轄庁への提出に加えて、公告も必要となります。)
 (3)  活動計算書
 (4)  財産目録
 (5)  年間役員名簿(前事業年度において役員であった者の氏名及び住所又は居所並びに各役員についての報酬の有無を記載した名簿)
 (6)  社員のうち10人以上の者の名簿
 (7)  役員名簿
 (8)  定款
 (9) 認証・登記に関する書類の写し

(2)納税

 法人に対しては、いろいろな税金が課せられます。ここでは、一部例を挙げて説明しますが、詳細については、お近くの税務署、都道府県税事務所等にご相談ください。

 国税である法人税については、法人税法に規定された「収益事業」(その性質上その事業に附随して行われる行為を含みます。)から生じる所得に対して課税されることとなります。

 地方税(法人住民税(法人税割)及び事業税)も、収益事業から生じた所得に対して課税されます。また、法人住民税(均等割)は、所得の有無にかかわらず原則として課税されます。

(注1) 法人税法上の収益事業は、物品販売業等の下記に掲げられる事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいいます。

物品販売業、不動産販売業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、製造業、通信業、運送業、倉庫業、請負業、印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理店業その他の飲食店業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、鉱業、土石採取業、浴場業、理容業、美容業、興行業、遊技所業、遊覧所業、医療保健業、一定の技芸教授業、駐車場業、信用保証業、無体財産権の提供等を行う事業、労働者派遣業

(注2) 特定非営利活動に係る事業であっても、上記(注1)に掲げる事業に該当する場合には、当該事業から生ずる所得については法人税が課税されます。

5 認定NPO法人制度の概要

 認定NPO法人制度は、NPO 法人への寄附を促すことにより、NPO法人の活動を支援するために税制上設けられた措置であり、NPO法人のうち一定の要件を満たすものについて、所轄庁が認定を行う制度です。

(1)認定NPO法人とは

 認定NPO法人とは、NPO法人のうちその運営組織及び事業活動が適正であって公益の増進に資するものにつき一定の基準(パブリック・サポート・テストを含みます。)に適合したものとして、所轄庁の認定を受けたNPO法人をいいます。

(2)特例認定NPO法人とは

 特例認定NPO法人とは、NPO法人であって新たに設立されたもののうち、その運営組織及び事業活動が適正であって特定非営利活動の健全な発展の基盤を有し公益の増進に資すると見込まれるものにつき一定の基準(パブリック・サポート・テストは含まれません。)に適合したものとして、所轄庁の特例認定を受けたNPO法人をいいます。
 本制度は平成23年の法改正で導入され、「仮認定NPO法人」という名称を用いていましたが、平成28年の法改正により、「特例認定NPO法人」という名称に改められました。

(3)認定NPO法人等になることによるメリット

・寄附者に対する税制上の措置

イ 個人が寄附した場合

 個人が認定NPO法人等に対し、その認定NPO法人等の行う特定非営利活動に係る事業に関連する寄附をした場合には、特定寄附金に該当し、寄附金控除(所得控除)又は税額控除のいずれかの控除を選択適用できます。また、都道府県又は市区町村が条例で指定した認定NPO法人等に個人が寄附した場合、個人住民税(地方税)の計算において、寄附金税額控除が適用されます。

ロ 個人が現物資産を寄附した場合

 個人が認定NPO法人等に対し、土地、建物、株式等の現物資産を寄附した場合のみなし譲渡所得税について、その寄附財産を基金に組み入れる方法により管理するなどの一定の要件を満たす場合、国税庁長官の非課税承認又は不承認の決定が申請から一定期間内に行われなかったときに自動的に承認があったものとみなされます。また、非課税措置の適用を受けた寄附資産について、基金に組み入れて管理し、その後買い換えた資産を当該基金の中で管理する等の一定の要件を満たす場合には、国税庁長官へ必要書類を提出することで、引き続き非課税措置の適用を受けることができます。

ハ 法人が寄附した場合

 法人が認定NPO法人等に対し、その認定NPO法人等の行う特定非営利活動に係る事業に関連する寄附をした場合は、一般寄附金の損金算入限度額とは別に、特定公益増進法人に対する寄附金の額と合わせて、特別損金算入限度額の範囲内で損金算入が認められます。

ニ 相続人等が相続財産等を寄附した場合

 相続又は遺贈により財産を取得した者が、その取得した財産を相続税の申告期限までに認定NPO法人(特例認定NPO法人は適用されません。)に対し、その認定NPO法人が行う特定非営利活動に係る事業に関連する寄附をした場合、その寄附をした財産の価額は相続税の課税価格の計算の基礎に算入されません。

・認定NPO法人のみなし寄附金制度

 認定NPO法人が、その収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業で特定非営利活動に係る事業に支出した金額は、その収益事業に係る寄附金の額とみなされ、一定の範囲内で損金算入が認められます(特例認定NPO法人は適用されません。)

(4)認定の基準

 認定NPO法人等になるためには、次の基準に適合する必要があります。

 (1) パブリック・サポート・テスト(PST)に適合すること(特例認定NPO法人は除きます。)。
 (2) 事業活動において、共益的な活動の占める割合が、50%未満であること。
 (3) 運営組織及び経理が適切であること。
 (4) 事業活動の内容が適正であること。
 (5) 情報公開を適切に行っていること。
 (6) 事業報告書等を所轄庁に提出していること。
 (7) 法令違反、不正の行為、公益に反する事実等がないこと。
 (8) 設立の日から1年を超える期間が経過していること。

(注) 上記(1)~(8)の基準を満たしていても(特例認定NPO法人は(1)を除きます。)、欠格事由に該当するNPO法人は、認定(特例認定)受けることはできないこととなります。

(5)欠格事由

次のいずれかの欠格事由に該当するNPO法人は認定等を受けることができません(法47)。

・役員のうちに、次のいずれかに該当する者がある法人

イ 認定又は特例認定を取り消された法人において、その取消しの原因となった事実があった日以前1年内に当該法人のその業務を行う理事であった者でその取消しの日から5年を経過しない者

ロ 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わった日又はその執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

ハ NPO法、暴力団員不当行為防止法に違反したことにより、若しくは刑法204条等若しくは暴力行為等処罰法の罪を犯したことにより、又は国税若しくは地方税に関する法律に違反したことにより、罰金刑に処せられ、その執行を終わった日又はその執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者

ニ 暴力団又はその構成員等

・認定又は特例認定を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない法人
・定款又は事業計画書の内容が法令等に違反している法人
・国税又は地方税の滞納処分が執行されている又は当該滞納処分の終了の日から3年を経過しない法人
・国税又は地方税に係る重加算税等を課された日から3年を経過しない法人
・暴力団、又は、暴力団若しくは暴力団の構成員等の統制下にある法人

(6)認定の有効期間等

 認定の有効期間は、所轄庁による認定の日から起算して5年となります。
 特例認定の有効期間は、所轄庁による特例認定の日から起算して3年となります。
 なお、認定の有効期間の満了後、引き続き、認定NPO法人として特定非営利活動を行おうとする認定NPO法人は、その有効期間の更新を受ける必要があります(特例認定の有効期間の更新はありません。)