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OPAMデビューのおすすめ
大分県知事 広瀬勝貞
大分県立美術館「OPAM」が開館して1年になりました。お陰様でこの1年で64万人の方にご来館いただき、まずまずのスタートだったかな、と胸をなで下ろしています。
先日、新見館長も交えて、この1年を振り返りながら、これからの抱負を語り合いました。開館行事「大分世界美術館」は、誰もが「感動した、楽しかった」と評価していましたが、若者に圧倒的に人気のあった「進撃の巨人」になると「さすが、世界中にファンを持つ作品だ」と高く評価する人と、「過激すぎてついて行けない」とする人に分かれていました。「神々の黄昏」は「苦心惨憺して、あのヌーダ・ヴェリタスにご来分いただいたのに、ちょっと残念な結果だった」という感じですかね。なしか!
館長によれば「従来の美術館顧客層には、質の高い内容を提供すれば支持してくださる。今回の新美術館の使命的なターゲットは、従来は最も美術や美術館から縁遠かった、若者層、つまり小中高生、大学生、さらには若い勤労層。彼らは情報豊富で、新しいものに敏感、そして、何にも増して、『大分がどの程度、世界性を持ちうるのか』ということに、極めて繊細に感応する存在です。」ということでした。これからも「県民とともに成長する美術館」、皆さんの力で、老若男女、アーティストもそうでない人も、誰もが楽しんで、少し心打たれるような美術館にしていただきたいと思います。
年々層が厚くなるように思われる地元アーティストから、支持していただくことも大変大事です。実は昨年新装なったOPAMで恒例の県美展を開催したのですが、過去最高の出展数となり、入場者も1万7千人とこちらも最高を記録しました。ここで書道展をやったアーティストも、「会場にあわせて大きな字を書いてくれと言われたのは久しぶりだ」と、実に伸び伸びと力強い字を書いておられました。「弘法は筆を選ばず」と言いますが、展示の場所は選ぶのですかね。
昨年は県内の全小学生6万人をOPAMに招待しました。子どもたちが一番興味を示してくれたのは、榎本学芸員の大分の土と石から顔料を作ることと、例のマルセル・ワンダースのイースターエッグのようなアートでした。あれを見て、触って、こわして?くれました(修理完了)。これからも一番感受性の強いと言われる小学4年生全員にOPAMの鑑賞の機会を提供しようと思っています。
そして、大学生や既に働いている若者や若いカップル向けには、自分たちの喜びや怒りを代弁できるような場、「これだ」と共感を呼ぶ場としてやってきたいと思います。特に、子ども連れの若いカップル向けには、子どもと一緒に気兼ねなく楽しめる場としたいと思います。若いお母さん、公園デビューも良いと思いますが、折角、OPAMのある大分県、たまにはOPAMデビューをきめてみては。
県政だより新時代おおいたvol.106 2016年5月発行