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OPAM 県立美術館が開館
大分県知事 広瀬勝貞
オーパム(OPAM大分県立美術館)が開館から2か月で来館者がもう17万人と、予想以上に賑わっています。
開館記念展は、「モダン百花繚乱-大分世界美術館」と銘打って、古今東西の作品を自由に贅沢に並べて、見せてくれます。
モネの「睡蓮」と福田平八郎の「水」が競っていたり、長谷川等伯の国宝「松林図屏風」に気押されて振り返ると英国の至宝ターナーの「ブイのある海景」が押し返してきたり、千利休の竹の花入れや長次郎の楽焼きがさりげなく置かれていたり、思わず「うそだろう」とつぶやくくらい、見応えがあります。
開館の祝辞で青柳文化庁長官が言っておられましたが、「娯楽とか楽しみとかいう意味のアミューズメント(amusement)という言葉がありますが、ここの『ア』は何もいない、『ミューズ』は学芸の女神で、しきたりや理屈にうるさい女神のいないうちに、気ままに理屈抜きで楽しむという意味です。美術館もそんな気持ちで気軽に楽しんでください」。百花繚乱、新見隆館長も時代や流派にとらわれずに勝手に、しかし思い切り興をそそるように並べてみたようですから、見る方も難しいことを考えずに存分に楽しんでみたいものです。そして感動でも、共感でも、あるいは「やりすぎ」、「わからん」という反発でも結構ですが、とにかく心を高揚させてご覧いただきたいものです。その点では子どもたちは奔放です。県内の小学生全員を招待していますが、「両手で筒を作って見ると水面が動いた」とか、「初めは月かと思ったけど、座って見上げると洞窟に見えた」とか、「床石にハートの形を見つけた」とか、いろいろの楽しみ方があるものだと感心させられます。
坂茂氏の設計になる建物もやはり魅力的です。こちらも昼間は「天井とエレベーターがすごい」などと子どもたちの歓声が聞こえますが、夕刻、「ユーラシアの庭」と名付けられた1階広場の「水分峠の水草」に明かりが灯ると、ここはまた幻想的な空間に変わります。もう馴染みになった大きなバルーンの間をかくれんぼを楽しむように歩くカップル、椅子に座って静かに展覧会の余韻に浸る人と、すこし大人な人たちの世界が広がります。
県政だより新時代おおいたvol.101 2015年7月発行