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「行くままに、進むままにさながら文人画の絵巻でも
紐解くように、次第に現れてくる様」と田山花袋が
耶馬渓を表現したように、次々と景は現れる。
(No.24) 烏帽子岳の景山国川と津民川の合流点の北側にそびえる烏帽子岳の山腹に見られる。山腹の下方は机峰、山裾の淵は机淵と称され、文人たちが訪れた。現在では木が生い茂り分かりづらい。(Pなし) | |
(No.25) 酔仙岩の景「菩薩峰の景」とも呼ばれる。頼山陽が「二十五菩薩が楽を奏して至るが如く」と述べている。確かに眺めていると、観音菩薩に見えてくる。左岸のサイクリングロードや県道2号に入る橋の辺りから見るといい。(Pなし) | |
(No.26) 大屋敷の景高城山が山国川に接する一帯。頼山陽が友人たちと酒を酌み交わしながら景色を眺めた眺望岩がある。現在は木が生い茂り分かりづらい。耶馬渓鉄道の廃線跡、第二山国川橋からの眺めがいい。(Pあり) | |
(No.27) 朝天峰の景国道212号沿い、大屋敷の景の向かいに見られる。木に隠れてやや見づらいが、見る方向で違った形の岩峰が見られる。2つの景のちょうど間に駐車スペースがある。(Pあり) | |
(No.28) 擲筆峰の景この地を訪れた頼山陽は、「此の山に至り筆を投じて嘆ず」と、描ききれないほどの景観美に感嘆し筆を投げたという。仙岩山や羅漢寺も訪れたが、「山は水と呼応しなければ生気を帯びて迫ってこない。石は樹を配さなければ蒼い潤いは出ない」と言い、数日後に柿坂を再訪している。まさに、「耶馬渓」の名が生まれた場所といえる。頼山陽の詩碑が建つ河岸へは、柿坂郵便局裏手の駐在所の前から入れる。(Pあり) | |
(No.29) 祇園洞の景国道212号沿いの耶馬渓中学校を左に見た先の交差点を過ぎ、すぐ左手に石段が見える。石段を登りきると岩洞窟に祇園社が祀ってある。耶馬渓ふるさと村旬菜館から歩いてすぐ。(Pなし) | |
(No.30) 山瀬の景県道28号の柿瀬橋の北側に並ぶ3峰。対岸の耶馬渓ダム湖畔より望める。ダム湖の北には桜と紅葉の名所「渓石園」がある。(Pなし) | |
(No.31) 潜岩の景津民川に沿って奇岩がそびえ立つ。いたるところに大小の洞穴があり潜岩と呼ばれ、その間から清水が湧き出る。背後には修験の山、桧原山があり、山腹の正平寺では700年以上に渡り継承されてきた御田植祭「桧原マツ」が行われる。切り立った岩壁は津民小学校から見られる。(Pなし) | |
(No.32) 柾木の滝の景長岩城の城主、野仲氏の遊宴の地だったといわれるのも頷ける水と苔むした岩と緑豊かな一帯。「滝おり口」の看板から川へ。対岸の鎖を伝った先で滝壺を鑑賞できるが、現在は対岸へ渡る堰が崩壊しており注意が必要。遊歩道の補修計画がある。(2019年3月現在)(P・トイレあり) | |
(No.33) 柾木の景県道646号を萩原バス停から左折し、萩原氏宅前バス停を過ぎ少し上がった辺り。正面には多くのウメが植えられた大岩壁がそびえ、振り返ると山々の山腹から奇岩が飛び出ている様が見られる。(Pなし) | |
(No.34) 落合の滝の景深い緑の滝壺に、真っ直ぐに落ちる水柱の白さが際立つ。周囲を美しい節理の岸壁に囲まれ、静かに滝見できる。県道2号の左手に滝入口の看板がある。河川プールの駐車場より徒歩5分ほど。(Pあり) | |
(No.35) 川原口の景落合の滝から2キロほど先の右岸にそびえる一帯で、凝灰角礫岩が差別侵食されできた岩峰。大分県の天然記念物ゲンカイツツジが群生する。この景の奥に続く山中には、地形を活かした奇岩の要塞、長岩城跡があり、石塁、石積櫓などが数多く残る。全国的にも貴重な中世山城の遺構である。(P・トイレあり) | |
(No.36) 鋸岩・古峠の景古峠は、経読岳と雁股山をつなぐ稜線のちょうど間にある。この尾根は福岡と大分の県境で、九州自然歩道が整備されている。登山口からしばらく舗装された道を登っていく。切り開かれた杉林を抜けた先の分岐を右に取り、ひたすらまっすぐ登る。しばらく登ると前方に尖った岩が見えてくる。道が広くなり、登りつめると古峠。峠から左に向かい、古峠の景へ。最初の岩峰に出ると眼下に大きな窟が見える。さらに進むと、窟の上に出られる。風化した岩峰群を見下ろす景観は、耶馬渓の上に乗っている感覚になり足がすくむほど。 鋸岩へは古峠へ戻り脇の林道を経て登り返す。尾根伝いは通行禁止。(Pあり) |