epi.77 働く女性応援企業　合同会社アイ．ジー．シーを取材しました！

同社の代表社員である宮脇恵理さんと、同じ女性経営者という立場にある大山直美さんが立ち上げた、女性起業家・企業家プロジェクト「iGC」。Intuitive Genius Consultingをコンセプトに、2015年に合同会社を設立。女性視点と感性を大切に、全国のコミュニティーを可視化するオンラインサービス「SUITS」の運営をはじめ、イベントやセミナーの企画運営、プロジェクトや起業家の事務局としてのサポート業務など、情報や人脈のハブ的な役割を担っています。

バックオフィス事業のチームリーダーを務める岡絵美さんは、2019年にパートとして入社しました。以前は電子カルテのインストラクターをしていましたが、出産を機に退職。７年ぶりの仕事復帰でしたが、当時子どもが小学１年生と幼稚園児だったため、「家から近いことと、短い時間で働けること」が入社の決め手だったそうです。現在は顧客である企業のECサイトの注文管理や発送業務、起業家のコミュニティーの運営管理などを行なっています。「企画・提案から参加したプロジェクトが、実際に軌道に乗った時は嬉しかったです」と、仕事にも手応えも感じています。上司であるマネージャーの石黒智美さんも、「前職の経験を活かし、上手なマニュアル作りで部下を育ててくれます。わからない人の立場で教えることができる人」と、厚い信頼を寄せています。

働くことのモチベーションは子育てだと語ります。「子どもの習い事のために、子育てと仕事を両立させています。子どものやりたいことを応援できる母でいたいと思っています」。現在の岡さんは、６時間働く短時間勤務の正社員。同社では業務内容や個人に合わせてフレックス制を導入しているため、岡さんの場合は基本的に８時30分から13時30分まで出勤し、あとは在宅勤務です。「子どもが帰宅する時間には家にいたいという希望が叶うので、とてもありがたいです」と、働きやすさを実感しています。ほかにも１時間休暇や、ファミリーサポート休暇という制度があり、子どもや親の病院の付き添いから不妊治療、学校行事と幅広い用途で年間5日取得することができます。同社は13名で運営しており、役員の１名を除く全員が女性です。しかも結婚が決まっている１名を含めると全員が既婚者のため、多くの人が制度を利用しているそうです。

転職当初は、子育てがひと段落したとはいえ、長時間労働が一般的とされる設計の仕事に、少なからず不安を抱えていました。しかし、残業はほとんどなく「家族を大切に」という考えが社内に浸透しており、急な休みや早退にも上司や同僚が柔軟に対応してくれるため、前職以上に働きやすい環境を得られたそうです。

前職が男性メインの会社で、休みづらいこともあり退職したという岡さんでしたが、自分の希望する働き方ができる会社と出会い、今では充実した毎日を過ごしています。「働きたいと思ったら、まず１歩踏み出すことが大切。迷ったまま時間が経ってしまうのはもったいない！」と、働きたいママの背中をそっと押してくれました。

起業家のバックオフィス事業のマネージャーとして、顧客とのやり取りや講師派遣などの窓口業務、社員管理を行う石黒智美さんは、同社設立の翌年に入社しました。

岡さんと石黒さんを含む4人の正社員以外はパート勤務で、１つの業務につき2、3人のチームを作り、時間ごとのシフト制で運営しています。以前に比べると安定した業務体制ですが、メンバーが20代から50代と幅広く、出産を控える人もいる状況で、人材育成と人員確保がさらなる課題だと語ります。社員である二人が中心となって業務をカバーしているため、パートスタッフの短時間勤務の正社員への登用が目標。定期的な面談でやる気がある人に打診しています。また、求人に関しては応募してきた人に対し“お見合い期間”を設け、とりあえず業務をやってみた上で本人の意思を尊重しているそうです。新入社員研修に独自で制作したオンラインの学習ツールを使って業務説明を行うなど、効率化も図れています。

現在、石黒さんは、国東市在住のため出勤は週１回で、基本は在宅で働いています。会社の方針である「女性が活躍できるよう現場から出た声に耳を傾け、恣意的にならないよう気をつけながらアップデートする」に従い、石黒さんがチャットワークを使って新しい制度などの情報共有を行っています。また、働きやすい環境づくりにもチャットワークを活用していて、仕事に限らず個人的な相談にも乗っているそうです。「日頃から、子どもの病気などで休んだスタッフに対し、『申し訳ないと思わなくていいよ。お互い様だから』と声をかけています。『ごめんなさい』ではなく、自然と『ありがとう』と言える会社にしたいですね」と石黒さん。

女性のキャリアアップについても、自身の経験をもとに語ってくれました。「管理職に昇格する時は『恐れ多い』という気持ちでしたが、代表から『やってみたら？』と声をかけられました。キャリアアップは大変なことだと思い込んでいましたが、その立場になって部下に教えていくうちに、自分自身も自然と成長できました」と振り返ります。他にも外部研修を受けたり、代表が参加した研修の内容を共有してもらったそうです。「結局『自分にはできない』と思っていた時は、意識が低かったんだと思います。やる前に自分でハードルを高くするのではなく、自覚が大切。とりあえずやってみることが重要だと思います」と、これから管理職を目指す人へエールを送ります。