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大分県の温泉について

印刷ページの表示 ページ番号:0002018023 更新日:2020年8月7日更新

1 温泉について

(1)温泉の定義

 「温泉」とは、温泉法第2条で「地中から湧出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、別表に掲げる温度又は物質を有するものをいう。」と定義されています。なお、別表の内容は、次のとおりです。

 一 温度(温泉源から採取されるときの温度)             摂氏25度以上
 
 二 物質(下記に掲げるもののうち、いずれかひとつ)

物質名含有量(1kg中)
溶存物質(ガス性のものを除く)総量1,000mg以上
遊離炭酸(CO2)(遊離二酸化炭素)250mg以上
リチウムイオン(Li+)1mg以上
ストロンチウムイオン(Sr2+)10mg以上
バリウムイオン(Ba2+)5mg以上
フエロ又はフエリイオン(Fe2++Fe3+)(総鉄イオン)10mg以上
第一マンガンイオン(Mn2+)             (マンガン(2価)イオン)10mg以上
水素イオン(H+)1mg以上
臭素イオン(Br-)(臭化物イオン)5mg以上
沃素イオン(I-)(よう化物イオン)1mg以上
ふっ素イオン(F-)(ふっ化物イオン)2mg以上
ヒドロひ酸イオン(HAsO42-)               (ひ酸水素イオン)1.3mg以上
メタ亜ひ酸(HAsO2)1mg以上
総硫黄(S)[HS-+S2O32-+H2Sに対応するもの]1mg以上
メタほう酸(HBO2)5mg以上
メタけい酸(H2SiO3)50mg以上
重炭酸そうだ(NaHCO3)               (炭酸水素ナトリウム)340mg以上
ラドン(Rn)20×10-10Ci=74Bq以上                   (5.5マッヘ単位以上)
ラジウム塩(Raとして)

1×10-8mg以上

(2)療養泉の定義

 「療養泉」とは、温泉(水蒸気その他のガスを除く。)のうち、特に治療の目的に供しうるもので、環境省が温泉の成分分析法などを定めている鉱泉分析法指針の中で以下のとおり定義されています。
 療養泉の規定を満たす温泉には、温泉の泉質名が付けられます。泉質名は、温泉に含有する成分等に基づき、「ナトリウム-塩化物泉」などの名称が付けられます。また、温度が25℃以上であることをもって療養泉となる場合には、「単純温泉」と名付けられます。
 なお、温泉法に基づく温泉ではあるものの、療養泉の基準に満たないものについては泉質名がないため、「温泉法第二条の別表に規定する○○の項により温泉に適合する。ただし療養泉には該当しないので泉質名はない」と表示されます。

 一 温度(温泉源から採取されるときの温度)             摂氏25度以上
 
 二 物質(下記に掲げるもののうち、いずれかひとつ)

物質名含有量(1kg中)
溶存物質(ガス性のものを除く)総量1,000mg以上
遊離二酸化炭素(CO2)(遊離炭酸)1,000mg以上
総鉄イオン(Fe2++Fe3+)20mg以上
水素イオン(H+)1mg以上
よう化物イオン(I-)10mg以上
総硫黄(S)[HS-+S2O32-+H2Sに対応するもの]2mg以上
ラドン(Rn)30×10-10Ci=111Bq以上(8.25マッヘ単位以上)

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(3)温泉の分類

 温泉は、温度や液性、浸透圧、湧出する形態や状態などによって様々に分類されます。
 また、療養泉については、温泉療養の観点から10種類に分類されます。

1)泉温の分類
  温泉が地上に湧出したときの温度又は、採取したときの温度を泉温といい、泉温によって以下のとおり分類されます。
  県内で湧出する温泉のほとんどが高温泉にあたり、豊富な温泉資源に恵まれていることがわかります。

分類名泉温
冷鉱泉25℃未満
温泉低温泉25℃以上34℃未満
温泉34℃以上42℃未満
高温泉42℃以上

2)液性の分類
   温泉の液性は、湧出時の水素イオン濃度の値(pH)により以下のとおり分類されます。県内では、pHが低く極めて酸性が強い塚原温泉や明礬温泉をはじめ、pHが10程度のアルカリ性温泉まで様々な液性の温泉が湧出しています。

分類名水素イオン濃度
酸性pH3未満
弱酸性pH3以上pH6未満
中性pH6以上pH7.5未満
弱アルカリ性pH7.5以上8.5未満
アルカリ性pH8.5以上

3)浸透圧の分類
  温泉の浸透圧は、溶存物質(ガス性のものを除く。)、または凝固点(氷点)により以下のとおり分類されます。なお、県内で湧出する温泉のほとんどが低張性の温泉です。

分類名溶存物質(ガス性のものを除く)凝固点
低張性8,000mg/kg未満-0.55℃以上
等張性8,000mg/kg以上10,000mg/kg未満-0.55℃未満-0.58℃以上
高張性10,000mg/kg以上-0.58℃未満

4)湧出形態の種類の分類
  湧出する形態により、温泉は以下のとおり分類されます。一般に温泉地における温泉開発においては、自然湧出泉から掘削自噴泉へ、掘削自噴泉から掘削動力泉へのシフトが見られ、県内においても掘削動力泉が増加しています。

分類名湧出形態の種類
自然湧出泉自然状態のままで地表に湧き出る温泉
掘削泉土地を掘削することによって湧出する温泉
自噴泉自ら湧出する温泉
動力泉動力(ポンプなど)を利用して湧出させる温泉

5)湧出(採取)流体の種類による分類
  湧出(採取)流体の状態により、温泉は以下のとおり分類されます。本県の温泉掘削の規制にあたっては、噴気・沸騰泉と温泉を区別し、埋設管の口径等を分けて規制しています。

分類名湧出(採取)流体の種類
噴気泉水蒸気のみが噴出するもの(温度は沸点以上)
沸騰泉水蒸気と熱水の混合流体が噴出するもの(温度は沸点)
温泉液体の温泉水が湧出するもの(温度は沸点未満)

6)療養泉の分類
  温泉のうち療養泉について、温泉療養の観点から温度若しくは含有成分に基づいて分類すると、単純温泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉、二酸化炭素泉、含鉄泉、酸性泉、含よう素泉、硫黄泉、放射能泉の10種類に分類されます。それらについては、それぞれ泉質ごとに特有の泉質別適応症が定められています。
   県内では、含よう素泉と放射能泉を除く8種類の温泉が湧出し、それぞれの温泉に含有する成分は多種多様です。そのため、含有成分に富み、複数の療養泉に分類される温泉も数多く湧出しています。

掲示用泉質名定義特徴
単純温泉溶存物質量(ガス性のものを除く。以下この表において同じ。)が1kg中1,000mgに満たないもので、泉温が25℃以上のもの刺激が少なく、子どもや高齢者にもやさしい温泉です。また、アルカリ性単純温泉(pH8.5以上)では、入浴すると肌がすべすべになります。
塩化物泉溶存物質量が1kg中1,000mg以上含み、陰イオンの主成分が塩化物イオンのもの「熱の湯」と言われ、暖まりやすく、皮膚に塩分が付着するため、保温効果や循環効果があります。また、塩味で、石けんがきかないのが特徴です。
炭酸水素塩泉溶存物質量が1kg中1,000mg以上含み、陰イオンの主成分が炭酸水素イオンのもの皮膚の角質を軟化する作用があり、俗に「美人の湯」と言われます。また、暖まりやすく、浴後はさっぱりする特徴があります。
硫酸塩泉溶存物質量が1kg中1,000mg以上含み、陰イオンの主成分が硫酸イオンのもの塩化物泉や炭酸水素塩泉と同様、塩類泉で保温効果があります。飲むと胆のうを収縮させ、腸のぜん動を活発化します。
二酸化炭素泉二酸化炭素が1kg中に1,000mg以上含まれるもの入浴すると皮膚の表面に細かい泡となって付着・吸収され、保温効果や循環効果があります。温泉水を飲むと炭酸味がします。
含鉄泉鉄(2価)イオン及び鉄(3価)イオンの総量が1kg中に20mg以上含まれるもの空気に触れると酸化し、赤褐色の沈殿物が生じ、浴槽が赤褐色を帯びているのが特徴です。また、飲むと鉄の味がします。
酸性泉水素イオンが1kg中に1mg以上含まれるもの酸性が強いと入浴で皮膚にしみ、殺菌力が強く、飲むと酸味がします。鉄や硫化水素を含むときは、淡黄褐色~淡緑色になることがあります。
含よう素泉よう化物イオンが1kg中に10mg以上含まれるもの非火山性の温泉に多く見られ、放置すると黄色く変色します。飲むと総コレステロールを抑制します。
硫黄泉総硫黄が1kg中に2mg以上含まれるもの殺菌力が強いため、皮膚表面の細菌やアトピーの原因物質を取り除きます。硫化水素を含み、腐敗した卵のような臭気、いわゆる「硫黄」のかおりがします。
放射能泉ラドンが1kg中に30×10-10キュリー以上含まれるもの温泉に含まれる微量の放射能は炎症に効果的とされています。

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(4)温泉の湧出メカニズム

 本来、温泉は自然に湧き出るものをいい、雨や雪が地下にしみ込んで、それが加熱され、様々な成分が溶け込みながら地表に出てくるものです。湧き出たものが川を流れ、蒸発し雲になり雨になってまた温泉になるという、人間を介在しない大きな循環システムがつくられています。温泉は火山性の温泉と非火山性の温泉に大別でき、非火山性の温泉は深層地下水型と化石海水型に分類することができます。

  • 火山性温泉
      火山地帯では地下数km~十数kmという比較的浅い部分に、深層から上昇してきたマグマがマグマ溜まりをつく り、1,000℃以上の高温度になっています。
       地表に降った雨や雪の一部は、地中にしみ込んで地下水になり、流れていきます。この地下水がマグマ溜まりの熱で温められ、断層などの自然の地下構造や人工的なボーリング等に湧き出てきます。このようにして火山性の温泉は成り立っています。
  • 非火山性温泉(深層地下水型)
     地下では、深度が深くなるほど地下増温率で地温が上昇し、一般的に100mごとに約3℃上昇すると言われています。
     地表に降った雨や雪の一部が地中にしみ込んでいき、地下水となりますが、そのうち、地温などを熱源として温められたものが深層地下水型の非火山性温泉と考えられています。
  • 非火山性温泉(化石海水型)
     太古の地殻変動などで当時の古い海水が地中に閉じ込められている場合があります。これを化石海水と呼んでおり、非火山性の温泉の一部にはこの化石海水が起源とされるものがあります。

    温泉のメカニズム

出典:温泉のしおり(環境庁)

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2 適応症、禁忌症について

(1)適応症

  温泉療養は、特定の病気を治療させるよりも療養を行う人の持つ症状、苦痛を軽減し、健康の回復や増進を図り、全体的な改善効用を得ることを目的にしており、その効用を適応症といいます。適応症はすべての温泉にあるものではなく、温泉のうち療養泉に該当するものにおいてその効用が期待されます。温泉療養を行うにあたっては、以下の点を理解して行う必要があります。

  • 温泉療養の効用は、温泉の含有成分などの化学的因子、温熱その他の物理的因子、温泉地の地勢及び気候、利用者の生活リズムの変化その他諸般によって起こる総合作用による心理反応などを含む生体反応であること。
  • 温泉療養は、特定の病気を治癒させるよりも、療養を行う人の持つ症状、苦痛を軽減し、健康の回復、増進を図ることで全体的改善効用を得ることを目的とすること。
  • 温泉療養は短期間でも精神的なリフレッシュなど相応の効用が得られるが、十分な効用を得るためには通常2~3週間の療養期間を適当とすること。
  • 適応症でも、その病期又は療養を行う人の状態によっては悪化する場合があるので、温泉療養は専門的知識を有する医師による薬物、運動と休養、睡眠、食事などを含む指示、指導のもと行うことが望ましいこと。
  • 従来より、適応症については、その効用は総合作用による心理的反応などを含む生体反応によるもので、温泉の成分のみによって各温泉の効用を確定することは困難であること。
(1)療養泉の一般的適応症(浴用)
 筋肉若しくは関節の慢性的な痛み又はこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息又は肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進
(2)泉質別適応症
掲示用泉質浴用飲用
単純温泉自律神経不安定症、不眠症、うつ状態-
塩化物泉きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症萎縮性胃炎、便秘
炭酸水素塩泉きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症胃十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、耐糖能異常(糖尿病)、高尿酸血症(痛風)
硫酸塩泉塩化物泉に同じ胆道系機能障害、高コレステロール血症、便秘
二酸化炭素泉きりきず、末梢循環障害、冷え性、自律神経不安定症胃腸機能低下
含鉄泉鉄欠乏性貧血
酸性泉アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、 耐糖能異常(糖尿病)、表皮化膿症-
含よう素泉高コレステロール血症
硫黄泉アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、 慢性湿疹、表皮化膿症(硫化水素型については、末梢循環障害を加える)耐糖能異常(糖尿病)、高コレステロール血症
放射能泉高尿酸血症(痛風)、関節リウマチ、強直性脊髄炎など-
上記のうち2つ以上に該当する場合該当するすべての適応症該当するすべての適応症

(2)禁忌症

 禁忌症とは、「1回の温泉入浴又は飲用でも有害事象を生ずる危険性がある病気・病態」のことをいい、すべての温泉において禁忌となりうる一般的禁忌症と、温泉の泉質によって禁忌となりうる泉質別禁忌症、含有成分によって禁忌となりうる含有成分別禁忌症に分けられます。
 なお、禁忌症にあたる場合においても、専門的知識を有する医師の指導の下に行う温泉療養については、その利用が妨げられないものとされています。

(1)温泉の一般的禁忌症(浴用)
病気の活動期(特に熱のあるとき)、活動性の結核、進行した悪性腫瘍又は高度の貧血など身体衰弱の著しい場合、少し動くと息苦しくなるような重い心臓又は肺の病気、むくみのあるような重い腎臓の病気、消化管出血、目に見える出血があるとき、慢性の病気の急性増悪期
(2)泉質別禁忌症
掲示用泉質浴用飲用
酸性泉皮膚又は粘膜の過敏な人、高齢者の皮膚乾燥症-
硫黄泉酸性泉に同じ-
(3)含有成分別禁忌症
成分浴用飲用
ナトリウムイオンを含む温泉を1日(1200/A)×1000mlを超えて飲用する場合 -塩分制限の必要な病態(腎不全、心不全、肝硬変、虚血性心疾患、高血圧など) 
カリウムイオンを含む温泉を1日(900/A)×1000mlを超えて飲用する場合 -カリウム制限の必要な病態(腎不全、副腎皮質機能低下症) 
マグネシウムイオンを含む温泉を1日(300/A)×1000mlを超えて飲用する場合- 下痢、腎不全 
よう化物イオンを含む温泉を1日(0.1/A)×1000mlを超えて飲用する場合 - 甲状腺機能亢進症 
上記のうち、2つ以上に該当する場合 - 該当するすべての禁忌症 

(注)Aは、温泉1kg中に含まれる各成分の重量(mg)を指す。

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参考文献

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