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大分県の温泉の現状(泉質・ダイアグラム)
5 泉質毎の分布
大分県内には多数の温泉が分布しています。湧出地を地図にプロットすると、下図のとおりになります。
この図から、火山に近い大分市、別府市、由布市、九重町、玖珠町、日田市、少し南の竹田市に多く分布していることがわかります。
1)単純温泉
【分布】最も多い泉質であり、県全体に分布しています。
【特徴】刺激が少なく、子どもや高齢者にもやさしい温泉です。また、アルカリ性単純温泉(pH8.5 以上)では、入浴すると肌がすべすべになります。
2)塩化物泉・硫酸塩泉
【分布】塩化物泉は単純温泉の次に多い泉質であり、県全体に分布しています。
【特徴】 「熱の湯」と言われ、暖まりやすく、皮膚に塩分が付着するため、保温効果や循環効果があります。また、塩味で、石けんがきかないのが特徴です。
【分布】硫酸塩泉は由布市、別府市に多く分布しています。
【特徴】塩化物泉や炭酸水素塩泉と同様、塩類泉で保温効果があります。飲むと胆のうを収縮させ、腸のぜん動を活発化します。
3)炭酸水素塩泉
【分布】炭酸水素塩泉は単純温泉の次に多い泉質(塩化物泉とほぼ同等)であり、県全体に分布しています。
【特徴】皮膚の角質を軟化する作用があり、俗に「美人の湯」と言われます。また、暖まりやすく、浴後はさっぱりする特徴があります。
4)二酸化炭素泉・酸性泉
【分布】二酸化炭素泉は竹田市(直入町)に多く分布しています。
【特徴】入浴すると皮膚の表面に細かい泡となって付着・吸収され、保温効果や循環効果があります。温泉水を飲むと炭酸味がします。
【分布】酸性泉は別府市に多く分布しています。
【特徴】酸性が強いと入浴で皮膚にしみ、殺菌力が強く、飲むと酸味がします。鉄や硫化水素を含むときは、淡黄褐色~淡緑色になることがあります。
5)含鉄泉・硫黄泉
【分布】含鉄泉は、由布市、別府市等の一部の地域にのみ分布しています。
【特徴】空気に触れると酸化し、赤褐色の沈殿物が生じ、浴槽が赤褐色を帯びているのが特徴です。また、飲むと鉄の味がします。
【分布】硫黄泉は、別府市、日田市(天瀬町)等の一部の地域にのみ分布しています。
【特徴】殺菌力が強いため、皮膚表面の細菌やアトピーの原因物質を取り除きます。硫化水素を含み、腐敗した卵のような臭気、いわゆる「硫黄」のかおりがします。
6 トリリニアダイアグラム
化学成分濃度の相対的な割合を知ることができ、主要溶存成分の場所による違いや、同一地点での水質組成の時間変化を示すことができます。
なお、主要溶存成分であるナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、カルシウムイオン(Ca2+)、塩素イオン(Cl-)、硫酸イオン(SO42-)、炭酸水素イオン(HCO3-)について、その成分割合により1~4の位置に分布されます。
また、同じ位置にある水については、同じ成分割合であるため、同起源の水であることが推測されます。各地域の結果は以下のとおりです。
トリリニアダイアグラム説明図
1)大分 2)別府
3)西部(日田・九重・玖珠) 4)豊肥(竹田・豊後大野)
5)由布 6)北部、南東部、国東、杵築日出※
※北部:中津・宇佐、 南東部:佐伯・臼杵・津久見、 国東:豊後高田・国東・姫島、 杵築日出
各地域におけるタイプ
タイプ | イオン成分 | 特徴 | 地域名 |
1 アルカリ土類炭酸塩型 | Na+、 K+ :少ない Mg2+、Ca2+:多い HCO3- :多い Cl-、SO42-:少ない | 浅層地下水に多く見られる | 豊肥 |
2 アルカリ炭酸塩型 | Na+、 K+ :多い Mg2+、Ca2+:少ない HCO3- :多い Cl-、SO42-:少ない | 滞留時間の長い深層地下水でよく見られる | 大分、別府、西部、由布、北部、杵築日出 |
3 アルカリ土類非炭酸塩型 | Na+、 K+ :少ない Mg2+、Ca2+:多い HCO3- :少ない Cl-、SO42-:多い | 熱水や化石水が含まれる。 | - |
4 アルカリ非炭酸塩型 | Na+、 K+ :多い Mg2+、Ca2+:少ない HCO3- :少ない Cl-、SO42-:多い | 海水や温泉に多く見られる。 | 大分、別府、西部、由布、北部、杵築日出 |
7 ヘキサダイアグラム
主要溶存成分であるナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、カルシウムイオン(Ca2+)、塩素イオン(Cl-)、硫酸イオン(SO42-)、炭酸水素イオン(HCO3-)の濃度を陰イオンと陽イオンに分けて、それぞれの濃度を当量値として示し、図示したものです。
また、水に含まれる成分の割合により、形が変化し、溶解している成分量が多いほど大きくなります。
ヘキサダイアグラムの例は以下のとおりです。
※ このページに掲載されているデータの対象は1996年4月~2016年3月までに温泉登録検査機関で分析を行った温泉で、それらの分析結果に基づいて作成しています。