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【ダム本堤正面図】
【ダム本堤縦断図】
【貯水池容量配分図】
(型式) | 重力式コンクリートダム | (集水面積) | 53.8km2 | (設計洪水位) | 標高460.9m |
(調節方式) | 自然調節 | (湛水面積) | 0.48km2 | (サーチャージ水位) | 標高455.3m |
(堤高) | 56.0m | (総貯水容量) | 7,270,000m3 | (常時満水位) | 標高437.8m |
(堤頂長) | 233.5m | (有効貯水容量) | 6,190,000m3 | (最低水位) | 標高434.0m |
(堤体積) | 223,000m3 | (洪水調節容量) | 5,640,000m3 | ||
(ダム天端標高) | 標高462.0m | (不特定容量) | 550,000m3 | ||
(堆砂容量) | 1,080,000m3 |
稲葉ダム周辺の地質は、阿蘇、久住の火山を起源とする火砕流地帯の複雑な地質であることから、ダム建設時において、ダムの基礎部、貯水池周辺部に全国的にも珍しい特殊な技術が用いられています。
ダム堤体の左右岸の位置は、堅岩部の間に弱層部となるD級岩盤(ダムを支えるには弱い岩盤)を挟んだ状態となっています。(下写真)
このような弱い岩盤層への対策として本ダムでは”軟質層の上下に堅岩層が存在する”という特徴を活かし、『傾斜型造成アバットメント(人工岩盤)』を採用致しました。
稲葉ダムでは、強度や透水性の異なる堆積物が複雑に分布しているため、通常の止水工法(カーテングラウチング)は困難であると判断し、貯水池表面遮水工(Csg工法)を採用しました。
Csg工法を採用することで、資源を有効利用した構造物を築造するとともに、従来のコンクリート工法にくらべて建設費用の削減、工期の短縮、環境への負荷の軽減が図られています。
※「Csg工法(Cemented Sand and Gravel)」・・・現地で発生した砂、礫に少量のセメントと水を加えて練り混ぜた材料
<貯水池対策工におけるCsg>
稲葉ダムでは、強度や透水性の異なる堆積物が複雑に分布しているため、通常の止水工法(カーテングラウチング)は困難であると判断し、上記のCsg工法を含め、貯水池表面遮水工を採用しました。
各施工部における採用工法は以下のとおりです。
(1)斜面部 ・・・ 「コンクリートフェーシング工」
鉛直方向の浸透破壊に対する対策が必要なため、安全性・施工性・工期短縮および工事中の出水に対する被害が小さい構造である「コンクリートフェーシング工」を採用しました。
(2)河床水平部 ・・・「土質ブランケット(Csg)」
浸透水に対する対策が必要なため、対策工法としては土質ブランケットを基本としています。しかし、稲葉ダムは高透水性の基礎を有し、コア材の吸い出しが懸念されたため、Csgを併用した工法を採用しています。
※上記“Csg工法”の(2)河床部Csgに相当します。
(3)中段水平部 ・・・ 「アスファルトフェーシング工」
中段水平部では、軟質層が分布しているため、変形性の問題があることから、Csgの採用にはクラックの発生が懸念されました。また、土質ブランケットとした場合には、浸透破壊を防止するためには相当な厚みが必要となりました。
そこで、浸透破壊に対し十分な安全性を有し、かつ変形に対する追随性を有する「アスファルトフェーシング工」を採用しました。