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特集1 2025年新春対談 観光が拓く大分の未来

印刷ページの表示 ページ番号:0002264010 更新日:2026年1月15日更新

特集1 2026年新春対談 観光が拓く大分の未来

新春対談

佐藤 今回は、由布院 玉の湯の代表取締役社長、桑野和泉さんに対談をお願いしています。よろしくお願いします。
 桑野さんは(公社)ツーリズムおおいたの初代会長として、また、現在は(一社)日本旅館協会の会長としてご活躍されています。観光、そしてそれを通じた魅力の発信などの課題について、今後どのように大分県が進んでいくべきか、いろんなご意見をいただけるんじゃないかと大変楽しみにしています。


飯倉 桑野さんは今回の対談に向けていかがですか。


桑野 人口減少社会の中で、観光は地域を元気にするものだと思っています。住んでいる人も、訪れる人も、ともにいい交流が生まれることで、大分の未来が開けるのではないでしょうか。今回は知事といろんな取組についてお話ができたらと思っています。


飯倉 昨年の県内の観光関連行事について、振り返ってみていかがですか。


佐藤 2025年はたくさんのイベントがあり、本県の観光は大いににぎわったのではないかと思います。
 まず、大阪・関西万博の開催を好機と捉え、万博会場で本県の魅力をPRしてきました。特に9月の九州7県合同催事では、鶴崎踊や草地おどりの披露、進撃の巨人、ハローキティといった本県にゆかりのあるコンテンツも紹介するなど、幅広い魅力を発信しました。
 そして、万博期間中、観光キャンペーンの一環で大分空港を『大分ハローキティ空港』としたところ、大変好評でした。航空会社には、大分空港に到着する際、「ただいまから大分ハローキティ空港に着陸いたします」というアナウンスもしていただき、日本だけでなく、海外でも注目を集めました。


桑野 2025年は、大分らしい年だったと思っています。
 大分ハローキティ空港のおかげで、多様な世代、国の方々に大分を知っていただくきっかけになったと思います。また、ホーバークラフトの運航も日本で大分だけですから、観光面でも期待が高いと思います。そして、やはり宇佐神宮御鎮座1300年です。県民の知っている宇佐神宮で、1300年を期に多くの関連行事が催され、普段とは違う世界観を見せてくれました。宇佐神宮が大分にあることをすごく自慢に思いました。


飯倉 県観光の現状を九州7県の宿泊者数で見ると、大分県は2024年が832万人と、福岡県、鹿児島県に次いで3位という結果でした。


佐藤 九州の中でも大分県は、魅力的なところなんだと改めて思います。さらに、インバウンド(外国人宿泊者数)では、実は福岡県の次が大分県なんです。由布院と、別府を多くの方がご存じで、行ってみたい場所になっていると思います。


桑野 個性ある魅力的な宿泊施設があるので、国内外の方に選んでいただいているというのが大分の特徴かなと、私も宿泊業をやっていますから、うれしく思います。


佐藤 インバウンドの来県者を国別にみると、韓国に次いで、台湾、中国、最近では、欧米豪の方がすごく増えていますね。


桑野 それはすごく感じます。いろんな国の人が来ると地域の人と多様な交流ができます。また近頃では、特に欧米の方たちが私たちも知らないような魅力的な場所に行かれています。ただ、私ども地元の宿が、県内のことをちゃんと伝えるコンシェルジュとしての役割がしっかりできるようになると、もっと各地に出かけていただけると思うんですよね。私たちももっと努力しないといけないと思います。


佐藤 欧米の人たちは、例えばトレッキングやサイクリングといった体験をして、時間をかけて滞在型で楽しむ方が多くいます。また、六郷満山などの文化や歴史への関心が高いんだそうですね。

 

桑野 私たちが当たり前と思っている大分の風景に感動していただいたり、私どもが旅人に大分の良さを教わることってたくさんあると思います。大分の自然や歴史は世界から見てすごく魅力的なので、一つひとつ丁寧に発信していくと、大分の魅力も広がっていきますね。


佐藤 ほかにも、農泊に加え、漁業体験と宿泊をセットにした新しい楽しみ方ができるのも大分の魅力なのではないかと思います。


桑野  大分県は「ツーリズム」という言葉を日本で最初に使ったところだと思います。漁業や農業、林業の現場で、新たな体験を提供する取組が広がっており、大分県ではそういった取組を20年近く積み重ねてきました。今後は、そういったものを物語性をもって面的に伝えていくことが大事だと思います。


飯倉  国内全体の観光の現状について教えていただけますか。


桑野  2025年はインバウンドが過去最高でした。私どもも多くの皆様をお迎えしていますが、国は2030年に訪日外国人旅行者数6,000万人、消費額15兆円という目標を掲げています。ただ今後は、戦略を持って考えていかないといけないと思っています。
 今私どもが申し上げていることは三大都市圏以外への地方分散です。インバウンドの観光客は三大都市圏を中心に動いています。大分県も魅力的なエリアがたくさんありながら、集中している地域があるのではないかと感じています。同時に、地域の人たちと観光客の交流の場をつくり、大分の魅力を伝えることで、大分ファンを増やす取組に注力したいと思っています。


佐藤  県内各地に魅力的なところはたくさんあるので、いろんなところを巡ってもらえるようになると、オーバーツーリズムの問題も解消されるし、観光で地域がもっと元気になりますね。


桑野  地方分散を考えていくうえで必要なことは、観光客の移動の足となる二次交通と言われますが、その点はいかがですか。


佐藤  課題があると思います。これからどう解決していくかですね。例えば、Sky Drive(スカイドライブ)社とJR九州、大分県の3者で空飛ぶクルマの活用に向けた協定を結んでいます。Sky Drive社からは、2028年度頃には空飛ぶクルマで、別府湾の周遊を始め、その後は別府と由布院を15分ぐらいで結んで運航したいと言っていただいています。
 空飛ぶクルマで移動して、空から由布岳を眺めるといった新しい楽しみ方もできるようになるかもしれません。また、昨年サンフランシスコに出張した際、Waymo(ウェイモ)という完全自動運転のタクシーに乗りました。スマホで呼び出すと数分ぐらいで来て、目的地まで連れていってくれます。日本ではまだ導入されていませんが、こういった技術が導入されてくるとさらに移動が便利になりますね。


桑野  人手不足は地方はより深刻です。自動運転などの新たなテクノロジーも少しずつ身近になってきています。空飛ぶクルマで空から大分を見るという体験も、将来あり得るんだなと思うとわくわくします。大分は絶えず新しいことにチャレンジしてきました。西洋音楽の発祥の地、日本で最初に外科手術が行われた地です。テクノロジーと大分の魅力を掛け合わせ、新しい世界をつくっていくのも、大分の観光はもちろん、地方創生のモデルになるのではと思います。


飯倉  観光の先進的な取組事例を教えてください。


桑野  兵庫県豊岡市の城崎温泉の事例です。宿泊施設70軒ぐらいがそれぞれのデータを出し合って、このシーズンはお客様が減るのでイベントを企画するといったことをしています。勘ではなく、データをもとに取り組んでいるのですが、何よりもまち全体で取り組んでいることがすばらしく、リピーターを生んでいます。また、神奈川県の箱根町では、多くの観光客で道が混雑するんです。それをAIを使って、一極集中しないように周遊ルートを提案するという取組をしています。地域でチームを組み、データを駆使して戦略を持って観光に活かすという取組が増えているのはとてもうれしいです。


佐藤  県のツーリズム戦略でも、データに基づいた取組を進めていくことになっています。県内のバラエティ豊かな観光地をつないで協力していくと、 そういうことができてくるんですね。


飯倉  県では、年間宿泊者数850万人の目標を掲げています。今後の成長戦略について、どのように考えていますか。


佐藤  大分にしかないもの、そして世界に誇れるものをもっと発信していきます。例えば、大分国際車いすマラソンや別府アルゲリッチ音楽祭です。別府アルゲリッチ音楽祭には世界中の方に来県いただいています。これをずっと続けていけるように魅力をさらに高めていくことが必要です。
 そしてもう一つ、大分にしかないのは、日出町にあるハーモニーランドです。サンリオエンターテイメント社が昨年末に、ハーモニーランドをエンタメリゾート化して、宿泊施設も含めて大きな魅力のある拠点にしていこうという計画を発表されました。
 大分にしかないものをさらに発信していき、それを入り口として、県内全体に観光客を広げていけるような取組が戦略の一つではないかと思います。
 もう一つは、夏でも涼しい大分というのを発信してみたらどうかなと思っています。例えば、くじゅう高原や由布院、鍾乳洞、冷泉など、県内には涼しいところはたくさんあるんですよ。夏に涼しい大分というのを発信できないでしょうか。


桑野  昨年、日本中が猛暑でした。戦略として、涼しい、夏を楽しめる大分をアピールしていくというのは重要なことだと思います。由布院は標高が450メートルありますので朝夕、夏は涼しいんですね。くじゅう連山はもっと涼しいと思いますし、男池や由布川峡谷など、水にちなむところが県内にはたくさんあります。食べ物も臼杵のフグなど夏においしいものもあります。今年は夏の戦略を早々に練らないといけないと思っています。


佐藤  ぜひよろしくお願いします。そのほかにも作者が日田市出身の漫画「進撃の巨人」では、たくさんの方が日田市内の作品ゆかりの地に行っていますね。


桑野  推し活の時代ですし、大分は推し活できるところもたくさんあります。そういった方に県内に2泊、3泊していただき、県内を拠点にして九州を周遊してもらうのもいいですね。


飯倉  観光資源をもっと活かして、18市町村、そして九州一体となって、まだまだ観光業が盛り上がっていきそうですね。


桑野  大分県は、ワインや日本酒、焼酎、そして食材も豊かなので、それらを発信し、実際に来ていただいて県内で召し上がっていただけるようにできるといいと思います。


佐藤  大分に来ないと食べられないというものがあってもいいですよね。


桑野  大分の持っている観光素材には力があります。また、18市町村には横のつながりがあり、仲の良い関係性が築けています。大分の魅力やこうした基盤を活かし、次のステージの観光につなげていければと思っています。


飯倉  今回のお話を振り返っていかがでしたか。


佐藤  大分の観光のポテンシャルを改めて感じました。大分にしかない、大分が誇れるものがたくさんあるということも改めて気づきましたので、こういうものを大切にして、地方創生に取り組んでいければと思います。


桑野  私は大分県で生まれ育ちましたので、大分が大好きです。世界の人に大分に来ていただきたい、大分のファンになっていただきたいという思いをいつも持っています。大分にはここにしかないものがたくさんありますので、それに物語性を持たせて、世界に発信していただければと思いますし、私どもみんなついてまいりますので、どうぞ先頭に立って世界に挑戦していただけたらと思っています。


佐藤  ありがとうございます。人口減少や二次交通など、さまざまな課題もあります。その課題一つひとつにみんなで力を合わせて取り組んでいけば、もっと魅力的で多くの人が訪れてみたい、そして、ずっと住み続けたいと思える大分県が実現できるのではないかという思いを新たにしました。今回は本当にありがとうございました。


桑野  ありがとうございました。

 

知事と桑野さん


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