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OITA4.0 ~おもしろくなってきました~
大分県知事 広瀬勝貞
新聞紙上では上々の評判でしたが、佐伯の宇目で、ドローンの実証実験をやりました。佐伯市番匠商工会がかねてから買い物に不自由する住民のため日用品の宅配サービスをしていたのですが、それをドローンで空からやってみようというわけです。合計10kgの荷物を2軒のお宅に配るという全国初の実験でしたが、結果は大成功でした。これから法令の整備とともに、実用化に進むと思います。
第4次産業革命の時代に、大分県もこの流れを県民生活の向上や経済・社会の発展に役立てようと「OITA4.0」と銘打って様々挑戦しています。
ドローンもその一つですが、最近アバターの活用にも取り組んでいます。「アバターって何?」と、ネットで検索してみると、元はサンスクリット語の「化身」という意味だそうで、自分の分身として、現物でも仮想上でもいいのですが、ロボットを創って、そのロボットを通じて買い物や旅行の体験をしたり、遠隔の地の子ども達に講義をしたり、さらには未踏の深海や宇宙を探検したりするのだそうです。ANAホールディングスがこれを活用した社会実験をするというのでテストフィールドを提供することにしています。ロボットを通じて例えば、佐伯の海を舞台にブリ釣りを体験してもらえば、迫力満点、「本当に佐伯に出かけてやってみたい。」という人々が続出するでしょう。観光PR等にも使えますね。
ドローンやアバターは、見たり、触ったりできるから判るような気がしますが、ビッグデータやAI(人工知能)となるともう判りません。あわててPCや携帯を使いこなしている身近の若い人に尋ねてもたいてい確かな答えは返ってこないので、「この世界は効能さえ理解しておけば、それ以上は判らなくてもいいのだ」と安心しています。
その効能からみても、OITA4.0は随分浸透してきています。例えばビッグデータを使って農作物の生育環境を完全に把握し、農業生産性向上に活かしたり、工業の分野でIoTを使って生産を自動化し、販売、サービスを効率化して売上げを伸ばしたり、ホテルでは顧客のニーズを、即座に、あるいは事前に把握してサービス向上に繋げたりと、競争力の向上には必須の要素になりつつあります。
OITA4.0は企業誘致にとっても追い風になります。姫島へソフトウェア会社がやってきたのはご存じのとおりですが、これも離島という立地条件の悪さを情報通信技術で乗り越え、地元の人と自然の魅力を前面に打ち出すことができたお陰です。
OITA4.0の仕掛けは判らなくても、アンテナを高くして見ていると、自分のくらしや仕事に活用できそうなものが見えてくるような気もします。そして一歩前に出て挑戦してみることです。
しかし、注意もお忘れなく。先日、私の携帯に大手通販の名で「あなたの会員登録料が未払いになっています。本日中に表記に電話がなければ法的措置をとります。」というメールがありました。たまに利用してる通販ですから驚きましたが、いきなり訴訟は怪しいと相手にしていません。油断も隙もありませんが、光には影あり、OITA4.0にはそんなことも自覚しておくことが大事ですね。