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知事からのメッセージ 風紋 -幼児教育は難しい

印刷ページの表示 ページ番号:0001025588 更新日:2016年2月23日更新

幼児教育は難しい

大分県知事 広瀬勝貞

 

 「ご褒美で子どもを釣るのはいけない?」という表紙の帯に惹かれて、「学力の経済学」という本を買ってしまいました。結論は、ご褒美は悪くない、問題は目的で、「この本を読んだら」とか「1時間勉強をしたら」と子どもに具体的な努力を求めるのは効果的だが、「もっとお行儀を良くしたら」とか「テストで良い点をとったら」という将来の結果を求めるのは、子どもの努力に繋がらず、効果的でないということです。ご褒美も大人の設計次第ということでしょう。その本には「子どもを褒めて育てるべきか?」という設問もありました。これもやり方次第で、「よく頑張ったね」と努力を褒めるのは良いが、「頭が良いね」と能力を褒めると却って努力をおろそかにして、子どものやる気を蝕むことになるそうです。これも大人の責任重大ですね。

 そこで、あらためて幼児教育について教育委員会の専門家に聞いてみました。すると、幼児教育は、人間の知力、記憶力などの知的能力と、自制心、やり抜く力などの意思能力を総合的に教え育むことだそうです。それならあまり難しく考えることはないのかと思いましたが、さにあらず、幼児教育は、教えるよりも子どもの持っている能力を引き出し、育むことに重点を置かなければならない、それも子どもの大好きな遊びを通じてやらなければならない、遊びの中でいろいろなことに興味をもって、何かと自分で考えるようにして将来の学びや生きる力に繋げていくことが大事だと解説してくれました。幼稚園等の先生は子どもと遊びながら教えるのだから大変ですね。

 なかなか難しい問題に踏み込んでしまったなと後悔していたら、この本にはまた、「教育については、いつ投資すべきか?」という設問もあり、早ければ早いほど投資効果は大きいと嵩にかかってきます。早いほど良いけれど、他方、幼児教育はまさに幼児期で能力の発達段階が大きく異なり、向き不向きもこれから明らかになってくる子どもたちが相手ですから、一人ひとり丁寧に当たっていかなければならない、画一的なやり方では対応できないもののようです。結局は、この分野の研究者や幼稚園等の力も借りながらも、ご両親が自ら関わっていかなければならない部分が多いのかも知れません。ご両親とも仕事で忙しい時かもしれませんが、幼児期ばかりは親が日頃から愛情いっぱいに子どもに向き合い、丁寧に能力を引き出すようにすることが大事だと思います。

 

 県政だより新時代おおいたvol.105 2016年3月発行