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ジオパークとは、火山の噴火やプレートの移動などの地球活動によってつくられた地形や地質(地質遺産)等について、その成り立ちなどの調査研究を行いながら、教育・学習活動やツーリズムなどに活用し、地域活性化につなげる取組を行っている地域のことです。
ジオパークの見どころは、地域の地史や地質現象がよくわかる地質遺産をはじめとして、その大地の上に広がる自然や、そこで営まれる人々の生活の中で育まれた歴史、文化、産業など、様々な地域資源から構成されています。
ジオパークを推進する地域では、大地の成り立ちに気づき、大地に育まれた自然、歴史、文化等を見つめ直すことで、「ここしかない」という地域への愛着が一層高まっています。
大分県では、ジオパーク活動を支援しています。県内では、平成25年9月に「おおいた姫島ジオパーク」と「おおいた豊後大野ジオパーク」の2地域が日本ジオパークに認定されました。
県北東部に位置する姫島(ひめしま)は、約30万年前から始まった火山活動で形成された山々が、瀬戸内海が誕生したことによって島となったものです。瀬戸内海西部では唯一の火山でできた島であり、火山活動の痕跡として7つの火口があるほか、海底にも火口と推定される地形が確認されています。
島内随一の景勝地である観音崎一帯は、全国的にも珍しい乳白色の黒曜石の断崖を見ることができ、国の天然記念物に指定されています。火山活動によって生み出された姫島産の黒曜石は、石器の材料として西日本一帯に流通し、これを利用した様々な道具は古代の人々のくらしを豊かにしました。
島の各所の砂浜には、渡りをする大型蝶のアサギマダラがスナビキソウを求めて休息に訪れます。また、波の浸食によってつくられた切り立った崖には、ハヤブサなどの猛禽類が営巣しています。そして、人々は生きるために、砂浜を活用した塩田に始まる産業を興し、時代とともに姫島の産業は豊かな海と豊富な砂浜を活用した車えび養殖へと姿を変えてきました。
豊後大野市は県の南西部に位置し、市の南部の山々は、海洋プレートが大陸の下に沈み込んでいく時に剥ぎ取られ、陸地側に張り付いて出来た付加体と呼ばれる岩石からできています。これらの古く固い地層の上に、約9万年前に起きた阿蘇山の大噴火による火砕流が押し寄せ、厚く積もった火砕流堆積物が岩(阿蘇溶結凝灰岩)となったことで、現在の豊後大野の地盤が形成されました。
大地を覆いつくした火砕流は冷えて固まり、柱状節理と呼ばれる柱が並んで立っているような規則的な割れ目を持った岩となりました。山々が涵養した水は、その岩を削って大地に滝や渓谷などの特徴的な地形を生み出しました。
火砕流に覆われた大地の上にも自然の植生が根づき、豊かな土壌を育みました。人々はそれらを利用して畑を耕し、山とともに生き、山々を敬う神楽などに代表される無形文化遺産を生み出しました。また、豊富にある阿蘇溶結凝灰岩を巧みに利用した、磨崖仏や石橋などの石造文化財も数多く存在しています。