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令和3年度高校生防災リーダー県内視察研修を実施しました
高校生防災リーダーとは?
文部科学省から委託を受け実施している「防災教育モデル実践事業」の一環として令和2年度から「大分県高校生防災リーダー養成事業」を行っています。
県立高校生の発達段階を考慮して、社会の一員としての主体的な防災活動を普及させることを目的としています。
今年度は津久見高校、別府翔青高校、日田林工高校(新規3校)、竹田高校、杵築高校、臼杵高校(継続3校)の計6校で実施しています。
学校ごとで実施方法は異なりますが、委員会活動や部活動などで学習や実践などを行っています。
被災地視察研修(日田市天瀬地区)
本来であれば、東日本大震災の被災地である東北地方(宮城県、岩手県)へ8月中旬に視察に行く予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の感染が爆発的に増えている時期であったため、残念ながら急遽中止となりました。
その代替視察研修として、県内の身近な被災地に目を向けるという視点から、今も豪雨被害からの復興の途中である日田市天瀬地区にて視察研修を実施しました。
津久見高校、別府翔青高校、日田林工高校の3校から10名の生徒が参加しました。
天ヶ瀬温泉街の視察(フィールドワーク)
玖珠川、天ヶ瀬温泉街のフィールドワークを行いました。
一般社団法人「あまみら」の代表 近藤真平さんから、天ヶ瀬温泉街周辺の被災直後の状況や復興の様子、現在の状況などを聞きながらフィールドワークを行いました。
私たちが歩いた道にも川の水があふれ、川の一部のようになり民家の1階部分を飲み込んでいたそうです。
2m以上の浸水があったところもあったと聞くと生徒たちは「え!私たち(の背丈)より上まで!?」と災害時の様子を身をもって感じていました。
新天ヶ瀬橋の跡地、復旧された成天閣の橋と、豪雨により増水して橋まで水位が上がっているときの写真を見比べ、増水した川の勢いや水位の上がり方、流木の被害の大きさに驚くばかりでした。
また、近藤さんからは災害からの復興のための取り組みについてもお話いただきました。
災害直後は泥かきや家財の仕分けなどの活動はもちろんのこと、被災者やボランティアへ食事の提供なども行っていたそうです。
豪雨によって空き家になった店舗を利用して、住民の集える場所(カフェ)を運営したり、日田市内に移住せざるをえなかった高齢者の方と想い出の味を一緒に作る活動をしたりと、人と人を繋ぐ活動を継続的に行っていることが印象的でした。
講義
フィールドワークのあとは、大分大学減災・復興デザイン教育研究センター(CERD)防災コーディネーター 板井幸則さん、大分県土木建築部河川課 主幹 加藤貴則さんを講師に迎えお話をいただきました。
板井さんは臼杵市消防本部で消防士、救急救命士として活躍され、東日本大震災では大分県緊急消防援助隊として現地で人命救助を行われました。その後、臼杵市消防本部の消防長を務められ現在はCERDで防災コーディネーターとして活躍をされています。
板井さんからは天瀬町の被災の状況や災害後に行っている災害対応訓練について、学生CERDのボランティア派遣の様子等をお話いただきました。
また、避難判断のポイントや、防災教育を文化に「逃げるという心を育む」ことの大切さ、命を守る3つの約束(1(朝)ご飯を食べる 2寝る前に服を準備 3靴をそろえる)なども教えていただきました。
『あなた一人の命ではない。大切な人のために災害から生き抜く。』どう行動するかで自分の命、周りの命を救えることを肝に銘じておきたいと思います。
河川課の加藤さんからは令和2年7月豪雨、令和3年8月豪雨の災害状況や避難行動についてお話いただきました。
天ヶ瀬橋に設置されている河川水位計をフィールドワークの時に見学し、説明をいただきました。グラフなどを使った資料を提示いただき、水位が急激に増えている様子を数字で確認することができました。
(赤丸が水位計)
災害復旧の状況(現地視察)
午後からは玖珠川(山ノ釣工区)の河川災害関連事業の現場を見学しました。
崩壊した山の斜面の法面の補強をしている様子も見ることができ、再度の災害防止を図るために整備されていることがよく分かりました。
私たちが見学するために立っていた左岸側も約30mの河道拡幅を行い、河道を約50mにするとのことでした。実際に現場に立つことで川の様子と工事の内容を理解することができました。
まとめ
各校の参加者からは、「自然が好きだから災害の様子を見てみたかった。」「以前も天瀬に来たことがあったが、またこれからどんな風に復興したのかまた来てみたい」等の感想が出されました。
今回学んだことは、各校で発表等の場を持ち、学校全体に還元して行く予定です。
(撮影時のみマスクをはずしています)