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集落営農の法人間連携をすすめよう!
集落営農法人は規模拡大や新規品目の導入、コスト削減や人材の育成など、様々な計画や課題を抱えています。特に小規模な法人では内部資源(ヒト、モノ、カネ、情報)が不足しており、自分達だけで解決・達成することが難しい状況にあります。
これからは、集落内の人的、物的資源をフル活用するとともに、他の組織との互助、共助により、不足する資源を補いながら経営発展に向けた取組みをすすめましょう。
法人間連携が成立するためのポイント
法人間で「連携」することで様々なメリットが期待できます。一方で、複数の組織が共同で事業活動を継続して行うには、異なる経営環境に置かれた組織間の意見調整や、他の組織の立場を考えて行動するなどの配慮が必要です。以下に記載した「法人間連携が成立するためのポイント」を踏まえながら、法人間のネットワークづくりを具体的にすすめていきましょう。
1 目的が明確である
何をするためにネットワークを構成するのかを明確にしなければメンバーの意思を まとめることができません。「目的に合わせた連携」が必要です。
2 法人間の信頼関係がある
組織の運営手法や経営の考え方は、法人により異なります。組合長や役員などの良好な人間関係があれば、お互いの考えをよく知ることができ、連携活動が円滑にすすみます。
3 法人間の補完関係がある
各法人が持ち寄る経営資源が、うまく補完関係(お互いの不足を補い合う)にある必要があります。一部にメリットが偏り、他の組織にしわ寄せが来る状況は望ましくありません。
4 連携組織の中心となる組織・人がいる
メンバーの意見を整理する役割を担うポジションが必要です。いきなり組織全体の共有を行うと混乱が生じるため、組織間の調整役が必要です。また、調整役を選定したら、参加者はある程度「調整役に任せる」心構えが必要です。
5 連携組織に対する、各法人の貢献意欲がある
自己利益を追求するだけでなく、他メンバーへの気づかいも必要です。貢献や協働に対する意欲や、一緒に活動する他組織との協働作業には、ゆずりあいの精神も必要です。
6 コミュニケーションを十分にとる
他組織との間に生まれた疑問は、放置しないようにしましょう。作業のタイミングや計画についても、意思疎通を図りましょう。
法人間連携に取り組もう!
減価償却費の低減、肥料購入費の削減、不足する人材の確保、新規品目の共同販売等連携の手法は様々です。法人が抱える課題の解決策として、あるいは新たな事業を始める際に、「他組織との連携」という手法が使えないか検討し、具体化していきましょう。
手順1 連携する内容を考える
連携の内容 | 困っていること・やりたいこと | 連携内容 |
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機械の連携 |
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資材の連携 | 肥料、農薬にかかるコストを下げたい | 複数法人で肥料の満車直行便に取り組む |
販売の連携 | 付加価値米を生産したいが量が少ない | 複数法人で栽培基準を統一し生産・販売対策を実施 |
人材の連携 | 若い後継者を雇用したい | 各法人が仕事を提供するシステムを作り、地域全体で若い後継者を雇用 |
手順2 連携するために必要な情報を集める
関係する組織の機械所有状況、稼働状況を調査し、不足する機械の貸借や作業受託の可能性を探ります。また、資材の共同購入(満車直行便利用)に必要な倉庫やフォークリフトの所有状況、地域にある遊休倉庫を調べ、満車直行に対応できる体制づくりを目指します。米の共同販売に取り組む場合は、地域で行われている付加価値米づくりの現状、乾燥調整施設の所有状況、付加価値米の販売に対する集荷団体(JA等)の考え方について情報を集約するなどして、高付加価値米を生産し、有利販売できるシステムづくりの可能性を探ります。
手順3 連携に向けた話し合いをすすめる
連携したい内容、収集した情報をまとめ、関係法人で話し合いを行いましょう。参加組織が求める連携内容が共通している場合は、内容を絞って可能性を探ってもよいですが、そうでない場合は、「ワークショップ」を開くなどして、参加者全員で自由に「連携のアイデア出し」を行い、アイデアの優先順位付けを行い、できる連携からチャレンジ!
実際に動き出すと「想定外の問題」が生じるので・・ → 走りながら見直しを行う!
法人間連携のすすめ・ちょっとしたポイント
1 あせらず、じっくり取り組みましょう
法人間連携を行うと、短期的には業績が下がることもあります。また、新たな作業が増えることによって、ストレスを抱えることもあります。このため、最初の連携は 「少数」「小さなこと」から始めましょう。
また、組織は「仕事に対して人を配置する」ことが正常な状態です。「ある特定の人がいるから、この仕事を作ろう!」としてしまうと、その人がいなくなった場合には穴があいてしまいます。目的に合わせた組織づくりをしましょう。
2 地域にある既存の「集落営農連絡協議会組織」を活用しましょう
県内の連携事例を調査した結果、関係組織間で、日頃から良好な人間関係を築いていることがわかりました。今後、連携を積極的にすすめるためには、まずは組合長や 役員同士が普段から気軽に相談できる雰囲気を作って行くことが必要です。各地域で組織されている「集落営農連絡協議会組織等」の活動を活性化し、法人間の関係を深めながら、具体的な連携をすすめるための事業を考えていきましょう。
3 まずは、参加予定法人の実態を調べてみましょう
各法人の機械所有状況や、作業実施時期を調べることで、どの機械で共同化すると効果的か、新たに機械を購入する必要があるかなど、具体的な検討ができます。まずは各法人の実態をアンケート調査等で調べてみましょう。
パンフレット「集落営農の法人間連携をすすめよう!」
上記の内容や県内外の法人間連携の事例をまとめたパンフレットを作成しています。詳しい情報はこのパンフレットをご覧ください。
パンフレット「集落営農の法人間連携をすすめよう!」 [PDFファイル/1.23MB]