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主な飼料作物の栽培体系
夏作物
1 とうもろこし
品種の選定
・奨励品種には、早生:パイオニア115、スノーデント119。中生:パイオニア122、ゆめそだち。中晩生:はたゆたか。二期作用:パイオニア3470、パイオニア135などがある。
・播種時期や作型に応じた品種、予想される病害に耐性がある品種を選定する。
・品種の早晩性は相対熟度(RM)で示され、RM値115は早生、125は中生、135は晩生である。
RM=[{10℃以上の日平均気温-10℃}×生育日数(播種翌日から黄熟期迄の日数)/10]
耕起・砕土
・深根性なので、根圏を広くするため適宜深耕(3cm程度)する。
・砕土、整地、鎮圧は、的確な播種作業と雑草防除の効果を高め、出芽の揃いを良くするために大切な作業であり丁寧におこなう。
施 肥
・施肥設計は土壌診断結果を基本におこなう。
・未熟堆肥の多量施用は、土壌虫害の発生が多くなるので良質堆肥の施用につとめる。
・施肥のさいには、「施用上の注意」及び「有機物施用法」(p34)を参考にすること。
・施肥量(kg/10a) | 目標生収量 | 成分名 | 元 肥 | 追 肥 | 備 考 |
8t/10a | 窒素 リン酸 カ リ | 10 12 10 | 5 0 5 | 追肥は5~7葉期に おこなう |
播種・覆土・鎮圧
・平均気温10℃以上になれば播種できる。サクラの開花が目安になる。
・播種深度は通常2~3cm。晩霜が予想されるときは覆土をすこし厚くする。
・ 二期作は、平均気温15℃以上の地域で可能で、二期作目の播種は8月初旬までに行わないと 刈取り時は黄熟期に達しない。また、二期作では連作障害、病害虫、倒伏の問題がある。
・ 品種の早晩生に適した播種(裁植)密度を確保する。なお、欠株を考慮して10%程度多めとする。
裁植本数 (本/10a) | 畦 幅 (cm) | 播種 粒数 (粒) | 播種量の目安 (kg/10a) | |||||
70 | 75 | 80 | Sサイズ | Mサイズ | Lサイズ | |||
株 間 cm | 6,500 7,000 7,500 8,000 8,500 | 22.0 20.4 19.0 17.9 16.8 | 20.5 19.0 17.8 16.7 15.7 | 19.2 17.9 16.7 15.6 14.7 | 7,100 7,400 7,700 8,800 9,300 | 1.7 1.8 1.9 2.1 2.2 | 2.0 2.1 2.2 2.5 2.7 | 2.6 2.7 2.9 3.2 3.4 |
・丁寧な鎮圧は出芽をそろえ、確実に除草剤の効果を得るために非常に大切な作業である。
・アップライトリーフの品種は密植栽培適応性が期待できる。多収には適度な密度が条件となる。
・高TDN生産には雌穂を大きく登熟を良くする肥培管理をおこなう。
雑草対策
・雑草が多くなると、とうもろこしの収量が減少し、病害虫の発生も増加する。
・堆肥を介して強害雑草が広がるので、良く発酵した(発熱した)堆肥を散布する。
・砕土や鎮圧を丁寧にしないと除草剤の効果が不十分なことがある。
・除草剤の種類と使用方法
(農薬取締法がH14.12に改正されたので、対象作物、使用方法は再度確認すること)
処理法・時期 | 除草剤名 | 使用量(/10a) | 適用雑草 | |
土 壌 処 理 | 播種直後 ~ 発芽期 | ゲザノンフロアブル ゲザノンフロアブル +サッソー乳剤 エコトップ乳剤 フィールドスター乳剤 シャドー水和剤 | 200~400ml 100~2000ml +200~300ml 400~600ml 100~150ml 50~75g | 1年生雑草 1年生広葉雑草 1年生イネ科雑草 1年生雑草 1年生雑草 イチビ |
生育期 処 理 | 4葉期まで 5葉期まで | ゲザノンフロアブル ワンホープ乳剤 | 200~400ml 100~150ml | 1年生雑草 1年生雑草 |
注意:[1]いずれも80~100l の水に溶かして均一に散布する。 [2]ワンホープ水和剤は気温が30℃以上の高温期や品種によっては薬害が発生する。 [3]その他、農薬の使用基準を遵守する。 [4]土壌処理剤の効果は散布後25~30日である。 |
病害虫対策
・病害対策は抵抗性品種への転換が基本。密植を避けて良質堆肥の投入や他作物と輪作をする。
・主要病害には、ごま葉枯病、すす紋病、紋枯病、南方さび病、根腐病などがある。
・ 主要害虫には、土壌害虫(タネバエ、ハリガネムシ、ネキリムシ)と茎葉や実を食害する害虫(アワヨトウ、ダイメイ虫、アワノメイガ)がいる。
(農薬取締法がH14.12に改正されたので、対象作物、使用方法は再度確認すること)
病 害 名 | 概 要 ・ 対 策 |
ごま葉枯病 すす紋病 紋 枯 病 南方さび病 根 腐 病 | 高温期に発生しやすい。バランスのとれた施肥や早まきを励行する。 密植、冷涼な気温で発生しやすい。抵抗品種に転換する。 病菌は土壌で越冬する。連作を避ける。 赤褐色のさび状の病斑を特徴とし夏以降に発生する。抵抗品種に転換。 収穫間近に急に枯れ上がり、稈の地きわ部が空洞化し穂がたれる。生糞投入を控え、抵抗品種に転換する。 |
害 虫 | 概 要 ・ 対 策(農薬施用量は10a当たり) |
土壌害虫 | 発芽時の食害で欠株となる。播種時にダイアジノン粒剤を播種溝に散布する。 |
アワヨトウ ダイメイ虫 アワノメイガ | 葉を食べ、一晩で壊滅的被害を被ることもある。ディプテレックス剤を散布する。 遅まきで被害回避できる。 茎や雌穂を食害し、折損の原因にもなる。早まきほど被害は少ない。 |
鳥獣害対策
・播種直後の鳥害、乳熟期以降のイノシシ被害が主要である。
・鳥害対策には播種深度をやや深くし、鎮圧を丁寧にするだけで被害はかなり減少する。キヒゲンR-2フロアブルを粉衣して播種する方法もある。
・イノシシ害対策は手軽で効果的な対策は少ない。刺激臭や威嚇音などは一時的効果が見られる。電牧とトタン板を組み合わせて高さ1m以上の塀で圃場を囲ったり、周辺に牛を放牧するなど、見通の良い環境を保ちイノシシを近づけないようにする。
収穫
・収穫適期は黄熟期で絹糸抽出期からおよそ32日前後に到達する。
・ミルクライン(雌穂を折り上部を見ると確認できる子実の黄色と白い部分のさかいの線)で判断できる。
その他:ソルガムとの混播
・とうもろこしとソルガムを同一畦に混合播種し、7月下旬~8月中旬(とうもろこしの黄熟期)に1回目の収穫をし、2回目はソルガムを再生させて収穫する。
・ 品種選定の仕方:とうもろこしは中生種、ソルガムはとうもろこしの黄熟期に乳熟期~糊熟期に達する品種を選定する。(例:スノーデント119と高糖分ソルゴー)
2 ソルガム
品種の選定
・ソルガム属は形態的特性が広く、茎葉タイプから子実タイプまであり、利用目的や栽培条件に適した品種を選定できる。
・種子はとうもろこしより湛水耐性があるが、発芽後の耐湿性はとうもろこしと大差ない。
・ソルガムは強い連作障害を示すことがあるので輪作につとめる。
・ソルガム属のタイプと特性の概要
ソルガム属のタイプ | スーダン グラス | ソ ル ガ ム | ||||
スーダン型 | ソルゴー型 | 兼用型 | 子実型 | |||
品種 例 | ヘイスーダン ベールスーダン | スダックス | ハイブリット 高糖分ソルゴー | スズホ | ||
生育有効温度 | 12℃ | 13℃ | 15℃ | 15℃ | 15℃ | |
特 性 | 刈 取 回 数 | >3 | 2~3 | 1~2 | 1 | 1 |
再生力 | 極良 | ← | 中 | → | 不良 | |
子 実 収 量 | 極少 | ← | 中 | → | 極多 | |
分 け つ 力 | 極良 | ← | 中 | → | 不良 | |
茎 の 太 さ | 極細 | ← | 中 | → | 極太 | |
草 丈 | 中 | ← | 高 | → | 極低 | |
利 用 方 法 | 乾 草 | ○ | × | × | × | × |
青 刈り | ◎ | ◎ | ○ | × | × | |
ロールベールサイレージ | ○ | △ | × | × | × | |
茎葉サイレージ | × | ○ | ◎ | △ | × | |
ホールクロップサイレージ | × | × | △ | ◎ | ◎ | |
子 実 | × | × | × | △ | ◎ |
◎最適 ○適 △やや適 ×不適
耕起・砕土
・とうもろこしより深根性なので、多収を期待するときは深耕(3cm程度)する。
・種子が小さいので砕土を丁寧にする。
施肥
・施肥設計は土壌診断結果を基本におこなう。
・施肥のさいには、「施用上の注意」及び「有機物施用法」(p34)を参考にすること。
・施肥量(kg/10a) | 目標生収量 | 成分名 | 元 肥 | 追 肥 | 備 考 |
8t/10a (2回刈り) | 窒素 リン酸 カ リ | 10 12 10 | 10 0 7 | 追肥は刈取後に施肥する |
播種・覆土・鎮圧
・日平均気温が15℃に達する頃が早播の限界。スーダングラスも品種間差があり、15℃以上で播種するのが安全である。
・播種量は乾草利用する場合細茎になるよう約8kg/10aを散播する。サイレージ用には約2kgを条播する。(品種特性、利用目的を充分検討して播種方法や量を決定する)
・散播は条播の1.5倍量を標準とする。
・覆土は軽くおこない、鎮圧作業を確実におこなう
雑草対策
・とうもろこしに比較すると薬害がでやすいので使用基準を守る。
・土壌が乾燥しているときは希釈水量を多くする(基準水量100l//10a)。
・除草剤 | 処理法・時期 | 除草剤名 | 使用量(/10a) | 適用雑草 |
発芽直後(土壌処理) ソルガム3葉期まで | ゲザノンフロアブル ゴーゴーサン乳剤 | 200~400ml 300~400ml | 1年生畑地雑草 イネ科・広葉雑草 |
(農薬取締法がH14.12に改正されたので、対象作物、使用方法は再度確認すること)
病害虫対策
・主要病害には、紫斑点病、すす紋病、紋枯病などがある。
・対策は連作、密植、過肥、生糞多用などを避けた管理と抵抗性品種の選択が基本となる。
・ 主要害虫には、土壌害虫(タネバエ、ハリガネムシ、ネキリムシ)と茎葉や実を食害する害虫(アワヨトウ、ダイメイ虫、アブラムシ)がいる。
・収穫前の病害虫の発生は、被害が大きくならないうちに刈取り利用することを基本にする。
(農薬取締法がH14.12に改正されたので、対象作物、使用方法は再度確認すること)
病 害 名 | 概 要 ・ 対 策 |
紫斑点病 すす紋病 紋 枯 病 | 耐病性品種に転換する。 厚まき、冷涼な気温で発生しやすい。抵抗品種に転換する。 病菌は土壌で越冬する。連作を避ける。 |
病 害 | 概 要 ・ 対 策(農薬施用量は10a当たり) |
土壌害虫 | 発芽時の食害で欠株となる。 |
アワヨトウ ダイメイ虫 (イネヨトウ) アワノメイガ アブラムシ | 葉を食べ、一晩で壊滅的被害を被ることもある。 子実用品種以外、被害は小さい。 若い時期の被害が問題。遅まきで被害を低減できる。 茎や雌穂を食害し、折損の原因にもなる。早まきほど被害少ない。 刈取りを早めるか、抵抗性品種に転換する。 |
鳥獣害対策
・とうもろこしに比較し被害は少ない。
・乳熟期以降熟期が進むと鳥害が多くなるので、早めに刈り取る。
収穫
・ソルゴー型をサイレージ調製する場合は乳熟期、スーダン型及びスーダングラスを乾草調製する場合は草丈2m又は出穂期を目安とする(出穂前の若刈りは再生不良を起こすことがある)。
・ソルゴー型では出穂しない品種もある。
・刈取り高は、5~10cmとし、再生を促す。
・平均気温15℃以下になれば増収は見込めない。12℃を下回ると生長は完全に止まる。
・降霜後は急速に枯れ上がり、栄養分の損失と素行生の嗜好性の低下が徐々に進ので、立毛貯蔵での利用も可能である。
・草丈1m以下では青酸含量が多いので避ける。
・青酸含量は、生育不良、降霜、窒素過多、刈取り直後等の時多くなりやすい。青酸が多いこと が予想されるときは青刈り給与を避け、サイレージ調製して給与する。
3 ローズグラス
・品種選定:奨励品種は定めていないが、カタンボラ、ハツナツ、アサツユがあり、耐湿性はソルガムより優れる。
・播種量:2kg/10a。種子が軽いので吹き飛ばされないよう丁寧に散播する。
・播種期:5月中旬~6月上旬。気温が低いと初期生育が遅いので雑草との競合に注意する。
・砕土と鎮圧:砕土は特に丁寧に行い、覆土はせず、鎮圧をゆっくりと丁寧にする。
・施肥量(kg/10a): | 目標生収量 | 成分名 | 元 肥 | 追 肥 | 備 考 |
6t/10a (3回刈り) | 窒素 リン酸 カ リ | 7 8 7 | 7 0 7 | 追肥は刈取後に施肥する |
・施肥の加減:吸肥力は暖地型牧草の中では強い方であり、収量を上げるには多肥施用する。
・雑草対策:生育初期の雑草被圧にはローズグラス草丈20~2cm頃に掃除刈りをする。
・刈取り:倒伏しないよう草丈6cm前後でおこなう。5月まきで6~7回刈りが高収量となる。
・利用方法:青刈り、サイレージ、乾草利用が可能。特に夏期の間は良質乾草が調製できる。
4 ギニアグラス
・品種選定:機械作業する場合、耐踏圧性の良い品種「ナツコマキ」等を採用する。
・播種量:1~2kg/10a。種子が小さいのでムラのないよう丁寧に散播する。覆土はしない。
・播種期:5月下旬~6月上旬。
・砕土と鎮圧:種子が小さいので、砕土は特に丁寧に行い、鎮圧はゆっくりと丁寧にする。
・施肥量(kg/10a): | 目標生収量 | 成分名 | 元 肥 | 追 肥 | 備 考 |
8t/10a (3回刈り) | 窒 素 リン酸 カ リ | 7 8 7 | 7 0 7 | 追肥は刈取後に施肥する |
・雑草対策:雑草に被圧されないよう早めに掃除刈り処理する。
・刈取り:倒伏しないよう草丈8cm以下でおこなう。
・利用方法:青刈り、サイレージ、乾草利用が可能。
5 飼料イネ(ここでは箱育苗による移植栽培を主体に記す)
品種の選定
・専用品種が収量多く、倒伏や病害虫にも耐性がありコストの低減化に有利である。
・大分農技センターの試験では、早生種はクサユタカ(北陸168号)、晩生種は西海204号が優れる。
・専用種が入手できないときは、食用種を用いる。
本田準備
・水稲の場合と同じ。
施肥
・専用種では窒素肥料は全量で9kgを基本とする。
・良質堆肥を2t程度投入する。
・専用種の時の施肥量(kg/10a) | 目標生収量 | 成分名 | 元 肥 | 追 肥 | 備 考 |
4t/10a (黄熟期) | 窒素 リン酸 カリ | 6 8 6 | 3 0 3 | 追肥は出穂前30日に施肥する |
播種
・播種前準備などは食用品種と同じ。
・播種量は品種(籾重)により加減する。 | 品 種 | 播 種 量 | 籾 の千粒重 (g) | |
(kg/10a) | (g/箱) | |||
食用品種 クサユタカ 西海204号 クサホナミ | 3.0 4.3 3.9 2.9 | 150 220 195 145 | 28 40.3 36.2 27.1 |
雑草対策
・野ビエなどの雑草が多いとサイレージ品質が低下するので雑草防除は的確に行う。
・除草剤(使用方法の「収穫前○日まで」は飼料イネにもそのまま適用する)
(農薬取締法がH14.12に改正されたので、対象作物、使用方法は再度確認すること)
農薬の種類 | 農薬の種類 | |
イマスゾスルフロン・エトベンザニド・ダイムロン粒剤 エスプロカルブ・ピラゾスルフロンエチル粒剤 エトベンザニド・ピラゾスルフロンエチル粒剤 エトベンザニド粒剤 グリホサートアンモニウム塩液剤 グリホサートイソプロピルアミン塩液剤 ダイムロン・ベンスルフロンメチル・メフェナセット粒剤 | トリフルラリン乳剤/粒剤 ビスピリバックナトリウム塩液剤 ピラゾキシフェン粒剤 ピラゾレート粒剤 ピリキノバックメチル・ベンスルフロンメチル・メフェナセット粒剤 DCPA乳剤 |
害虫対策
・種子消毒、箱苗施薬は通常通り実施する。
・専用品種ではイモチ病に対して真性抵抗性があるので、当面防除の必要はない。
・周辺の食用水稲への病害虫への影響に注意を払いながら、最小限の防除に努める。
・使用できる殺虫・殺菌剤(使用方法の「収穫前○日まで」は飼料イネにもそのまま適用する)。
(農薬取締法がH14.12に改正されたので、対象作物、使用方法は再度確認すること)
[1]殺虫剤 | 農薬の種類 | 農薬の種類 |
イミダクロプリド水和剤 カルタップ水溶液/粒剤 カルタップ・MIPC粒剤 カルボスルファンマイクロカプセル剤 カルボスルファン粒剤 ダイアジノン乳剤/粉剤/粉粒剤/粒剤 ダイアジノン・ブプロフェジン粉剤 ダイアジノン・BPMC乳剤 | ブプロフェジン水和剤/粉剤 BPMC乳剤 MEP粉剤 MEPマイクロカプセル剤 MIPC粒剤 MIPC・MPP粒剤 MPP粉剤/粒剤 PHC水和剤 |
[2]殺菌剤 | 農薬の種類 | 農薬の種類 |
アゾキシストロビン水和剤/粒剤 イソプロチオラン水和剤/乳剤・粉剤 イプコナゾール水和剤/乳剤 オキソリニック酸・フルジオキソニル水和剤 オキソリニック・ペフラゾエート水和剤 オキソリニック | フルジオキソニル・ペフラゾエート乳剤 フルジオキソニル水和剤 フルトラニル水和剤/乳剤/粉剤/粒剤 (フロアブルは除く) ベノミル水和剤 ペフラゾエート水和剤/乳剤 TPN粉剤 |
鳥獣害対策
・小面積の栽培では乳熟期以降に雀やイノシシの被害が発生することがある。
・防雀網や電牧柵などの対策をおこなう(イノシシ対策はとうもろこしの項を参照)。
・直まきの場合、播種直後に鳥害発生のおそれがあり、キヒゲンや糸を張るなどの対策をする。
水管理
・水稲と同様の水管理を行うが、中干しは深いひび割れが生じる様に強めにおこなう。
・出穂後は間断潅水で収穫機械に対応した地耐力を確保する。
収穫
・水分65%程度の糊熟~黄熟期が適期で、ダイレクトカットで良質サイレージに調製できる。
・予定している収穫機械がスムースに作業できるよう、中干しなどの水管理を徹底する。
・収穫調製の時、反転機械の使用は籾の脱落を招くので出来るだけ使用しない。
・梱包は出来るだけ密度を高め、素早く密封をおこなう。
冬作物
1 イタリアンライグラス
品種の選定
・奨励品種には、早生:タチワセ、ワセアオバ、ワセユタカ、ニオウダチ、タチマサリ。中生:タチムシャ。晩生:マンモスイタリアンB、 エースなどがある。
・奨励品種以外にも特徴ある品種が流通しており、播種時期や作型等に応じた品種を選定する。
・早まきする場合(9月上中旬播種)は、イモチ病に耐性のある「さちあおば」を用いる。
耕起・砕土
・水田では特に耕起、砕土、整地を丁寧におこなう。
・耐湿性は比較的強い作物であるが、排水の悪い湿田などでは排水対策を十分におこなう。
施肥
・施肥設計は土壌診断結果を基本におこなう。
・堆肥や窒素肥料の多量施用は環境汚染の原因になるだけでなく、作物中の硝酸態窒素濃度を高めるので基準量を守る。
・ 糞尿の多施用(カリ過剰)はMgの吸収が阻害され、その作物を家畜が食べるとグラステタニー血症による生理障害を発症原因となる。
・施肥のさいには、「施用上の注意」及び「有機物施用法」(p34)を参考にすること。
・施肥量(kg/10a) | 目標生収量 | 成分名 | 元肥 | 追肥 | 備 考 |
6t/10a (2回刈り) | 窒 素 リン酸 カ リ | 10 12 10 | 5 0 0 | 追肥は刈取り後に施肥する 年内刈りの場合、3月上旬に追肥する |
・稲立ち毛中播種の時は稲刈り後のわらを速やかに取り上げ、元肥の約70%を直ちに施肥する。
播種
・播種は9月下旬以降10月下旬頃までを標準とする。
・9月の早まきはイモチ病に罹るおそれがあるので、イモチ病耐性の品種を選ぶ。
・通常散播とし、播種量は2~4kg/10aを基準とする。イネ立ち毛中には6kg程度を播種する。
・稲刈取りの遅延によりイタリアンの播種が遅くなる場合、稲立ち毛中播種が有利である。
・4倍体品種はやや多めの量を播種する。
雑草対策
・菜の花や冬雑草が主要な雑草であり、早めに掃除刈りをする。
病害虫対策
・ 主要病害虫に葉腐れ病、冠さび病(赤さび病)、アワヨトウなどがあるが、大きな問題とはならない。
収穫
・収穫適期は、出穂期~開花期。サイレージでは水分70%程度に予乾する。
・ 水稲前作の場合、地面表層のルートマットによる耕起砕土の負担と大量の残根による窒素飢餓の発生が起こりやすい。この対策として、
[1]残根量の少ない極早生、早生種を採用する
[2]イタリアンを多肥栽培する
[3]石灰窒素を施用して分解を促進する
[4]根量の多い上層部を深さ3cmに鋤き込む
[5]田植えを耕起直後か分解が進んでおこなう
[6]稲の施肥を元肥重点で実施する
[7]活着後の水管理を徹底して障害を最小限にする
その他:えん麦との播種
・年内の乾物収量を増加させる目的でおこなう。
・; 年内に出穂するよう品種の選定と播種時期に注意する。高温発芽性の安定したえん麦品種(はえいぶき等)及びいもち病耐性のイタリアン品種を選定する。
2 えん麦
・奨励品種: 極早生:スーパーハヤテ「隼」。中生:スタンドオーツ、前進。極早生品種の栽培が多い。
・播種量:6~8kg。覆土は軽くおこなう。
・播種期:秋作栽培(冬に乳熟期程度で収穫する)では9月中旬までに播種する。翌春利用には、麦に準じた播種時期とする。
・砕土と鎮圧:砕土と鎮圧は重要であり丁寧におこなう。
・施肥量(kg/10a) | 目標生収量 | 成分名 | 元 肥 | 追 肥 | 備 考 |
6t/10a (2回刈り) | 窒 素 リン酸 カ リ | 7~10 10 7~10 | (5) (5) | 再生しないので追肥はしない 再生利用できるときは窒素を約5kg追肥する |
注:追肥欄の( )内数字は再生利用の時
・雑草対策:雑草はあまり見かけないが、麦に準じた対策をする。
・刈取り:秋作栽培では12~1月におこなう。春利用では乳熟期とする。
・サイレージ調製では稈の空気を排除するため十分に密度を高める。