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イチゴ高設栽培における排液計測を活用したかん水・肥培管理マニュアル
イチゴ高設栽培における排液計測を活用したかん水と肥培管理
イチゴの栽培方式には高設栽培と土耕栽培があるが、高設栽培では土耕栽培と比べ株あたりの培地量が少ないため、培地内水分の過不足が生じやすい。
過剰なかん水は、根傷みによる収量減や窒素などの成分が圃場外へ流出することによる環境負荷およびコスト増加の一因となる。一方で、かん水量不足は生育停滞や生理障害を招き、これも収量減の原因となっている。
また、杉バークや鹿沼土などを含む高設栽培の培地では地力窒素の発現や緩衝能がほとんど期待できないことから、施肥の影響がイチゴの生育に直接かつ強く影響する。
大分県のイチゴは8割以上が高設栽培であるが、そのシステムは大分県開発方式や複数の民間メーカーの方式など多様である。そのため、培地の種類や量が異なり、施肥体系も緩効性肥料(ロング等)を中心とした固形置肥タイプと、固形肥料を使わない液肥中心タイプとその中間型などに分かれるため、かん水量や施肥の目安が提示しにくい現状がある。
そこで、大分県では高設栽培の方式や施肥体系が異なっていても、培地中と排液中の窒素成分量の相関が高いことに着目し、排液量(率)と排液EC値(電気伝導率:Electricai Conductivity)を活用した肥培管理の調整について研究を行ったので紹介する。