ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織からさがす > 生活環境部 > 人権尊重・部落差別解消推進課 > Vol.6 女性の人権(アンコンシャス・バイアス)

本文

Vol.6 女性の人権(アンコンシャス・バイアス)

印刷ページの表示 ページ番号:0002257887 更新日:2024年3月27日更新

山崎さん紹介カード

🔳 活動を行うようになったきっかけは?

 私は企業のキャリアコンサルタントとして活動しています。特に、企業の課題抽出や、研修のご提案、組織改革に関わらせていただいており、さまざまな企業で社員の声を聞き、そのフィードバックを経営者や人事に提供しています。

山崎さん01

 企業は女性管理職を増やす取り組みを進める等、女性が組織で活躍することを期待しています。一方で、ライフステージや他の要因により女性が一歩踏み出しにくい状況も存在します。その状況に対して、周囲がもう少しバックアップし、関わることができるといいのではというのが私のベースにありました。

 また、コロナ禍で人々の価値観が変わり、多様性への理解が求められています。人種・年齢・性別・能力・価値観などさまざまな違いを持った人々が組織や集団において共存状態であることを示す『ダイバーシティ』や、無意識の先入観や偏見を意味する『アンコンシャス・バイアス』を意識して対応していくことが、これまで以上に重要になっています。

 私自身、さまざまな企業と関わる中で、当たり前が当たり前ではないという実感を何度も味わいました。こういった経験が改めてアンコンシャス・バイアスやダイバーシティにしっかりと取り組んでいこうと思うきっかけとなりました。

 

🔳 現在の活動について教えてください。

山崎さん02

 私は、セミナーや研修などの仕事において、従業員と経営者・管理職を繋ぐ架け橋のような存在になれればと思っています。従業員の皆さんとの面談を通じて組織の課題を抽出し、それを経営側に届けていますが、従業員からあがる小さな声を大切にして、研修など企業内の取り組みの提案も行なっています。

 例えば、最近多くお話をいただくのが、管理職と従業員の関係についてです。管理職についている層は主に50代が多く、従業員はZ世代(1990年代半ばから2010年代序盤に生まれた世代)が多くなってきています。50代が持っている「当たり前」の感覚が通用しない時代になっているということに気づき、その感覚を押し通してしまうと、ハラスメントにつながる可能性もあることを認識する必要があります。

 従来は周囲との調和や協調性を重んじてきていましたが、若い世代は多様性やイノベーションといった感覚が身近です。そのような認識の差から、従業員とのコミュニケーションの取り方に悩む管理職の方が多い現状があります。

 これは管理職と従業員の関係に関する課題でしたが、女性が組織で活躍する上での課題やその他の課題についても、解決の糸口は同じかと思います。それぞれが自分の感覚が当たり前ではないとお互いに理解すること、臨機応変に関わることが、アンコンシャス・バイアスを含むさまざまな課題対応へのきっかけになると思います。

山崎さん03

 その他に、2019年に立ち上げた、大分からイノベーションを生みだす人材育成を目的とした学びの社交場『Oitaイノベーターズ コレジオ』にコーディネーターとして関わっています。県内のさまざまな企業の皆さんが参加し、企業の中にとどまらず、組織を飛び出して実際にダイバーシティの場を作り、越境学習というテーマで新しい大分のイノベーションを促進しています。毎月1回程度、セミナーやワークショップを行っています。東京など様々な地域から専門の講師を招き、皆で学び合い、最終的には大分を変革するアイデアをグループで考えます。参加メンバーは企業プログラムを考えるのではなく、大分をより良くするためのアイデアを追求します。これを組織に持ち帰ったり、メンバー同士でボランティア活動に参加したりすることもあります。

 こういった事業を通じて、大分だけではない様々な地域の人と出会い、その考え方や視点に触れることが、ダイバーシティやアンコンシャス・バイアスを理解していく上で、重要なのではないかと思います。

 

🔳 今後の活動について教えてください。

 アンコンシャス・バイアスやダイバーシティという言葉を使うと、女性活躍を声高に唱えていると思われがちなのですが、私は『女性活躍』という言葉自体が早くなくなればいいと思っています。女性だから、男性だからという感覚自体が時代にそぐわなくなってきているのではないでしょうか。

山崎さん04

 アンコンシャス・バイアスと聞くととっつきにくい印象ですが、無意識の先入観や思い込みは私たちの日々の生活の中にたくさんあります。大学などの様々な機関でも研究され、私たちに身近なものなのです。最初はなかなか受け入れてもらえない感覚がありましたが、セミナーや研修でお伝えし、メディアでもアンコンシャス・バイアスという言葉が使われるようになって、少しずつではありますが、認知や理解が進んでいると思います。 

 私自身も常に変化し続けていきたいと考えています。時代の変化や求められる価値観、そして自身がどう在りたいかを考え、お伝えすることも柔軟に変化させていく必要があると思っています。お伝えするみなさんに自分ごととして捉えていただくため、自分自身を絶えず変化させながら、活動していきたいと考えています。

 

🔳 差別をなくすために行動したい人へのメッセージをお願いします。

山崎さん05

 差別やアンコンシャス・バイアスをなくしたいと考えている人にとって、気づきが重要です。そして、思考の柔軟性を身につけることも必要です。時代の流れとともに変化は必ず起こります。現状を維持したい方もいると思いますが、実は現状を保つためにも変化が必要で、アップデートが欠かせません。アップデートのためには情報をしっかりキャッチし、現在の出来事に敏感になり、自分なりの思いや軸を持つことが大切です。

 バイアスというのは難しいものです。例えば、私は研修でよく『マイクロメッセージ(小さなメッセージ)』というキーワードを使います。マイクロメッセージは自分が何気なく発している言葉や動作を意味しますが、それが相手にとっては小さなトゲとなって傷つけていることがあるのです。相手の年齢や性別によって話し方を変えたり、パソコンの画面を見ながら相手の顔を見ずに話をしたり。自分にとっては些細なことでも、相手にとっては気になることであったりします。そのことに気づくことがとても大切です。気づけない人の特徴としては、同調傾向が強く、変化に抵抗しようとする傾向があります。逆に、気づくことができる人は、多面的に物事を捉えることができる人ではないかと思います。相手が自分とは違う考えを持っているかもしれない、自分の言葉をこんなふうに捉えるかもしれないと想像ができるからです。

  「そういう考えもあるよね」と自分の中での選択肢を増やすことを心がけていけば、段々と柔軟に対応できるようになるのではないかと思います。