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大分県の特産品(関あじ・関さば)
1.いつから生産され始めたの?
「関あじ・関さばという名前で呼ばれるようになったのは、1982年なんだよ。」
大分市佐賀関沖の「速吸の瀬戸(はやすいのせと)」と呼ばれる海域では、ずっと前から一本釣りでマアジやマサバ、マダイやブリなどが獲られてきました。
そのマアジ、マサバが『関あじ・関さば』と呼ばれます。この名前は1982年、佐賀関を訪れた政治評論家の藤原弘達(ふじわらひろたつ)さんに当時の町長が「これは関のあじです、関のさばです。」と紹介したのを、今度は藤原さんがテレビ番組の中で「関あじ、関さばはおいしかった」と話したことで有名になりました。
写真1 大分市佐賀関から見た速吸の瀬戸
図1 速吸の瀬戸の位置図
2.どこで生産されているの?
「『関あじ・関さば』と呼べるのは、佐賀関産のマアジ・マサバだけなんだ。」
マアジやマサバは全国で獲られていますが、「関あじ」、「関さば」と呼べるのは、大分市佐賀関沖の「速吸の瀬戸」で獲られ、大分市佐賀関に水揚げされる魚だけです。
「速吸の瀬戸」は、潮の流れが速く、海底の地形がとても複雑な場所で、エサも豊富なので日本でも有数の一本釣漁場です。ここで育つ魚がは大型で脂がほどよくのっているのに、身が引き締まっています。
3.生産量はどのくらい?
「『関あじ・関さば』合計で300トン程度が水揚げされています。(2009年度)」
関あじ・関さばに関わっている漁師は、産卵の時期にはできるだけ漁を休むなど、獲るだけではなく保護にも取り組んでいます。
写真2 関あじ(上)と関さば(下)
4.どうやって売買されているの?
「『一本釣り』、『面買い』、『活けじめ』で新鮮なまま運ばれているんだよ。」
『関あじ・関さば』はすべて一本釣で獲られます。また、エサは擬似餌(ぎじえ)かゴカイだけと決めています。
穫られた『関あじ・関さば』は「面買(つらか)い」と言う独自の方法で売買されます。「面買い」とは、水面上から泳いでいる魚を見て値段を決める方法で、見た目だけで重さと品質を判断します。これは、魚が暴れることで鮮度が落ちるのを防ぐための方法です。
こうして出荷先が決まった魚は、おいしさを保つために包丁で骨を切って血抜きをする「活けじめ」を行い、スチロール箱に氷と一緒に入れて5度くらいになるよう保冷して発送されます。
このように、「一本釣り」、「面買い」、「活けじめ」により、新鮮でおいしい『関あじ・関さば』を食べることができます。
写真3 一本釣りの操業風景
5.おいしい食べ方は?
「お刺身で新鮮さとおいしさを味わって!」
大型でほどよく脂がのって、身が引き締まった『関あじ・関さば』は、刺身として食べられています。
写真4 関あじ・関さばのお刺身
こんなこともあるよ
「地域団体商標って?」
『関あじ・関さば』は、2006年10月に地域団体商標に登録されました。これは、地域特産品の保護と育成を支援するために設けられたものです。出荷する魚には商標マークの入ったタックを一匹一匹に付けています。
それでも、『関あじ・関さば』の偽物がいくつも出回るようになったので、大分県漁協では、全国にウォッチャーを配置して偽物が出回らないように監視しています。
また、大分県漁協では、2001年から『関あじ・関さば』が一番たくさん穫れて、おいしい2月下旬に「関あじ・関さばまつり」を開催しています。この日は、大分県漁協佐賀関支店の周りで関あじ関さばセットや海鮮バーベキューなどが食べられます。