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農業を行う法人名 株式会社ハマノ果香園 |
代表取締役 濱野光展氏 |
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農業参入のきっかけを教えてください
(株)ハマノは広島県で柑橘類を中心にストレート果汁、ゼリー、ジャム等の製造を行っている会社で、2005年よりかぼすのストレート果汁を製造していました。果汁の売れ行きは順調でしたし、かぼすは99%が大分県産というところにも将来性を感じていましたね。当時は市場や流通業者を通して原料を仕入れていましたが、搾汁までの品質劣化や原料の安定確保が課題でした。そこで原料の安定確保と自社農場保有によるイメージアップを目的に、2007年にかぼすの産地である大分県国東市に会社を設立しました。
経営の特徴を教えてください
(株)ハマノ果香園では生産のみに特化して迅速に出荷し、選別、加工はグループ会社で行っています。この仕組みにより鮮度を保ち、果物・野菜本来の香りを残して消費者に提供することが可能ですし、選果コスト、中間コストも抑えることができます。
2018年にはかぼす園地内に搾汁工場を建設し、収穫してすぐの新鮮な状態で果汁製造ができるようになりました。
参入を決めてから営農開始までの経過
2007年12月に(株)ハマノ果香園を設立し、県農業公社が造成していた農地を購入。2009年3月に植栽が完了しました。当初は広島県の柑橘生産者を役員に就任させ、定期的に指導してもらったため、生産面では大きな問題なく軌道に乗り、2012年に初収穫を迎えました。
参入にあたって苦労したことは?
かぼすは繁閑差が大きいため、周年雇用のためには作業の平準化を行う必要があります。そこで地域の遊休施設を借り、トマト等の施設野菜栽培や露地野菜3haの栽培も始めました。しかし、複数の品目を平行して栽培することは技術面・管理面で難易度が高く、経営が安定するまでにはかなり苦労しましたね。
参入して良かったことは?
以前は仕入れ原料を使って果汁生産を行っていたため、多くのかぼす農家の栽培履歴や生育状況を把握するのが大変でした。大規模な自社農園を持つことで、今では栽培履歴のトレースが簡単に行えるようになっています。
また、生育状況や出荷見込みなどの情報もスピーディーに出せるため、取引先からの信頼が増したと感じています。
本業の強みはどのような面で活かされていますか?
グループ会社が柑橘選果場を持っており、40年以上前から全国各地の生協と取引があります。生協は市場と比べて取引価格が安定しているため、経営計画がたてやすいですね。様々な品目を栽培していますが、安定した販売ルートがあることが弊社の一番の強みです。
参入後の課題は?
農場のマネジメントを行う管理者の確保が課題です。現在、農場長が1名いますが、かぼすの他、離れた場所で施設野菜や露地野菜も経営していますので管理に苦労しています。マネジメントに長けた人材をもう1名募集中です。
また、管理が遅れると生産量に影響しますので繁忙期の労働力ももう少し確保したいですね。
今後の展望は?
農場内に果汁製造工場があるため、収穫したかぼすを新鮮なまま搾ることができます。この強みを活かし、かぼす果汁を使った商品開発をもっとすすめ、果汁販売量を増やしていきたいと考えていきます。
新規参入企業へのアドバイス
一番重要なのは販売先の確保ではないでしょうか。生産しても売り先がない場合、安定した経営は見込めず、企業として経営するのは難しいと思います。