ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 埋蔵文化財センター > 催し物案内 > イベント > 国指定重要文化財「大分県府内大友氏遺跡出土品」の令和4年度保存修理について

国指定重要文化財「大分県府内大友氏遺跡出土品」の令和4年度保存修理について

印刷用ページを表示する掲載日:2023年3月9日更新

大分県立埋蔵文化財センターが所蔵する国指定重要文化財大分県府内大友氏遺跡出土品の保存修理を行いましたので、内容をお知らせします。

概要
  大分県府内大友氏遺跡出土品1,269点は、キリシタン信仰や国際貿易を振興した大友氏治世下の都市遺跡の内容をよく示すとともに、わが国における中世都市の実態を具体的に示すものとして、令和元年7月23日に国の重要文化財に指定されました。
 出土品の中には、経年劣化が進行し破損する危険性が生じるものもあり、令和3年度より国の補助を得て保存修理に着手することになりました。
 令和4年度はメダイをはじめとした金属製品26点の保存修理を行いました。その成果の一部を紹介します。

保存修理を実施した金属製品
メダイ13点・指輪1点・鎖1点・鞐(こはぜ)金具1点・火打金2点・太鼓形分銅5点・兜金1点・笄1点・鉄鍋1点の計26点

(1)文様がよく見えるようになりました

府内型メダイ(重文No.718)

jpg

 「メダイ」とはキリスト教のカトリック教徒が身につけるメダル状の金属製品で、ロザリオという祈りを捧げる数珠状の道具に十字架などとともに吊り下げて使用されました。今回の修理によって、表面に文様が鋳出されていることがわかりました。ただし、文様の意味は不明で、今後の検討課題です。

笄(No.844)
  「笄(こうがい)」とは刀の鞘(さや)の付属品の一つで、金属製で、刀の差表(さしおもて)に挿しておき、髪をなでつける時などに用いられました。今回の修理に伴うクリーニング作業によって、耳かきが付く前端部の基部に蕨手(わらびて)状の文様が彫られていたことや凹みの部分に魚々子(ななこ)文様と呼ばれる細かい点々の文様があることがわかりました。

jpg

鞐金具(No.862)
  「鞐(こはぜ)」とは足袋(たび)や脚絆(きゃはん)などの合わせ目を留めるのに使用された金具で、甲冑(かっちゅう)の部品としても用いられました。今回の修理に伴うクリーニング作業によって、青銅の表面に施された鍍金(ときん)の様子が明瞭になるとともに、本体の一部に文様が施されていたことが明らかになりました。

jpg

(2)バラバラになっていた破片を接合しました

兜金(No.835)
  「兜金(かぶとがね)」とは太刀(たち)を握る部分の先端にかぶせる金属製の器具です。府内大友氏遺跡の出土品は青銅製で、修理前には本体の一部の破片や目釘(めくぎ)が、破損して遊離した状態でしたが、修理によってこれらを接合することができました。

jpg

鉄鍋(No.936)
 煮炊きなどに使われた鉄製の鍋で、口縁部には片口の注口(そそぎぐち)が設けられており、囲炉裏などに吊り下げるための把手(とって)が付属していました。
 把手はバラバラの破片となっていましたが、今回の修理によって、小さな破片を接合することができました。しかし、鍋の本体と把手の接合部位を明確にすることはできませんでした。

jpg

 本年度は修理を開始して2年目となります。出土品を永く後世に伝えてゆくために、今後も修理を継続していく予定です。