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埋蔵文化財Q&A

印刷用ページを表示する掲載日:2010年8月18日更新

Q1 事業予定地に埋蔵文化財が所在するかどうか知りたいのですが。

A1 『大分県遺跡地図』(大分県教育委員会)などを参照の上、県または当該市町村教育委員会(以下「県教育委員会等」という。)の埋蔵文化財担当係にご照会ください。

 【説明】
事業者が開発計画を円滑に進めるためには、現在計画中、あるいは将来的に開発 を予定している地域に埋蔵文化財が所在しているかどうか、できるだけ早い段階で把握することが必要です。埋蔵文化財包蔵地の有無を確認するために、いくつかの地図があります。まず県教育委員会が作成した『大分県遺跡地図』(平成12年度改訂)は、2万5千分の1で全県で91枚になります。このほかには各市町村が独自に埋蔵文化財地図を作製している場合もあります。開発計画策定の際には、こうした地図類を参照していただき、不明な点については県または市町村教育委員会の埋蔵文化財担当までお尋ねください。

Q2 埋蔵文化財が予定地内にありそうですが、まずどうしたらよいですか。

A2 県または当該市町村教育委員会に照会し、埋蔵文化財の確実な範囲を把握してその取扱いについて協議するとともに、法で定められた事務手続きを行ってください。

【説明】
開発計画策定に際して、埋蔵文化財の地図を参照した結果、埋蔵文化財が予定地内に含まれている可能性がある場合、県教育委員会等に対して、その位置と範囲が埋蔵文化財包蔵地であるかどうか確認してください。予定地が埋蔵文化財包蔵地であった場合、文化財保護法(以下「法」という。)の規定に基づく所定の手続きが必要です。法第93条及び法第94条では、周知の埋蔵文化財包蔵地において土木工事等を行おうとするときは、事業者が県教育長宛に届出・通知を行うことが義務づけられています。この届出・通知に対する指示事項にしたがって、事業者は埋蔵文化財の保護に係る必要な手続きを行うことになります。通常は事前に埋蔵文化財の取扱いについて、当該教育委員会と事業者で協議・調整を行います。また予定地が周知の埋蔵文化財包蔵地でないが、遺跡の存在する可能性がある場合は、試掘の実施等について協議を行うことが望ましいです。

Q3 開発予定地内の埋蔵文化財の取扱いは、県・市町村のどちらに照会したらよいですか。

A3 国・県事業は県教育委員会へ、市町村・民間事業は市町村教育委員会へ照会してください。

【説明】
開発事業の主体者によって、県または市町村教育委員会が、埋蔵文化財発掘調査を分掌しています。県教育委員会は、国及び県関係の機関による開発事業を対象とします。市町村教育委員会は、市町村事業及び民間による開発行為を対象とします。

Q4 地図上では埋蔵文化財がありますが、以前の工事で破壊されているようですが手続きは必要ですか。

A4 過去に工事が行われた場合でも、埋蔵文化財の有無を照会してください。

【説明】
大分県遺跡地図に登載されている3,900箇所余りの埋蔵文化財包蔵地の中には、過去の開発事業に伴い発掘調査による記録保存がなされたのち、工事が行われ破壊されたものがあります。しかし盛土などで地下の遺構が残っている場合もあります。個々の埋蔵文化財包蔵地は、それぞれ固有の履歴をもっています。したがって、どのよう場合でも事業者が独自に判断して埋蔵文化財について手続きが不要と考えるのは危険です。埋蔵文化財包蔵地内を開発する場合には県または当該市町村教育委員会に必ず照会してください。

Q5 盛土工法なので、地下の文化財には影響がないはずですが。

A5 盛土の厚さなどの条件によっては、盛土による保存が認められます。

【説明】
開発事業の場合しばしば問題となるのが、盛土による埋蔵文化財保存と盛土による埋蔵文化財への影響です。まず盛土保存ですが、水田や畑地などの農地及び公園などで遺跡等を比較的良好な状態で残すことができる場合には、盛土での取扱いとすることもできます。ただし、このような取扱いは埋蔵文化財本来の取扱いとして必ずしも適切ではないこと、盛土により地形や地貌が変化し周知の埋蔵文化財包蔵地であることが実態上把握しにくくなることから、事前に確認調査等を行うことが必要です。道路など恒久的工作物の設置により相当期間にわたり埋蔵文化財と人との関係が絶たれ、当該埋蔵文化財が損壊したのに等しい状態となる場合は、たとえ盛土であっても発掘調査が必要となります。次に、盛土による埋蔵文化財への影響ですが、遺跡の立地や土壌その他の諸条件でによって一様でないと考えられます。このため個々の対応の判断が必要となりますが、盛土の厚さはおおむね2m以内を基準としています。

Q6 埋蔵文化財包蔵地を避けて開発しようと思っていますが、どうしても避けられません。

A6 早急に県教育委員会等と具体的な調整・手続きを進めてください。

【説明】
開発を行う場合の法規制の一つとして、文化財保護法があります。事業予定地に埋蔵文化財が所在した場合には、その保護について必要な措置を講じなければなりません。事業者としては可能な限り埋蔵文化財を避けながら計画を立てながらも、やむを得ず埋蔵文化財包蔵地で工事を行わなければならない場合もあるでしょう。埋蔵文化財は、我が国の歴史を解明する上で、重要な価値を有する貴重な国民共有の財産であり、可能な限り現状で保存することが望ましいものとされていますが、これを現状のまま保存できなくなった場合、少なくとも、発掘調査によって埋蔵文化財の記録を保存することとなっています。また、特に重要な文化財が発見された場合には、その保存について改めて協議していただかなければいけません。いずれにしても、文化財保護の観点からは、可能な限り埋蔵文化財を避けた開発計画が望ましいといわざるを得ません。

Q7 開発予定地に埋蔵文化財が所在する場合の事務手続きはどうするのですか。

A7 法第93条及び94条の規定に基づく手続きを行い、県教育委員会教育長の指示に従ってください。

【説明】
開発事業は様々な場所で頻繁に行われていますので、何らかの形で埋蔵文化財と係わることがしばしばあります。開発の主体者が民間であるか国等の公共機関であるかで手続きが異なります。民間の場合には、法第93条の規定に基づき、埋蔵文化財包蔵地で土木工事等を行う60日前までに届け出ることが義務づけられています。国等の公共機関の場合には、同じく法第94条の規定に基づき、開発計画を策定に当たって、あらかじめ、県教育委員会教育長に通知しなければなりません。埋蔵文化財の取扱いについては、当該地を現状で保存することが不可能な場合には、次のいずれかの指導に従うことになります。

  1. 工事着手前に発掘調査を行うこと
  2. 工事中に県教育委員会等の埋蔵文化財担当職員が立ち会うこと
  3. 埋蔵文化財に影響を与えないように慎重に工事を実施すること
  4. その他(確認調査等を実施し、取扱いについて協議することなど)

Q8 工事中に埋蔵文化財が出土したときはどのようにすればよいのですか。

 A8 法第96条及び法第97条の規定に基づく手続きを行い、県教育委員会教育長の指示に従ってください。

【説明】
法第96条及び法第97条では新たに遺跡を発見した場合には、現状を変更することなく、ただちにその旨を当該地の市町村教育委員会を経由して大分県教育委員会教育長に届け出(地方公共団体の場合は「通知」)する事になっています。この場合も当該市町村教育委員会と十分協議を行ってください。

Q9 開発計画が国等の指定史跡内に及んでいますが。

A9 原則として指定史跡等の価値を損なうような現状変更を行うことは認められません。

【説明】
埋蔵文化財包蔵地のうち、特に重要な内容を有するもので保護が必要な区域は、国・県・市町村より史跡の指定を受けています。この区域は、通常の埋蔵文化財包蔵地と異なり、やむを得ない事情がある場合を除いては現状の変更が認められておりません。したがって、この区域内で事業を予定している場合は、開発行為が区域内に及ばないよう配慮してください。やむを得ず開発行為を計画する場合においては、国指定史跡は法第125条に基づく史跡の現状変更許可の申請を行う必要があり、文化庁長官あるいは県教育委員会の許可を得なければなりません。県指定史跡の場合は、大分県文化財保護条例に基づいて、国の場合と同様の手続きが必要です。事業が具体化する前に所管の教育委員会と十分に協議してください。

Q10 埋蔵文化財の記録保存に要する費用はどこが負担するのですか。

A10 事業者で負担することが原則となっています。

【説明】
埋蔵文化財は、「可能な限り現状で保存されることが望ましいものであるが、開発事業等が計画されたことによりこれを現状のまま保存することができなくなった場合、少なくとも、発掘調査によって当該埋蔵文化財の記録を保存することとして、この場合、当該埋蔵文化財の現状による保存を不可能とする原因となった開発事業等の事業者に対してその経費負担による記録保存のための調査の実施を求めることとしている。」(平成10年9月29日付け文化庁次長通知)とされています。したがって、記録保存をすることとなった遺跡については、発掘調査を実施し、このための費用は事業者=原因者が負担することになります。

Q11 発掘調査費にはどのようなものが含まれますか。

A11 発掘作業に要する経費、出土文化財の整理等に要する経費、報告書作成費等です。

【説明】
発掘調査の経費は基本的に次の3つに区分されます。

  1. 野外における発掘調査経費(機械器具の借損料、立入補償料等を含む。)
  2. 出土文化財の室内整理経費(応急的な保存処理のための費用を含む。)
  3. 報告書作成に係る経費

これらの経費のすべてが発掘調査費用に含まれます。開発工事に伴う緊急発掘調査は、埋蔵文化財の現状での保存ができなくなった場合に、記録による保存を目的として実施しているものです。したがって、その調査成果となる報告書が刊行されてはじめて目的が達せられ、発掘調査が終了したといえます。

Q12 工事の都合上、できるだけ早く埋蔵文化財調査を終了して欲しいのですが。

A12 埋蔵文化財の調査は、一定の期間を要することを常に念頭に置いて事業計画を策定してください。

【説明】
埋蔵文化財は土地と直接関係するので、その保護について事業者と調整する必要が生じることがあります。工事を予定している土地が埋蔵文化財包蔵地である場合などがこの例です。現状保存ができない場合、埋蔵文化財の記録の作成のための発掘調査を実施することになります。工事を早く着工したいところに埋蔵文化財が確認されたりすると、工事工程に大きな影響を与えることもあるでしょう。このため、事業を実施する側と文化財を保護する側が早い段階から互いに情報交換し、各段階における措置を適切に実施することで、事業の実施と埋蔵文化財の保護を調整させることが重要です。

Q13 埋蔵文化財の発掘調査年度の途中から工事に着手しないと、事業計画に支障が生じます。

A13 野外の発掘調査が終了した段階で、工事に着手することは可能です。

【説明】
調査対象地が広く、調査期間が長い場合は、調査が終了した箇所から工事に着手することができます。県教育委員会等は事業者と連絡を密にし、調査の行程や進行に支障のない限工事と並行して実施できるように努めます。