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大分・熊本両県にまたがる「阿蘇くじゅう国立公園」は、昭和9年に国立公園に指定され、令和6年には指定90年を迎えます。くじゅう連山の麓に位置する九重町田野地区は、タデ原湿原や坊ガツル湿原など学術的にも貴重な湿地が広がり、その豊かな自然と雄大な景観を求め国内外から多くの観光客が訪れています。この地域で自然保護に取り組む皆さんは、この貴重な自然を未来へつなげるべく、熱心に活動されています。
くじゅうの自然を代表する草原は、放牧が行われなくなったことにより徐々に減少し、現在では地域住民らの野焼きによって保たれており、野焼きを行わなければ、草原は短期間で森林化して、草原でしか生息できない希少な動植物は失われてしまうとのことです。
地域の観光振興については、県が主体となって、自然と共生した観光のあり方や二次交通の整備など、観光と自然保護が一体となった計画を立てるようご要望をいただきました。
また、草原がカーボンニュートラルにおいて果たす重要な役割などについてもご説明をいただき、意見を交換しました。
皆さんのご尽力により豊かな自然環境が守られていることについて感謝を申し上げるとともに、県としても、自然保護に対する取組を進めていきたいとお伝えしました。
農家から肉用牛の子牛を預かり、市場出荷まで共同飼育する施設である「キャトルステーション」が令和6年4月に玖珠町大隈へ設置されました。高齢化する生産者の省力化や、飼育頭数の増加を目的に、大分県農業協同組合が竹田市久住町に次いで開設したもので、年間360頭の受け入れを目指しています。
キャトルステーションでは、大規模管理による飼料コストの削減や同一の飼養管理による出荷子牛の品質向上のほか、就農希望者等の研修生へ技術指導を行うことにより、担い手確保・育成の効果も期待されています。また、子牛を預託した農家では、空いたスペースで新たに肉用牛を肥育するなど、地域全体としての飼育頭数の増加も図っています。
運営においては、近年の飼料、燃料代の高騰や子牛の市場価格の大幅な低下に伴い、当初の予定どおりに推移していない現状をお聞きしたほか、参加者からは、さらなる利用促進に向けて、県の支援に対するご要望を伺いました。
県としても、既存の事業を含む支援を検討するとともに、キャトルステーションにおいても、地域の畜産農家への情報発信に引き続きご尽力いただきたいとお伝えしました。
玖珠町立学びの多様化学校は、不登校の小中学生を受け入れる公立の小中一貫校としては九州・沖縄で初めて、令和6年4月に開校しました。
学びの多様化学校とは、文部科学省の指定を受けることで、特例として総授業数の削減や新設科目の設置など、教育課程を柔軟化できる学校で、授業内容を工夫することにより、習熟度の異なる児童生徒に寄り添った学習を進めることができます。
教室での授業風景を見学させていただきましたが、様々な学年の児童生徒が、仲良く楽しそうに学んでいる姿が大変印象的でした。
懇談では、開校後に多くの見学や問い合わせがあり、ニーズを感じている一方、入学希望者の住居から学校までの距離が遠いといった地理的要因や、学校スペースの問題で入校がかなわないケースがある等の課題をお伺いしました。
また、家庭の不和や経済的困窮等を理由に不登校に結びつく事例もあることから、福祉と教育の連携強化についてのご要望もいただきました。
そのほか、教職員の配置状況やオンライン授業の活用などについて意見交換をしたほか、県内への「学びの多様化学校」の普及促進について、ご提案をいただきました。
多様な学びの環境を整える必要性について改めて認識できたことに感謝を申し上げるとともに、ロールモデルとして、さらなる情報発信に努めていただきたいとお伝えしました。