佐藤新知事就任記者会見
日時:令和5年4月28日(金)11時30分~
場所:第一応接室
知事就任会見
佐藤樹一郎でございます。本日付けで、知事に就任いたしました。県民の皆様から選んでいただき、重責を担わせていただくということ、大変身の引き締まる思いです。県民の皆様と対話を重ねながら、県政の発展のために日々全力で取り組んでまいりたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
課題はたくさんありますが、県政運営に当たっては、これまで大分市長を8年間務めてきました経験を生かして、各地域・各分野で、この選挙期間やこれまでに県民の皆様からいただいた思い・ニーズをしっかりと受け止めながら、日々全力で果敢に挑戦していきたいと思います。18市町村、国、労働界や経済界という各団体の皆様、NPO、そして、何より県民の皆様としっかり連携しながら、取り組んでまいります。
課題の一つ目は、県内各地での人口減少が予想していたよりも早く進んでいるということで、この人口減少対策、少子高齢化対策をより加速させて進めていかないといけないというニーズがあります。まず、社会増減については、令和4年度は移住者が大分県全体で1,508人と、過去最高になったということで、今までの取組の効果・成果も少しずつ出てきているところではないかと思いますが、その取組をさらに充実させていく。そして、自然減がやはり非常に人口減少に効いてきています。大変難しい課題ですが、若い方々が子どもを産んで、育てやすい環境づくり、それから、高齢者の方々はできるだけ長寿社会、健康寿命日本一になりましたけれども、やはり元気で長生きをしていただける、そういう高齢者の方々の健康づくり、そういう取組が必要です。今、国を挙げて子ども・子育て支援策が議論されていて、今度また、政策の中に入ってくると思いますが、そのような国の動きと併せて、18市町村が喫緊の課題だと捉えて地域ごとに進めている様々な取組と連携しながら、粘り強くしっかりと取り組んでいくことが必要ではないかと思います。そして、やはり誰もが安心して笑顔で元気に住み続けられる、そういうまちづくり、地域づくり、地方自治体の仕事、広域行政も県の行政も、それから、基礎自治体の市町村の行政も究極の目的はそういうところにあると思いますが、そういう意味では、障がいのある方、支援が必要な方々に対する寄り添った行政というのも大変大事です。それから、これも全国で言われていますが、女性がより活躍できる社会をどういうふうにつくっていくかということも大変重要な課題だと思いますので、取組を進めていきたいと考えています。
二つ目は、元気な社会、そして、安心で安全な社会をどういうふうにつくっていくかということです。5月8日にコロナが5類に変更になるということで、これから元気な社会をつくることについては、反転攻勢の時期がもう来ていると考えています。九州・大分で言いますと、ツール・ド・九州です。今年、自転車を使った地域のイベントが始まります。また、来年の春にはJRのデスティネーションキャンペーンが開催されるということで、来月、宣伝販売促進会議が福岡県と大分県合同で開催されますが、そういうものをより加速化していくことが大事だと思います。
そして、来年は全国豊かな海づくり大会という、海の幸、漁業の大切さを全国に発信するイベントもあります。昨年は全国育樹祭があり、山の大切さ、林業の大切さ、それらの魅力について、併せて津久見の扇子踊り、佐賀関の鯛つり踊りなどの伝統芸能を、大分から全国に発信しました。次は全国豊かな海づくり大会が、海の幸を全国に発信する大変大事な機会になると思いますし、また、大分の文化、魅力を発信していく、そういうイベントになると思います。
そして、2025年には大阪・関西万博があります。外国から来た方々が関西に行っただけで終わらないよう、関西の方々自身が瀬戸内観光をぜひ進めていきたいと言っています。関空に入ってこられた外国人の方々が万博を楽しんで、その後、瀬戸内を楽しんで、さらには大分の観光地まで来て、そして、最後は福岡空港から帰国していただくようなルートをつくっていくということです。万博の開催までもうあまり時間がありませんので、今から取り組んでいくことが大事かなと思います。
このような取組を通じて、コロナで大変厳しい状況に陥った観光業・飲食業の反転攻勢、これから、ラグビーワールドカップのときのようなにぎわいを取り戻していけると思いますし、海づくり大会では、漁業の振興と併せて、農林水産業全体の魅力や大分の食の魅力の発信もできるのではないかなと思います。
元気という意味では、大部分の製造業、中小企業のDXや先端技術を活用した振興、そして、農林水産業を成長産業にしていくために、販路開拓や6次産業化、大規模化などもが重要と言われています。また、小規模なものであっても、健康と組み合わせたような農林水産業の振興など、いろいろな可能性があると思いますので、そういう取組をしていくことが大事かなと思います。
あわせて、今、全国で取り組まれている、賃上げが中小企業にも広がっていくような、価格転嫁の取組が大事かなと思います。日本商工会議所などでも、パートナーシップということで取組をしていますが、県としてもそういう取組を進めていくことが必要なのではないかと考えています。
三つ目の大分の未来の創造についてですが、将来にわたって子供たちが住み続けたい、魅力がある、外から訪れてみたい、そういう地域をつくっていくためには、まずは、広域の公共交通、交通網の整備が大事です。これについて、東九州自動車道4車線化の取組をされていますが、併せて中九州横断道路についても、かなり進展が見られています。
大分市の方に向かっては、犬飼から宮河内にどういうルートでいくか、今、3ルート示されて調査が行われていますし、竹田からは阿蘇に向かって道路着工し、いずれは大分と熊本がつながります。着実に進めていきながら、加速化していくということが重要だと思います。
そして、中津日田道路もだいぶ進んできました。例えば、耶馬渓の皆さんは、インターができることを心待ちにしています。それができると、観光客の皆さんのアクセスが飛躍的によくなり、万博のときなどにも、より多くの方が耶馬渓に訪れることも可能になりますので、そういう取組を着実に、かつ、できれば加速化して進めていけることが必要かと思います。
広域交通で未来ということであれば、やはり東九州新幹線、そして、大分市長の時に取り組んでいた豊予海峡ルートの整備です。 これは当然、県民や市民だけの負担で行うような事業ではありません。国のプロジェクトとしてどういうふうに位置づけて、進めていくか、丁寧な議論が必要です。大分市長時代に、かなり調査も進めてまいりましたが、コストベネフィットの問題や、国のプロジェクトとして進める場合の県民や市民の負担はどうなるのかなど、いろいろな課題があります。庁内でしっかりと議論・検討し、調整を進めていきたいと思っています。
それから宇宙港のこと、また、かなり先ではありますが、特に2050年に向けて、今から対応が必要なカーボンニュートラルの問題です。新産都、コンビナートもありますので、これが大分の産業を支えているところが大変大きいですが、同時に、これらをどういうふうに活用していくかの対応がそれぞれの企業に求められます。発生するCO2や熱をどういうふうに活用するか、様々な課題がありますので、そういうところについても取組をしていきたいと思います。
今、申し上げたのは課題の一例ですが、大変多岐にわたる課題がたくさんあります。その1つ1つについて、すでに県庁内でもいろんな議論をしていますので、私も一緒に議論するとともに、現場に足を運び、県民の皆さんと対話をしながら、そして、繰り返しになりますが、基礎自治体の18市町村の皆様はじめ、実際にプロジェクトになるときには、国の皆さんともしっかり連携しながら取組をしていきたいと思っています。今のところ、取組の考え方は以上です。
もう一つだけ、人事異動の話をさせていただきます。令和5年度の本格的な人事異動は今までまだ行っていませんが、3月31日付で退職した部局長、所属長等の空席ポストについては、今、兼務発令となっています。これについて、県政の諸課題にスピード感を持って対応していくために、できるだけ早く、速やかに新体制を整えていく必要があると考えています。そして、整えた上で、先ほどのような諸課題について政策議論を進めていきたいと思っています。
そのため、来週の5月2日に内示をして、5月15日付で発令を行います。人事異動の基本的な考え方等については、先ほど述べた課題の解決に向けて、政策の継続性、加速をどのようにしていくか、市町村との連携をどうするかなどの観点があります。男性、女性、熟練、若手を問わず、能力、意欲、そして、実績のある職員を適材適所という観点で登用したいと考えています。5月2日の人事異動の内示の際に、また改めて考え方をお示ししたいと思います。私からは以上です。
肉付予算について
(記者) 肉付けの予定方針は。
(佐藤知事) 肉付けについても、同じくこれから議会に向けて議論を進めていきたいと考えています。今からの議論にはなりますが、とりあえず、骨格予算では大体昨年度当初予算から400億円ぐらい減の6,700億円ぐらいになっています。ですから、常識的に言うとその分が肉付け予算の基本かなと思っていますが、今はまだ、深く議論ができていませんので、その予算編成に向けても議論を進めたいと考えています。
(記者) 肉付け後の予想額が昨年度相当程度か。
(佐藤知事) そうですね、今のところ、そのように考えています。
豊予海峡について
(記者) 豊予海峡の調査費等の予算化を考えているか。
(佐藤知事) 今から庁内で議論されると思いますが、大分市長を務めていた8年間でかなりの調査結果が出ておりまして、B/Cが非常に高いということも分かってきていますので、それに加えて、実際に調査を行う必要があるのかどうかというところまで精査しないといけないと思います。豊予海峡だけではなく、東九州新幹線も同様にやっていかないといけませんので、四国新幹線と豊後伊予連絡道路についても、どういうふうに取り組んでくか、体制なども含めて早急に議論していきたいと思います。
(記者) 豊予海峡に関連して、県全体でどのようなことをしていきたいか。
(佐藤知事) 大分市長のときも、関係の市町村、特に伊方町ですとか、愛媛県の西側の関心が高いところと連絡会議を持ったり、大分の中だと臼杵市ですとか、同様に愛媛県とも連携を図りたいと、そういうところと一緒になって会議を開いて、例えば、特産品を紹介し合ったり、いろんなプレゼンをやってきました。今度はやはり県の立場から、もう少し愛媛県とも議論ができるかなと思っています。豊予海峡については、福岡県や宮崎県などが入った推進協議会がありますが、今まであまり集まって議論するような形になっておりませんでしたので、そのあたりの機運醸成があるのかどうかですね。愛媛県の中村知事とは話をしたことがありますが、そのときはまだまだそこまでの議論に至っていませんでした。そういうことで、進め方をやはりまず検討してみたい。その中で、県レベルの議論をできるようにしようかなと思います。
(記者) 例えば、任期内にどういったことを目処として、着手するか。
(佐藤知事) 新幹線で言うと、整備新幹線にあがるとか、豊後伊予連絡道路が、犬飼と宮河内のように計画調査段階にうつるとか、そういう具体的なことについては、豊予海峡ルートのプロジェクトがありますから、見通しを言うのは難しいと思います。ただ、例えば、関東にある湾岸横断道路は川崎市と木更津市を通りましたが、あれも同じような感じで、いつできるかというのはなかなか見通しが立たず、ただ地道にずっと調査を進めていって、ある日やはりこれを進めようと思い立ったというふうなことだと思うんですね。同じように、市長のときも8年間、調査や発信をしました。今後も基本的にはそういう努力を続けていけたらなと、認知度を上げていけたらなと思っています。それから、四国の新幹線はご存じの方が多いと思いますが、四国の中では高松と松山、高知と岡山をつなぐというT字型T字型で進めていくということになっていて、松山で止まることになっているんです。そこを大分まで延ばすと、四国が考えている以上に四国新幹線の付加価値が高まるんだという議論をやっていきたいと思います。ただ、これは国のプロジェクトになりますので、それが便利だからといってすぐに正式な話になるかどうかというのは分かりません。ただ、将来、どこかの時点でこの計画を進めていこうとなったときのために、そういう議論を地道に続けていくということが必要だと考えます。
(記者) 18市町村や愛媛県と、どういう話をされていきたいか。
(佐藤知事) まず、大分市の足立新市長は会見のときにも、たしか中九州横断道路を東に延ばしていくことが大事だということを言っていたと思います。いろいろ政策の議論の中で話をして、こういうことも大変大事ですねというふうな認識を持ってもらっています。それから、愛媛県については、中村知事と話した際には、こういうプロジェクトもありますねというぐらいの感じでしたが、さっき言いましたとおり、愛媛県の西側半分の市とか市町村の方には非常に関心を持ってもらっています。特に、伊方町長とは、シンポジウムを4回行いました。必ず一緒に登壇をしてもらって、特に、そこには原発もありますので、何かあったときの避難道として、道路でつないでもらうというのは命の道ですということはおっしゃっていました。そういう広がりをつくっていくことが大事だと思うんです。フェリーなどでつながっている市町村などとの交流をさらに増やしていくということも大事だと思います。交流人口が増えていくというのが、豊予海峡ルートの整備にもつながっていくと思います。そういうことを引き続き地道にやっていくということだと思っています。
(記者) 大分市長時代に豊予海峡ルートの調査をされて、どういうお考えをお持ちか。
(佐藤知事) ほかの様々なプロジェクトと比べて、豊予海峡ルートが極めて危ないということではなくて、トンネルにしても、橋にしても、技術的に十分に、安全性を確保して実現することは可能であるということは確認が取れていますので、そこのところは技術的に進められていくと思います。
チャットGPTについて
(記者) 現在、全国の自治体では生成型AI、いわゆるチャットGPTの活用や導入が話題になっているが、大分県での検討は。
(佐藤知事) チャットGPTは使い方によっては有用性があると思いますが、一方で、例えば、機密情報をどういうふうに保護するかとか、それから、そもそもAIが考えたものを使っていろんな行政の文章を作っていいのかどうかとか、いろんな議論があると思います。各自治体や国ですでにいろいろな議論がされていますが、そういうものも参考にしながら、これからどういうふうに活用していくか。ただ、やはり、先端技術については、DXとか、行政の効率化の観点からも、使えるものは使っていくという姿勢は正しいのではないかと思いますので、マイナスの点はよく精査しながら、活用できるところはあるだろうかと庁内で検討していくかなと思います。
(記者) 今現在、大分県内で活用、検討していく方針はまだないか。
(佐藤知事) はい、そうですね。
喫緊の課題について
(記者) 広瀬さんからの引継ぎの中で、喫緊の課題と感じたことは。
(佐藤知事) 個別、具体的にここはというのはなかったですが、やはり人口減少対策とか、先端技術への挑戦、カーボンニュートラルとか、そういうことについて、1個ずつ話をしてみて、例えば、大分の新産都のコンビナート企業群はどうだろうかと、ずっと大分に居続けてくれるだろうかとか、そういう議論はしました。広瀬前知事は、大分の新産都の企業群は大分というこの地域の事業所を大変大切に思ってくれているようだという話をしていました。今もう既に、事業所が大幅縮小になったりして厳しい状況になっている地域もありますが、大分ではすぐにそういう状況になることはどこもないかなということです。ただ、逆に言うと、カーボンニュートラルの問題、CO2の問題とか、それと、技術開発が絡んでくるんですね。水素をどういうふうに活用するか、製鉄で言うと、カーボンで還元をしますが、それを水素で還元する技術の開発、例えば、日本製鉄で言ったら君津で研究をしていますよね。そういうものを実際に大分で活用してもらうのかどうかとか、それから、やはりコンビナートになっているところが大きいわけですね。レゾナックでの原料はエネオスの石油精製から出たナフサを使うなどして、コンビナート企業群では石油化学製品を作っているわけです。地域として2050年に向けて、企業は生き残りのために世界中どこでも最適なところを探して動いていきますので、企業との関係の構築が非常に大事な課題だと思います。熱とかCO2、さっきもちょっと言いましたが、夢みたいな話ではありますが、荒廃地の農業のビニールハウスの中で活用するとか、そういうことも本当はあるんだろうと思いますね。よくあるのは、廃棄物の焼却場の熱を使った温水プールや、温室の植物園。大分市佐野の、熱帯植物園は近くにある清掃センターの熱を使っており、熱とかCO2を入れて食物の成長を早くしています。そういうようなこともできると、さらに地域で一緒になって取り組んでいくということができると思いますが、実はなかなか難しいんですよ。一つの企業の行動が制限されるので、新産都の企業の皆さんがどういうふうに大分の工業を考えているかという話や、ヘリとか宇宙港の話も少ししました。状況を見ながら、果敢に挑戦をしていくということかと思います。
引継について
(記者) 引継ぎは、直接や電話で何度かされたのか。
(佐藤知事) 昨日、引継ぎ式がありましたが、あれはちょっとセレモニーみたいなもので、時間を別に取って、話をしっかりしております。
(記者) 回数や時間は。
(佐藤知事) メインの引継ぎは1回で1時間か2時間ぐらいでしたが、その他にも頻繁にお会いして話をしたりしていました。
副知事について
(記者) 副知事は、省庁から一人、生え抜き一人という体制ですが、その辺の考えは。
(佐藤知事) 副知事のお二人については、任期がまだお二人ともありますので、あらためて考えたいとは思っています。今のところは特段こうしたいという考えはありません。
(記者) 副知事に関して、今のところ、続投か、代えるかの方針は。
(佐藤知事) 尾野副知事の任期が一応今年の夏までで、国から来ている吉田副知事は、着任してまだ1年ぐらいなんですね。だから、そういう意味では、お二人とも任期がまだあります。今度の5月15日に発令というタイミングではありませんので、どういうふうにするか考える時間的余裕が少しありますが、今の時点でこういうふうにしたいという案があるわけではありません。
県民への発信について
(記者) 県知事として、どういう色を県民に発信していきたいか。
(佐藤知事) 行政というのは時々利害が対立することがあります。当然のことですが、AとBがそれぞれその立場から、逆の要請をするわけです。そういうことの調整もしっかりしていかないといけないので、そういう両方の意見を聴きながら、行政として最も望ましい判断をしていくことも大変重要なことだと思います。そして、もう一つは、将来に向けた取組の発信についてで、前知事のときに宇宙港などの発信もされていました。そういうことを含めて、新しい技術を使って、さらに大きく発展させていくような取組とか、それから、まさに政策の中で子ども・子育て支援とか、障がい者とか高齢者の方々の福祉とか、そういう行政の仕事を本当の支援が必要な方々に対して行っていきたいと思います。そうした方々に対して寄り添って行政をしていくことが自治体の役割としては一番大事なところじゃないかなと思います。そこがやはり基本だろうと思うんですね。繰り返しになりますが、住んでいる方の誰もが安心して笑顔で暮らせる社会をどういうふうにつくっていくか。その中で、調整が必要なところはしっかり汗をかいて、意見をそれぞれ聴く、そういうことを担っていく。そして、将来に向けて、こういうことをやっていくと、もしかしたら人口が増えていくかもしれないし、より豊かな魅力のある県になっていくかもしれないので、そういうことの取組もしていきたいと思います。それから、もしかしたら、ちゃんと対応していかないと逆にこの豊かさが失われてしまうかもしれないものの一つに、カーボンニュートラルへの対応というのもあるかもしれません。先端技術を使えば、逆にもっと豊かになるかもしれない。そういうことを、メッセージを発しながら、多くの方々に意見をいただきながら、対応しながら取り組んでいく。市長のときもそういうつもりでやってきましたが、そういうことかなと思います。
宇宙港について
(記者) 宇宙港について、ここ1、2か月でヴァージン・オービット社がアメリカで破産申請をしたり不安な点もあると思うが、現状についてどう見ているか。
(佐藤知事) ヴァージン・オービットはチャプター11になっていますから、こちらでどうこうという状況ではないと思いますが、今年中とかそういう感じではないと思うので、計画どおりの打ち上げは難しいかなと思います。シエラ・スペースの方は、もともとたしか、最初に飛ぶとしても2026年ぐらいだったと思うんですね。ですから、大分空港でああいう形での打ち上げというのがすぐできるかどうかということについて、ヴァージン・オービットがこういう状況になったということは、前よりも少し先に延びてしまうかなと思いますが、どちらにしても、宇宙と、宇宙の関連の産業を育てていくというのは大事なことだと思います。一つは、大分空港というのは海に向かって延びていて、滑走路が長いという特徴もあるので、それを活用した大分空港の活用策の一つとして宇宙港はあると思います。もう一つは、これからの宇宙関連産業において中小企業の活躍の場は広がってくると思うので、そういう意味でも、引き続き宇宙港という宇宙プロジェクトの取組を進めていくというのは意義があることだと思います。恐らく、ヴァージン・オービットがロケットを打ち上げて、そして、そこで一つイベントになるのは、当初期待していたよりも延びるのは間違いないと思います。ただ、こういう取組についての重要性は変わらないのじゃないかなと思います。
今後の県政について
(記者) 大分市長時代の2期8年で実現をしたことで、今後の県政でそれを県全域に拡大していきたいことは。
(佐藤知事) 新しい大分市長はじめ、市ともいろいろ議論していかないといけませんが、児童相談所の話は大分県の児童相談所の大分市担当が城崎の分室に移って、大分市の子ども家庭支援センターと2階、3階、4階、5階で同居して仕事をしています。中核市は保健所と同じように児童相談所を分掌できるようになっているのですが、状況を見ながら、今後さらに、中核市というのは児童相談所を分掌できるようになっているんですね。保健所と同じようになっていますが、そういう体制を取るのが望ましいのか、今の体制で、児童相談所自身は大分県が設置していて、共同で運営していくというのがベストなのかという議論は数年かけてやっていくということがあるかなと思います。それから、共同でやっていくということでは、先ほどの豊予海峡のプロジェクトなんかは、一番愛媛県側に近いのが大分市なので、やはり大分市と大分県でしっかり連携しながら取組をしていく。これは中九州横断道路が今度大分市の宮河内まで来ますので、大分県庁の中だけではなくて、大分市も一緒にやっていったらいいんじゃないかなと思いますね。あと、これはもう前からの課題ではありますが、いろんな施設の共有ですよね。例えば、県営の体育館を大分市が県から譲り受けて、今、コダマアリーナになっています。さらに、県の施設ではレゾナックドームを中心としたスポーツ公園があります。それらの役割分担をどうしていくかなど、いろんな課題があると思います。あまりまだ、県庁の皆さんと議論していませんが、ホーバー就航に合わせて田ノ浦に「たのうらら」という施設ができますが、今度は空飛ぶ車なんかも全国を挙げて課題になっていますから、県と市で取り組んだらいいんじゃないかなと思います。いろいろ大分市長時代、市で8年間やってきたことを踏まえて、これからやっていくことはあるかなと思います。
初登庁の気持ちについて
(記者) 今日、知事として県庁に来られたときの気持ちと県民に対するメッセージを。
(佐藤知事) 繰り返しで恐縮ですけれども、まず、大変身の引き締まる思いがしております。 また、今回、県知事選挙で初めて県内をくまなく17日間かけて回らせていただき、改めて大分県は大変バラエティに富んでいて、どこの地域も大変美しい地域で、そして、農林水産業はじめ、非常に多様だということを認識しました。これはそれぞれの地域に特性とか歴史文化があるということなんですね。ですから、今まで8年間大分市長をやらせていただきまして、県の市長会の会長もやらせていただきましたが、今度は県という広域の行政を担わせていただきますので、それぞれの地域の特徴とか特性とかすばらしいところを生かした行政、あるいはそれぞれの地域の課題をしっかり解決できるように18あるそれぞれの市長さん、町長さん、村長さん、基礎自治体の皆さんとも連携していきたい、そして県民の皆様の期待に応えられるようにしっかり対話をしながら、取組をさせていただきたいと思います。
※この会見録は発言をそのままではなく、文章とする際読みやすいように整理の上、作成しています。[記録作成:企画振興部広報広聴課]