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長雨(大雨・豪雨)対策マニュアル(果樹)

印刷ページの表示 ページ番号:0002069762 更新日:2019年8月29日更新

長雨(果樹)

1.被害発生の様相

  長雨の害は日照不足と同時に低温の害、湿害等をともなう。 長雨による被害の発生時期は梅雨期と秋雨期に多く見られ、年により長期に及び被害を大きくする。
 また、春先4月の発芽、開花期には、なたね梅雨ともいわれ長雨の続くこともしばしばみられる。 被害を発生時期別にみると発芽、開花期の長雨は開花受粉に障害を受け結実が不良となり直接減収に結びつく。 また、発芽期は枝葉、幼果が軟弱徒長し成葉化が遅れるため病害の発生が多くなる。一方梅雨期の長雨は、新梢伸長期や幼果の肥大期、生理的落果期等にあたる場合が多く、一般的には生理的落果が助長される。さらに、幼果の肥大が抑制されるとともに病害の多発、根傷みによる細根の減少等が見られる
 この時期に成熟するうめ、すもも、もも等では収量とともに品質が低下し、商品化率も悪くなる。また、花芽分化期にあるものは翌年の花芽数が減少する等、梅雨が長期に及ぶ場合は生育収量に大きな影響をもたらす。

2.対策

(1)日照条件の改善                                                                                                                             

   日照条件を良くするため防風樹の枝抜き等の適正な管理を行い、園内では密積部分の枝抜き、誘引等を行う。

(2)排水対策

 ア 園内外の排水をよくし、停滞水をなくす。とくに地下水位の高い所では明渠の排水対策を行い根域土壌の排水に努める。また、土砂崩れの心配がある場合は、シート等で地面を覆う等の防止策を行う。
 イ 有機物の施用や深耕を行い、土壌の物理性を改善し細根量を増加させる。

(3)病害虫防除の徹底 

   枝葉が軟弱徒長し、展葉期も長くなること等から発病に好都合となり、病害が多発するので、発生前の予防防除に重点を置く。 

(4)かんきつ類 

 ア 日照不足により生理落果が助長される場合は、結果枝近くにある重なり枝を誘引や除去し、日当たりを良くする。
 イ 着果過多で新梢の少ない園では強い上向きの果実を摘果し, 予備枝を育成する。
 ウ 着果には大玉果の生産が必要な中晩柑や生育期の短い極早生で早期摘果の効果は大きいので、生理落果の程度をみながら粗摘果を行う。  
 エ 3日間水が溜まった状態では土壌中の酸素濃度が低下し、カラタチの根の活力は低下し、やがて枯死する。
 オ 黒点病の発生が予想されるので、降雨前後の定期的な予防散布(防除の目安は降水量200mm)を徹底すると ともに伝染源である枯れ枝除去と剪定くずの適切な処理を行う。
 カ マルチ実施園では、マルチ上の雨水の短時間排水を徹底するとともに、晴天時には被覆の開閉を行い、土壌乾燥を促す。また、フィガロン乳剤2,000~3,000倍の散布により熟期促進、糖度上昇を図る。

(5)施設栽培 

ア ハウス栽培では地下水の上昇や土壌水分の変化に注意し、園外からの流入を防ぐよう側溝を設ける。ハウス内の日照条件を良くするため結果枝の枝つりやハウス周囲の防風樹の刈込み等を行い着色促進や裂果、浮皮防止に努める。
イ 施設が過湿状態になりやすいので、開花、幼果期に当たる場合は灰色かび病の防除を徹底する。 
ウ かん水を控え、水切りを徹底する一方、水分ストレスが不足する場合は、摘果を控え着果負担をかける。また、温度を昼(30℃)、夜(28℃)に設定し、ハウス内や土壌を乾燥させる等工夫する。

(6)落葉果樹 

ア 新梢伸長期では枝梢が過繁茂となるため、技抜き、誘引、摘芯等を行い徒長を抑制し、結果枝の育成や果実の肥大を促すようにする。
イ 成熟期にあるものは果実が過熟にならないよう早めに収穫を行うとともに、降雨時の収穫はさけ、出荷調整にも注意する。 
ウ 果肉の急激な肥大による裂果に注意する。土壌水分の変動を少なくするため、敷ワラや敷草を行う。初期肥大不良や着果過多なども原因になるため、幼果期の着果管理も徹底する。裂果した果実は摘果し、園外へ持ち出すか土中に埋める。
エ 着色期にあるもも、すももは反射マルチを利用し着色の向上を図る。 
オ 薬剤の散布間隔を空けないように、降雨前や晴れ間を見て散布する(特にぶどうのべと病)。特に施設我培では換気を十分に行うとともに、枝管理を入念にし日当たりを良くする。
 

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