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少雨・高温対策マニュアル(花き)

印刷ページの表示 ページ番号:0000292109 更新日:2025年5月27日更新

干ばつ(少雨)対策 

〔露地花き〕
1.発生の様相
 空梅雨で自然の貯水量が少ないときや長期間にわたって降雨がないときに土壌が過乾燥となり、干ばつの被害が発生することがある。花き生産ではほとんどの場合かん水施設を整備しているので、大きな問題にはなりにくいが、水田の通水期間の前後やかん水施設の整備されていない畑地などの場合には問題になることがある。
 乾燥が長期間続くと、植物体は日中にしおれて朝には元に戻ることを繰り返し、ついにはしおれが回復しなくなって枯死する。特に生育初期に強い乾燥状態になると短期間で枯死することもある。枯死に至らなくともこのような状態が続けば、開花遅延や品質低下(花径の縮小、花の着色不良、葉の黄化、短茎化など)を生じることがある。
 
2.対策
(1) 土づくり
 干害を受けやすいところでは、事前に深耕や十分な有機物(完熟堆肥等)を施用し、土壌の保水力を高め、植物体の根張りをよくしておく。
 
(2) マルチ
 敷ワラ、敷草マルチを使用し、土壌表面からの水分蒸発を抑制し土壌水分を確保する。この場合、生育初期のものはコオロギ等の食害が考えられるのでこれらの予防も合わせて行う。白黒マルチなど反射性資材を活用すると、土壌の乾燥を防止すると共に遮熱による地温の上昇を抑制することもできる。
 
(3) かん水
 干害の症状が軽いうちに適切なかん水を行う。かん水は早朝または夕方の蒸発が少ない時間帯に行い、吸水効率を高める。また、部分かん水や点滴かん水により、株元に限定して水を供給することで節水と効率的な水分供給が可能となる。
 かん水頻度は、乾燥の状況を見ながらこまめに行う。定植直後や生育初期のものは、かん水回数が多くても一回のかん水量が少ないと、根が地表面近くに多くなり干害を受けやすくなる。
 
(4) 病害虫対策
 乾燥すると、ハダニ類、アブラムシ類、アザミウマ類等の発生が多くなり、特にハダニ類の多発が想定されるので、初期防除を励行する。また、うどんこ病が発生しやすくなるので、圃場をよく見回り少発生時に防除を行う。
 
(5) 水源
 新規の水源を確保してかん水する場合、チューブの目詰まりを防ぐフィルターや水質のチェックを必ず行う。溜まり水を使用する場合は、緑藻による目詰まりや細菌病に注意する。また、防除には溜まり水は使用しない。  
 
(6) その他
 天候予測をもとに早めの対策を実施する。
 根本的な対策として、畑地では灌漑施設の導入を検討する。

高温対策

〔施設花き〕
1.発生の様相
 品目や品種で異なるものの、昼温が30℃を越す高温期には、生育が不良となることがある。また夜温が高い場合の影響も大きい。高温によって枯死することは少ないが、干害と同様に開花遅延や品質低下(花径の縮小、花の着色不良、葉の黄化、短茎化など)を生じることがある。
 夏季の施設では、風通しが悪いこともあって、高温による障害が発生しやすい。また、乾燥によって被害が助長される。
 
2.対策
(1) 遮光
 遮光カーテンやネットを使用し遮光することで、日射量を調整し、施設内の温度上昇を抑えることができる。遮光率は種類によって異なるが、30~50%遮光を目安とする。
 専用の塗布剤を使って施設の屋根を遮光することができる。塗布材は光や降雨により数カ月で剥離するため一時的な高温期の対策として有効である。
 赤外線カットフィルムを使用すると施設内部への光量を確保しつつ、施設内の温度上昇のみを抑えることができる。
 
(2) 換気
 換気を十分に行い日中の施設内気温の上昇を抑える。天窓や側窓を解放し自然換気によって施設内の熱気を外に逃がす。施設のサイド(ビニール)はできるだけ高く開放すると換気効果が大きい。自然換気が不十分な場合には、換気扇を使用し強制換気を行うことが有効である。
 
(3) 冷却・加湿
 各種装置を利用することで施設内気温を低下させることができる。
 ミスト装置(細霧冷房)は、微細な霧を散布し気化熱により温度を下げることができる。同時に湿度も上がるため蒸散の過剰抑制を防止する効果もある。
 パッドアンドファン冷房システムは、ハウス片側に湿潤パッド、反対側にファンを設置し、風とともに冷気を送ることで施設内の気温を低下させることができる。
 
(4) かん水
 高温が続くと施設内部が乾燥すると共に高温で蒸散量が増えるため、十分なかん水が必要となる。
 
(5) 病害虫
 高温、乾燥時には、ハダニ類、アブラムシ類、アザミウマ類、うどんこ病等の多発が考えられるので、初期防除を励行する。
 
(6) 収穫
 収穫物は高温環境に置かれると日持ちの低下やしおれなどによって品質が低下する。収穫は気温の低い早朝に行い、収穫物は低温貯蔵庫等に入れるなどしてできるだけ高温環境を避ける。
 
(7) その他
 天候予測をもとに早めの対策を実施する。
 
〔露地花き〕
 露地栽培は、施設とは異なり環境制御が難しい。干ばつ(少雨)対策と同様に、土づくり、マルチ資材の活用、こまめなかん水管理、品種の選定などを組み合わせた対策を行う。

 

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