シダ植物の見直し点
1 これまで大分県で生育が確認されているシダ植物360種を評価対象種として、見直し調査をおこなった。絶滅のおそれのあるシダ植物(選定種)は、「レッドデータブックおおいた」(2001)では102種であったが、今回1種減少し、101種となった。
2 2001年以降に大分県で新たに生育が確認され、全国的に分布が限られていたり、希少で絶滅のおそれの高いタキミシダ、オワセベニシダ、チャボイノデ、ナンピイノデ、ヒロハナライシダの5種と、今回の調査で生育地や個体数の減少の著しかったツクシヤブソテツ、また、過去に大分県での確実な記録のあるイズヤブソテツの計7種を新たにリストアップした。
3 種間雑種との見解が高いヒトツバシケシダ、ヒトツバイワヒトデ、今回の調査で新たな生育地が多く確認されたり、個体数が増加傾向にあるサトメシダ、オニヒカゲワラビ、標本の所在が不明であったり、同定や生育分布上疑問のもたれるヤシャゼンマイ、シビカナワラビ、アスカイノデ、コウライイヌワラビの計8種をリストから除外した。
4 「レッドデータブックおおいた」よりランクの上がった種は7種であった。エビガラシダ、ホテイシダなどのように特殊な環境下の樹幹や岩上に着生するもので、その生育環境の悪化が要因となっているものが多かった。
5 「レッドデータブックおおいた」よりランクの下がった種は13種であった。これらのほとんどは、生育環境の改善という要因よりも生育地等のデータが多く集められたという面によるものが大きい。
6 ランクに変動のない種についても、生育地や個体数が減少傾向にあるものが多くみられた。今回の調査では、特にシカの食害による生育地・個体数の減少が顕著で、シカの生息密度の高い県内地域では、多くのシダ植物の生育地が消滅の危機に瀕していた。