近年、自殺者の数は全国で3万人以上、大分県でも年間300人前後に上ります。
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私たちはこの難しい問題にどう向き合えばよいのでしょうか。自殺予防に取り組む際に大切な「3つの基本認識」をご紹介します。
自殺は個人の自由な意思や選択の結果と思われがちです。しかし実際には、さまざまな要因が複雑に関係しており、心理的に追い込まれてしまった結果であることが多いのです。
したがって死へと追い込まれてしまう前までに何らかの対応ができれば、自殺を回避できる可能性は高いと考えられています。
自殺者の多くは自殺の直前にうつ病などの精神疾患を発症しています。
うつ病は適切な治療により回復しますが、多くの方は医療機関を受診していないのが実情です。うつ病を経験した人のうち、医療機関を受診したことがある人は4分の1に過ぎないというデータもあります。
精神疾患の適切な治療は、自殺予防の第一歩です。そのためには気軽に専門家に相談できる体制づくりとともに、自殺に追い込まれるような状況をなくしていく社会全体の取り組みが必要です。
家族や職場の同僚などの身近な人は、多くの場合、自殺のサインに気づいていると言われています。この気づきを自殺予防につなげていくことが大切です。
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*自殺のサイン |
(1) |
うつ病の症状に気をつけよう
(不眠が続く、気分が沈む、自分を責める、仕事の能率が落ちる、決断できない) |
(2) |
原因不明の身体の不調が長引く |
(3) |
酒量が増す |
(4) |
安全や健康が保てない |
(5) |
仕事の負担が急に増える、大きな失敗をする、職を失う |
(6) |
職場や家庭でサポートが得られない |
(7) |
本人にとって価値のあるもの(職、地位、家族、財産)を失う |
(8) |
重症の身体の病気にかかる |
(9) |
自殺を口にする |
(10) |
自殺未遂におよぶ |
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自殺のサインに気づいた場合、周囲の人はどう対応すればよいのでしょうか。次のような対応に心がけるとともに、一人で抱え込まず積極的に相談窓口を利用しましょう。
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○ |
話をじっくり聞いてあげましょう。 |
○ |
本人を責めたり、励ましたり、世間一般の常識を押しつけたりすることは避けましょう。 |
○ |
不眠、食欲の低下、気分の落ち込みなどの症状は治療で良くなることを伝えましょう。 |
○ |
ゆっくり休ませる環境づくりに配慮しましょう。 |
○ |
専門家に相談するよう勧めましょう。 |
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長年、人々の心の問題に向き合ってこられた「社会福祉法人 大分いのちの電話」の小河清三事務局長にお話を伺いました。
「『いのちの電話』は、現代社会の中で孤立し、精神的に追いつめられて助けや励ましを求めている人々に対し、よき隣人でありたいという願いから生まれたボランティア運動です。県民の皆様の温かいご支援により支えられています。相談員が電話を通じて、悩みや苦しみに耳を傾けることによって、その人が新たに生きる希望と勇気を持っていけるように、心の支えになっていこうという活動です」
いのちの電話は「心の110番」と言われ、1日24時間・年中無休で相談を受け付けています。近年、自殺に関わる相談件数が急増傾向にあるそうです。
「『人間関係がうまくいかない』『生きる意味が見いだせない』『自分で自分をなくしてしまいたい』など、孤独や人生に関する深刻な相談が増えています。心の病と思われる方も多く、何かのきっかけで自殺するのではと思えるような相談もあり、危機感を覚えています」と小河さん。そういった深刻な悩みを抱えている人と、どう向き合えばよいのでしょうか。
「悩んでいる人は自分の気持ちを受け止めてほしいという思いを強く持っています。私たちは『話を聞くだけでは役に立たない』『何かアドバイスしなければ』と思いがちですが、いのちの電話ではアドバイスはしません。ただじっくり話を聴く、まずはそれが大切なのです。そのうえで悩みの内容によってはいろいろな相談機関があることを知らせてあげると良いと思います。もし身近な人が悩んでいるようだったら、ぜひあなたから声をかけてみてください。そして悩みに耳を傾けてあげてください」
最後に「いのちの電話」を代表してメッセージをいただきました。「日常生活で誰にも言えず悩みや不安を抱えている人がたくさんいらっしゃると思います。いつでも気軽にダイヤルしてください。特に、『孤独に悩むとき』『人生の危機に直面したとき』『生きる望みを失ったとき』は一人で抱え込まず、ぜひいのちの電話を思い出してください。研修を受けた相談員があなたのお話をしっかりとお聴きします」
いのちの電話では相談者の氏名を伺うことはありません。また、秘密は厳守されます。どうか覚えておいてください。悩んだとき、困ったとき ―私たちには「いのちの電話」があることを。
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